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嵐が2週連続1位のアルバムチャート 3位KANA-BOONの“日常と地続き”な音楽性とは?

リアルサウンド

13/11/8(金) 19:00

2013年10月28日~11月03日のCDアルバム週間ランキング

1位:LOVE(嵐)
2位:LANDSPACE(LiSA)
3位:DOPPEL(KANA-BOON)
4位:WWW(キム・ジェジュン)
5位:『アイドルマスター ミリオンライブ!』 THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 07(三浦あずさ<たかはし智秋>篠宮可憐<近藤唯>高山紗代子<駒形友梨>福田のり子<浜崎奈々>)
6位:斉藤(斉藤和義)
7位:JUKE BOX(関ジャニ∞)
8位:Superfly BEST(Superfly)
9位:Dialogue-Miki Imai Sings Yuming Classics-(今井美樹)
10位:プリズム(ケイティ・ペリー)

 先週、初週67万枚という今年度ぶっちぎりの売り上げを記録した嵐の『LOVE』が、今週も6.1万枚で引き続き1位。これは昔から思っていたことなんだけど、嵐のような熱狂的な支持層を持つジャニーズのグループのニューアルバムを発売2週目以降に買う層というのは、一体どんな層なんだろう? Amazonなどが普及した今、CDショップが近くにないからすぐに買いに行けない層はあまり想像がつかない。アルバムがリリースされてから「あ、嵐のニューアルバム出たんだ」と気づいて買いに行った極端に情報に疎い人。少ないお小遣いのやり繰りがなんとかついて、3000円(初回限定盤は5000円超えてるけど)を握りしめてようやくCDショップに買いに行った小中学生の女の子。なんとなく勝手に後者のイメージを頭に思い浮かべて、6.1万枚という数字を見るだけで微笑ましい気持ちになったりするんだけど、今度誰かちゃんと調査をしてくれないだろうか?(他人頼み)

 続く2位は、NOFXやZEBRAHEAD、GREEN DAYなどをコピーしていたメロコア系バンド出身という完全なロック志向でありながら、アニソン系シンガーとしてコンスタントにスマッシュヒットを連発してきたLiSAのセカンドアルバム。僅差で3位となったのは、昨年キューン20イヤーズオーディションで優勝して以来、みるみるうちにライブハウスでの動員を伸ばしてきたKANA-BOONのデビューアルバム。いずれもその界隈のリスナー以外にとっては、「えっ? 誰?」といった存在かもしれないが、アルバムでここまで上位につければその人気は本物。近年、「チャートを見ても世の中で何が本当に流行ってるのかわからない」ともよく言われるが、アルバムチャートに関して言えば、まだまだその機能は果たしていると言えるだろう。

 それにしても、KANA-BOONの本作でのブレイクはロックバンドとして快挙としか言いようがない。近年、完全にアイドルやポップス勢にずっと押され気味のロックバンド。この数年間にチャート上でブレイクした新しいロックバンドというと、サカナクション、ONE OK ROCK、SEKAI NO OWARI、クリープハイプあたりの名前が挙がるだろうが、彼らと比べても、メジャーシングルデビューの1ヵ月後にデビューアルバムをリリースして、それをトップ3に送り込むというのは圧倒的なスピード感だ。また、サカナクションやONE OK ROCKやSEKAI NO OWARIが、それぞれ既存の日本のロックシーンにはなかった独自の音楽性、価値観、方法論でブレイクを果たしたのと比べて、KANA- BOONは現在の日本のロックシーンのど真ん中を射抜くように正面突破したという点でも興味深い。

 現在の日本のロックシーンのど真ん中。それをイメージする上で最もわかりやすいのは、夏の邦楽ロックフェスのメインステージで、四つ打ちタテノリのリズムに会わせて、数万人の観客が同じように手をワイプさせて盛り上がっているあの光景だろう。考えてみれば、その場所には毎週末数万人の観客が詰めかけているわけで、その数字をそのまま現在のアルバムチャートに持ってきたら、余裕でチャートの上位につけることができる。しかし、それは簡単なようでいて、なかなかそこまで動員とCDの売り上げがシンクロしないのが現在の日本のロックシーンの現実でもあった。

 しかし、KANA-BOONはそれを実現してしまった。彼らの中には、特別カリスマ性の高いメンバーがいるわけではない。いや、むしろそこではカリスマ性は邪魔だ。何万人ものオーディエンスをまるで代表しているような、どこにでもいそうな20代前半の4人の男の子が、いつの間にか自分たちが乗っている現在の上昇気流にちょっと戸惑いながらも、ステージ上から前のめりで性急なビートを叩き出し、等身大の悩ましい日常を歌い上げる。そこには、かつてのロックスターたちに対してオーディエンスが抱いていたような憧れはない。90年代パンクブームの頃のような「ここから世界が変わっていくんだ」というような幻想もない。リアルな日常と地続きな、ティーンの生活のBGMとしてのロック。それを一分の隙もなく見事にやり遂げたのがKANA-BOONの音楽だ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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