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PE’Zが明かす音楽の原体験、そして今も走り続ける理由「特殊であることは嬉しい」

リアルサウンド

14/10/14(火) 9:00

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 昭和女子大学内・人見記念講堂で9月21日、ワンマンホールライブ『血騒-PE’Z THE LIVE-』を行ったPE’Z。同公演では10月15日にリリースする新作『血騒-chisou-』から全曲を披露するなど、ホールという特性を生かしたダイナミックな演奏を展開した。また、この冬からはワンマンツアー『EN-MUSUBI2014~血騒(ちそう)っていう位だからそれはもう~』を行うほか、今夏に行われて好評を博した、子ども達にジャズの楽しさを教える『侍JAZZクリニック』の秋冬版も実施する。今回リアルサウンドでは、ドラムでありリーダーを務める航と、ピアノ・キーボードのヒイズミマサユ機にインタビュー。人見記念講堂ライブで感じたことや、クリニック開催を前に、彼らの音楽原体験などを訊いた。

「最初にPE’Zを始めた頃の曲を今演奏しても、やっぱり違うものになる」(航)

ーー9月21日の人見記念講堂ライブは非常に盛り上がりましたが、あの音響環境の中で演奏する体験はいかがでしたか。

航:ACOUSTIC REVIVE(注:世界的にも評価の高い日本のハイエンドオーディオメーカー)のケーブルを使用して、演奏していても、いわゆるホールで感じるバランスの良い音とは少し違う、芯のある音でしたね。

ヒイズミマサユ機(以下:ヒイズミ):ピアノは会場のものを使うので、行って弾いてみないとわからないところがありますけど、弾いていて気持ちの良いピアノでした。音楽というのは音と空間で完成されますから、とても有意義な体験だったと思います。

ーーあのホールならではの音の良さと、熱を帯びた新作の世界が両立しているところが、あのライブの肝だったように感じます。

ヒイズミ:女子大の中にある会場ということもあるのかもしれないけど(笑)、会場もステージも上品でした。上品とは言えない曲もあったので(笑)、そのあたりをどううまく伝えるか、ということが難しかったような気もします。その中で、上品でありながら野蛮さもあり、ラフでありながらかっちり決めることができたかなと。

航:『血騒-chisou-』を発売前に全曲公開ということで、初めてやる曲が多かったですけど、音が良いぶん緊張が解けて、良い具合に演奏できました。

ーー前回のインタビュー(参照:PE’Zが語る、葛藤と挑戦の15年史「もつれたからこそ、色んな方向が見えてきた」)では「メンバー全員でひとつのステージを作る、音源を作る、という感じになってきた」と仰っていて、それはライブでも実感出来ました。そうした変化はご自身でも感じましたか。

航:最初にPE’Zを始めた頃の曲を今演奏しても、やっぱり違うものになりますね。より早くなったり激しくなったり。長くやっていると、そのときはすごく激しいつもりでも5年後に聴くと「そうでもないな」と思うことがありますし、逆に「これももっとゆったりでもいいな」と感じるものもあります。

ヒイズミ:PE’Zはやっぱり、ライブハウスがホームグラウンドなんですよね。と言いつつ『血騒-chisou-』の全曲を初披露したのがホールというのも不思議な感じですけど(笑)、メンバー個々の熱も高かったですし、今のPE’Zの音になっていたのかなと思います。

ーーキャリアを重ねて、より渋い音を追求するようになる音楽家もいますが、15周年記念でこういうアグレッシブな作品が出たことも興味深いですね。

ヒイズミ:頑張って激しくしているというよりは、「基本的にこういう感じが好き」なので、これが我々のスタンダードなんだと思います。スタンス的には全身にタトゥー入ってる(笑)。それくらいして初めて「普通ですね」って思ってもらえる、激しさなんじゃないですかね(笑)。

ーー先日のライブでは少しムーディな部分も出していましたがーー。

ヒイズミ:ライブハウスの活動とは別にジャズクラブツアーもやっていて、そのときはスタンダードやバラードもやってますからね。それはそれで好きです。ただ、PE’Zでは普通にやっていてもどんどんテンポが早くなっちゃいます(笑)。

ーー人見記念講堂は時間帯もあってか、家族連れの姿も多かったですし、8月4日〜22日に行った『侍JAZZクリニック』の生徒さんたちも来ていたようですね。

ヒイズミ:クリニックの生徒さんから、終演後に手紙をもらいました。開けたら蝶みたいなのが飛び出してきて、やられたな、と(笑)。

航:クリニックの課題曲「Viva! A So Bole!」は、子どもたちと一緒に成長してきた曲で、この日も一緒に盛り上がることができました。

「ピアノの練習は好きとか嫌いではなく“習慣”になっていた」(ヒイズミ)

ーー『侍JAZZクリニック』を通して子どもたちと向き合う中で、どんな発見がありましたか。

ヒイズミ:子どもは「楽しいということに敏感」だと感じました。それに、適応する能力の早さは凄いですね。ありきたりな言葉ですけど、無限の可能性を感じます。正直に言うと、自発性はもっと欲しいですが、そこをどうやって引っ張ってあげるか、というところが課題ですね。

ーー10月24日から開催される『侍JAZZキッズ~PE’ZとJAZZで学ぼう、遊ぼう、楽しもう!~秋冬教室〜』が音楽と出会うきっかけになる生徒さんもいると思うのですが、お二人が音楽と出会ったきっかけを教えてください。

航:僕は小学校4-5年生のときに、近所のお祭りで太鼓を叩く人の姿を見て、叩かせてもらってビビっときました。中学時代はブラスバンドをやっていたんですが、打楽器担当の人たちがみんなドラム小僧だったので、そこに加わって3年間、みんなでドラムの勉強をしていました。形式的にはブラスバンドでいろいろな打楽器をやるけれど、みんな裏でドラムの練習をしていました。わりとフュージョン系のものにも挑戦したりして、テクニカルな部分を早いうちから楽しんでましたね。

ヒイズミ:僕はあんまり覚えていないんですけど、気づいたら4歳くらいからピアノを習っていました。僕がビビっと来た瞬間は、近所のピアノ教室で、先生がピアノを弾いてみんなで歌を歌うときに、先生が弾きながら素早く譜めくりをしたときなんです。それを「すごいかっこいい!」って思って(笑)。そういう音楽と関係ないことがいろいろ記憶に残ってたりしますね。「レッスンが終わった後のジュース何にしようか」とか(笑)。練習は好きとか嫌いではなく“習慣”になっていて、あんまり考える暇もなくやっていました。「今日はうまく弾けなかった…けどジュース!」みたいな(笑)。毎日2時間弾くというのは高校時代まで継続していました。

ーー“習慣”でずっと続いていったのは、同時に音楽の面白さを感じていたからでしょうか。

ヒイズミ:根本的に女性的な性格だったのかもしれないです。みんなとも遊んではいましたけど、1人で遊ぶのが好きでした。

航:僕も、中学校で授業が終わったあと、周りがサッカーや野球の部活をやっている中で、テーブルを叩いてドラムの練習をしていました。他が全然気にならなくて。音楽がそれだけ好きだったんだと思います。周りと同じようにスポーツをやりたいとか全く思いませんでした。

ヒイズミ:中学に入ったときも、吹奏楽部にちょっと入りたいと思ったんですけど、みんなと違っててもいいや、って思って、レッスンに通い続けました。それがターニングポイントだったように思えますね。「みんな部活に入らなきゃいけない」みたいな、みんなと何かをするとかが嫌だったし、高校も地域の学校じゃなくて、遠くの音楽高校を1人で専願しました。仲良くない人たちとの団体行動は今でもちょっと苦手ですね。知っている人たちだけだったら何とか。

ーークリニックの秋冬教室は全10回で開催されますが、今度はどんな内容になりそうでしょうか。

ヒイズミ:来た生徒さんによって考えようかな、と思っています。「どこを伸ばすか」ということを一瞬で見極めなきゃいけないので、非常にプレッシャーですが。

ーー初めて楽器を触る、という人もいるでしょうけれど、特にドラムなどは、初めての子はなかなか難しいのではないでしょうか。

航:前回は日程が連続していたのですが、今回は1週間に1回なので、持ち帰って練習したりする時間もあります。なので、教える側としても、もう少し踏み込んだ講習にしたいと思っています。全てを教えることは無理かもしれませんけど、それが音楽を好きになる、楽器を好きになるきっかけになってくれればいいなと。

ヒイズミ:キーボード界、ピアノ界の変人としましては(笑)、やっぱり普通ではない感じでいきたいと思うんですけど、「来てよかったな」と思える時間を全力で作りたいと思います。

「余裕はなくて、ずっと突っ走っているような感じ」(航)

――年末にはワンマンツアー『EN-MUSUBI2014~血騒(ちそう)っていう位だからそれはもう~』を開催されますが、やはりライブハウスということで、人見記念講堂でのライブとはまた違うものになりますか?

ヒイズミ:そうですね。「血が出る」感じで(笑)。今回のアルバムで、メンバーが共通して「これだな」っていう感覚を掴んだと思うんです。Ohyama “B.M.W” Wataruさんも「いいのができた」と言ってましたし、ニレハラさん(Nirehara Masahiro)も最近の発言には力強さを感じます(笑)。「血騒-chisou-」っていうタイトルになるくらいの激しさをどう料理してお披露目するか、年末が楽しみで仕方ないですね。

ーーPE’Zのようにリリースペースが早く、ライブも積極的に行うジャズ系のバンドはユニークな存在に思えますが、客観的に自分たちのあり方をどう捉えていますか。

航:そうですね…あんまり振り返っている余裕はなくて、ずっと突っ走っているような感じです。客観的に見て、ライブで熱く演奏できているうちは走り続けられると思います。

ーー今後も走り続けられそうですか?

航:どうなんですかね(笑)。前回の人見講堂でさらにスピードが増した感じがします。毎年『EN−MUSUBI』で締めているので、今年もいつも通り走り切るつもりです。

ヒイズミ:客観的に見るのは難しいですけど、個人的に“特殊”というものが大好きなので、特殊であることは嬉しいし、それでこそやっている意味があると思います。ずっと特殊でいたいですね。ふと我に返ったときにしんどくなるかもしれませんが(笑)。

ーー確かにPE’Zの音楽はカテゴライズするのは難しいですね。「ジャズをベースにした新しい音楽」という認識でしょうか。

ヒイズミ:ジャズに限ってはいなくて、ひとつにまとめるとしたら「自分の好きなもの」をグチャッとミックスしたものがこうなっている、という感じです。その中のひとつにジャズもある、ということだと思います。特にジャズに近づけよう、とはしていませんね。

航:僕は、PE’Zを始めた頃は特にジャズが好きというわけじゃなくて、むしろ僕が入ることによってジャズ色が薄まる感じで、それが良かったんだと思います。PE’Zではそのあたりを意識していて、ジャズを弾くからといって、ジャズっぽく演奏しようとは思っていません。もちろん、いわゆるジャズドラマーの演奏を聴くのは好きで、学ぶこともすごくあるんですけどね。

ーーちなみに『EN-MUSUBI2014~血騒(ちそう)っていう位だからそれはもう~』ツアーのポスターがおむすびですが、何か意図はありますか?

航:シャレです(笑)。海苔が巻いてないと「おむすび」とは言わなくて「おにぎり」になるらしいんですけど、そこまではこだわりきれなかった(笑)。それにちなんだプレゼントも用意しています。

(取材=神谷弘一)

20140828-pez3.jpgPE’Z『血騒-chisou-』(apart.RECORDS)

■リリース情報
『血騒-chisou-』
発売:2014年10月15日(水)
価格:CDのみ ¥3,000(tax out)
   CD+アナログ盤(ダウンロードコード付) ¥5,000(tax out)

※それぞれにボーナストラックを1曲ずつ収録(アナログ盤とCDではそれぞれ異なる楽曲を収録)

■ライブ情報
『EN-MUSUBI2014~血騒(ちそう)っていう位だからそれはもう~』

12月23日(火)福岡:BEAT STATION 
12月24日(水)大阪:umeda AKASO
12月25日(木)愛知:THE BOTTOM LINE NAGOYA
12月27日(土)東京:shimokitazawa GARDEN
12月28日(日)東京:shimokitazawa GARDEN
12月29日(月)北海道:札幌cube garden
前売 ¥4,800/当日¥5,300 (札幌2F指定のみ前売¥5,300/当日¥5,800)
※all standing・プレゼント付・tax in・drink代別(札幌2Fのみ指定)
 11月1日(土)各プレイガイドにてチケット発売開始!!

 <小学生に教えるJAZZクリニック冬期講習決定!>
2014年10月24日~12月26日(全10日間)
毎週金曜日18:00~20:00 場所:東京世田谷・国立音楽院
お問い合わせ:国立音楽院

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