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ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター

20/1/24(金)

「幸福は人生の要じゃない。それ以外のすべてが人生なんだ」と、ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』で、生前のライターは語っていた。そんな彼の写真を見ていると、他人と比べず、世界と対話していられれば充分幸福なんだと語っているようにも聞こえる。 彼は、名声や成功といった世間基準の幸福から自らずれていく。高名な聖職者の父を継ぐ神学の道から外れて、画家を目指して夜行バスで単身ニューヨークへ出てきたときも。その後、ファッション写真家として成功しながらも、自由な創造が許されなくなり引退してしまったときも。執着から離れた40年にわたる隠遁生活で、彼は再び路上に出て写真を撮り、絵を描いた。 住み続けたニューヨークのイーストヴィレッジのアパートは、いまソール・ライター財団の事務所となり、映画にも出てくる助手のマーギット・アープらが日々発掘調査を続けている。カラー作品だけでも8万点ともいわれる写真、絵画や資料。その一部が、日本で2度目となる今回の回顧展で公開されている。 素通りしてしまいそうな風景に潜む世界の不思議。結露の窓越しに見るおぼろげな人や車。通り過ぎる赤い傘に降りしきる白い雪。窓の映り込みは、背後で起こっていたことを報せる。また、彼が「スニペット」と呼んだ家族や恋人などを撮った小さな写真はとても親密で、プライベートアルバムを覗いてしまうようだ。

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