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友川カズキが競輪に狂う日々を記録、「どこへ出しても恥かしい人」公開

ナタリー

19/12/24(火) 12:00

「どこへ出しても恥かしい人」ポスタービジュアル

アーティスト、友川カズキのドキュメンタリー「どこへ出しても恥かしい人」が2月1日より東京・新宿K's cinemaで公開される。

ミュージシャン、画家、詩人など、さまざまな顔を持つ友川。1974年にレコードデビューし、代表曲に「生きてるって言ってみろ」、ちあきなおみに提供した「夜へ急ぐ人」などがある。画家としても活動を始め、1985年に初の個展を開催した。

本作では2010年夏、神奈川・川崎の小さなアパートで粛々と暮らす友川の生活に密着している。友川は20年来どっぷりと競輪にのめり込み、3年ぶりに会う大学生の四男までも競輪場に連れ出して指南するほど。本人は「競輪が病気なら、生涯、治らないでほしい」と豪語する。1日の大半の時間を競輪に割く友川が車券を握りしめて叫ぶ姿、近所の公園の噴水で水浴びをする姿、絵を描き、ライブで歌う姿が記録された。本作のために石塚俊明、永畑雅人らと車中で演奏したシーンも見どころの1つだ。

監督を務めた佐々木育野は「撮影は難航した。友川さんは自分の世界にひきこもるアナグマのように見えた。友川さんをそこから引きずり出そうとしたが、友川さんのギラッとした眼で見返されると、臆病な僕は怖気づき、軽く怒らせるぐらいが関の山だった」と振り返るも、何年経っても変わらない友川の姿をライブで観て「進むのはやめた。人生を遊ぼう。人生はかるい悲劇だ」と感じるまでの心境をつづっている。編集者の都築響一からも推薦コメントが寄せられた。

佐々木育野 コメント

初めて友川カズキのライブを観たとき、まるでグリコ森永事件の犯人のようだと思った。そんな友川さんにグリコ森永事件のナビゲートを依頼したのが始まりだった。結局、その企画はなくなり、友川さん自身のドキュメンタリーを撮ることになった。撮影は難航した。友川さんは自分の世界にひきこもるアナグマのように見えた。友川さんをそこから引きずり出そうとしたが、友川さんのギラッとした眼で見返されると、臆病な僕は怖気づき、軽く怒らせるぐらいが関の山だった。有能なスタッフに恵まれながら、素材をうまくまとめられず、ただただ自分に絶望していた。この素材と鬱が僕の中で混ざり合い、もはや鬱そのものであった。この素材のせいで、僕はこの10年間一歩も進めなかった。

そんな折、友川さんが大阪に来ていることを知り、ライブを見ることにした。この映画のことをすっかり忘れながらも、何も変わらない友川さんの姿を見て、
「あ、進歩ってしなくてもいいんだ」
と気づいた。

進むのはやめた。人生を遊ぼう。
人生はかるい悲劇だ。

都築響一 コメント

三上寛をはじめ、当時からいまも活動を続けるフォーク・シンガーは何人もいます。でも自分より40歳、50歳年下の若い層から寄せられる共感度、共振度においては、友川さんが抜きん出た存在でしょう。映像に捉えられたライブのフロアからも、友川さんを献身的に支えるスタッフたちを見てもそれが伝わってきます。
それは、おのれが抱える「ずれ」を世間に、時代にあわせることをしない、むしろ「ずれ」を糧に冷ややかな世界に立ち向かい続ける、その生の強度にだれしもが感応するからでしょうか。老いたもの、若すぎたもの、なにかを忘れ、失い、傷ついたものたちすべてにとっての止血剤として。

(c)SHIMAFILMS

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