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『ひなビタ♪』の新たな一面が開花した瞬間 初のリアルライブイベントを見て

リアルサウンド

19/1/13(日) 10:00

 KONAMIによる、Web連動型音楽配信企画『ひなビタ♪』のリアルライブイベント『ひなビタ♪ライブ2018~Sweet Smile Pajamas Party~』昼の部が、12月30日に東京・チームスマイル豊洲PITで開催された。当日は劇中バンド・日向美ビタースイーツ♪のキャラクターを演じる、日高里菜(山形まり花役)、津田美波(和泉一舞役)、山口愛(春日咲子役)が出演。新曲もお披露目されたほか、2人組ユニット・ここなつを演じる日南結里(東雲夏陽役)と小澤亜李(東雲心菜役)もゲストで出演。キャラクターになりきりながら、ひなビタ♪の同級生トリオ♪として初めてのリアルライブをファンと共に楽しんだ。

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■多彩な音楽ジャンルの擬人化が魅力

 6年前にWebラジオ及びSNS上で活動がスタートした『ひなビタ♪』は、同コンテンツ内で5人組バンドの日向美ビタースイーツ♪と2人組ユニットのここなつが誕生。人気声優が歌う楽曲が数多くリリースされ、アーケードゲームを始め、マンガ、小説、ドラマCDなど多彩にメディア展開して注目を集めている。その人気を受け、昨年3月にはTOKYO DOME CITY HALLで、2D Liveという技術を使ったARライブを開催したほか、7月にはここなつのリアルライブも、品川インターシティホールで開催している。この日のライブは、ここなつのライブに日高と津田がゲスト出演した際に、「まだたくさん曲があるから生で歌いたい。TOMOSUKEさんお願い!」と、企画・原案・音楽監修のTOMOSUKE氏におねだりして実現したもの。

 「みんな~! すごくすごく会いたかったよ~!」と、冒頭から客席に呼びかけた日高。1曲目は和テイストの「凛として咲く花の如く」で、着物をアレンジした衣裳を着て舞うように歌う姿には、ペンライトの灯りで埋め尽くされた会場が大歓声に湧いた。そんな会場の様子を観て「もう泣きそうなんですけど……」と、開始早々から感無量といった様子でウルウルした山口。津田は「みんな私たちに会いたかったんだよね? 盛り上がる準備はできてる?」と、戦闘モードで観客を引っ張った。

 『ひなビタ♪』は、音楽ジャンルの擬人化といった風に、キャラクターごとに異なる音楽ジャンルが設定されていて、ライブでは各キャラクターの個性が活かされたソロ楽曲も多数披露された。例えば日高里菜が演じる山形まり花は、空気成分の多めなフワフワとしたウィスパーボーカルが特徴で、90年代の渋谷系のイメージ。「恋とキングコング」では、ポップでおしゃれな曲調に合わせて手振りを交えながら歌い、ほっぺたを指でツンツンする仕草が実にかわいらしかった。「neko*neko」は、JAZZテイスト溢れる雰囲気の曲で、ダンスでも魅せて猫のポーズを決めると、ファンは大興奮で盛り上がった。

 ARライブと同じ、パープルののベレー帽の衣裳が似合っていた山口愛。彼女が演じる春日咲子は、アコースティックポップのイメージで、「とびっきりのふわっふわ」はカントリーフォーク調。ゆったりとしたリズムで、観客も横に揺れながらやさしい歌声を楽しんだ。アコギが印象的に響く「とってもとっても、ありがとう。」では、緊張したように顔を真っ赤にして歌う表情が何とも初々しく、思わず応援したくなる魅力に溢れていた。

 津田美波が演じる和泉一舞は、明るく元気で少し強気なところがあるキャラクター。楽曲はアニソン/ロックといったイメージで、「イブの時代っ!」では、歌詞に合わせて〈イブのセンスは? NO.1〉、〈イブの美貌はNO.1〉と、コール&レスポンスで盛り上げた。元気いっぱいでハイテンションのチアロック「激アツ☆マジヤバ☆チアガール」では、ステージを大きく使ったダイナミックなパフォーマンスで、会場を明るく元気に照らすように歌い、それに応えて観客も彼女に大声援を送った。

■温かく和やかなムードのライブ

 各キャラクターの持つ音楽性とは違った曲調を楽しむことができる、デュエットの新曲が披露されたのも、この日の見どころの一つになった。まず日高と山口による「スイーツはとまらない♪」は、〈キュン〉や〈イエス〉といった一言がかわいらしく、ラテン調のリズムが軽快だ。山口と津田による「熱情のサパデアード」は、スパニッシュな楽曲。フラメンコを取り入れた、情熱的で大胆さもある振り付けが実に華やか。そして日高と津田による「革命パッショネイト」は、アッパーのロックチューン。「まり花がこれまで歌ってこなかった、かっこいい曲が歌いたい! とTOMOSUKEさんに作ってもらった」(日高)とのことで、2人のパワフルなボーカルが観客を魅了し圧倒。『ひなビタ♪』の新しい一面が、開花した瞬間だった。

 そうした多彩な楽曲の演奏を一手に引き受けたのは、プログレッシブ・インストバンドのDEZOLVEに、3人組バンドのエドガー・サリヴァンの坂本遥(Gt)を加えたスペシャルバンド・でぃぞビタ♪だ。音源とは違った編曲と演奏でライブに花を添え、音にこだわる観客をもうならせた。音源とは違う部分と言えば、コラボも同様で、「琥珀のくちづけ~まり花&一舞 duet edition~」を、津田と日高のデュエットで聴かせたのも実にレアだった。他にもアンコールでは、ゲストにここなつを迎えて、音源とは違うメンバー編成で「じもとっこスイーツ♪」や「チョコレートスマイル」を披露。ここなつの新曲「ヒカリユリイカ」も生バンドで初披露され、この日ここでしか聴けない内容に、観客も大満足といった様子だった。

「みなさん、私たちの愛は届きましたか。私もみなさんからの愛を、いっぱい受け取りました。ライブをやりたいとずっと言っていて、その夢が叶いました。ひなビタのメンバーと一緒に歌えるだけでも幸せなのに、生バンドとステージに立てて本当に楽しい時間でした。とってもとってもありがとう。みなさん良いお年を!」(山口)

「“6年も経った”と思うけど、“6年しか経っていない”とも思うし。これはチャンスだし、大きな一歩だなって思います。私は言葉にするのが下手なぶん全部パフォーマンスに込めたので、伝わっていたらうれしいです。ひなビタを伝説にしたい! 私は歌って伝えるので、みんなで伝説にしていきましょう!」(津田)

「ひなビタが始まって6年経ち、やっとみんなの前でまり花として歌うことができて、夢見ていたことが実現できて本当にうれしいです。6年も待たせてしまってハードルが上がっていたぶんプレッシャーもあったけど、まり花の『大丈夫だよ』というセリフに、すごく助けられました。想像していたより、何倍も何十倍も楽しかったです!」(日高)

 ステージを終えて、そう気持ちを語った3人の、キャラを越えた仲の良さが随所から伝わってきたライブ。「走れメロンパン」という曲で、日高と津田がはにかみながら見つめ合って手を繋ぐ姿や、この日のために津田がお揃いのシュシュを選んで用意したというエピソードからも、彼女たちの温かく和やかなムードが溢れ、会場にはそれが空気感として流れていた。そんな3人の様子をやさしく見守るように、でも熱さを持って声援を送った観客の姿も印象的だった。

 近年は、マルチメディア展開で声優がリアルライブを行うコンテンツが急増している。その中でも『ひなビタ♪』は、フォローする音楽ジャンルの幅広さが魅力で、音楽やライブが好きなファンをはじめ、こと音楽に詳しい声優/アニメファンとの親和性も抜群だ。『ひなビタ♪』は、今後最注目のコンテンツの一つであると、この日の盛り上がり、観客の熱気が物語っていた。(榑林史章)

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