海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔
ティム・バートン
連載
第3回
─── 今回はティム・バートンです。3月29日から『ダンボ』が日本でも公開されます。同名名作アニメの実写版リメイクですね。
同じコンセプトで作られた『アリス・イン・ワンダーランド』は“新解釈”が施されていましたが、本作はほぼまんま。時代に合わせて変更はしているけど、基本は変わっていない。ダンボちゃんがめちゃくちゃ可愛くて、ひたすら母子のドラマに感動できるように作っている。オリジナルどおりです。
─── バートンらしさは?
あまり感じられませんでしたね。それより驚いたのは2年ぶりに来日したというティムくんが痩せていたところ。しかも手振り身振りが凄く増えていた。ディズニーの注文に応えるのが大変でストレスを抱え、そのせいで痩せたのか? なんてフカヨミしちゃいましたけどね(笑)。それも、映画が驚くほど健全だったからなんですけどね。
─── 麻紀さんはバートン監督が大好きで、何度もインタビューをされていますよね?
はい、大好きな監督のひとりです。日本初上陸作の『ビートルジュース』のときから面白い監督だなあと思っていたのですが、一生、アンタに着いていくと決めたのは『バットマン リターンズ』のときですね。あまりに屈折していて驚いた。ペンギンの実際の目的が、ゴッサムシティの長男をすべて殺す、ですからね。そういう復讐譚を、誰もが知っているスーパーヒーローを使って語る大胆さに驚きました。
この映画はもう彼のプライベートフィルムとしか言いようがなく、ティムくんらしさが至るところからにじみ出ている。ペンギンがバットマンに「羨ましいか? オレは生まれたときから怪物だ」みたいなことを言うんですが、ゾクゾクしましたよ。今でも彼の作品の中でこれがナンバーワンです。おそらくこれは越えられない。
ただ、このときはインタビューしてない。最初は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』ですね。期待を裏切らない人だった(笑)。
─── というと?
トレードマークのモジャモジャヘアに、洋服は真っ黒。その髪をいじりながらブツブツと喋るんです。しかもソファに寝転がって。何だか精神分析している感じだった(笑)。
いろいろプレゼントを持っていったんですが、その反応も最高。たとえばゴジラのポップアップ絵本には「こういうの大好き! 他の種類もあるの?」だし、ゴジラの缶バッヂには「わー、ネクタイピンにしよっと。これ何年のゴジラ?」ですからね。『スリーピー・ホロウ』のとき、新作公開前の新しいゴジラのフィギュアをプレゼントしたんですが、「ワオ! これは新しいゴジラだね」だって。ホント凄いんですよ。