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『いだてん』で素晴らしい生き様を見せた仲野太賀 中村勘九郎との師弟関係が表れた撮影現場レポ

リアルサウンド

19/11/3(日) 8:00

 10月23日放送の『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第39回で衝撃的な最期を見せた小松勝(仲野太賀)の姿には、視聴者からも「涙が止まらない」などの反響が寄せられた。

 これまで、数々の名シーンを残してきた『いだてん』。取材で訪れた撮影現場では、まっすぐに四三(中村勘九郎)を慕う気持ちを見せる小松役の仲野の演技を目の当たりにし、愛されるキャラクターの素質を直に感じた。

 また、同日には、39話の三遊亭圓生を演じる中村七之助と美濃部孝蔵を演じる森山未來のシーンも撮影が行われていた。登場したばかりのキャラクターではあるものの、SNSなどでは七之助の繊細で色香漂う芝居に胸を打たれた視聴者からの反響も多い。新章に突入した『いだてん』だが、改めて名シーンの作り上げたキャストたちの奮闘を、撮影現場での様子を軸に振り返りたい。

【写真】ロケ中に全力疾走する仲野太賀

■中村勘九郎と仲野太賀のチームワーク

 小雨の降りしきる中、懸命に走る男がいた。勘九郎と仲野だ。悪天候の中、スタッフ・キャストが一丸となって作品が作られていた。

 この日は四三と小松が、オリンピックに向けて盛り上がる東京の街をトレーニングとして駆け抜けるシーンが撮影された。通路の間にはたくさんの装飾と、通行人役のエキストラが配置される。その中を、四三と小松が駆け抜けていった。

 撮影では並走する2人を正面から捉えるカット、後ろからのカットなど様々な角度からカメラが回される。2人は何度も走り、同じ芝居を繰り返して構図の違いに対応した。本番は真剣な表情で走っているシーンだが、空き時間には、談笑して笑顔を見せる瞬間もあった。

 セットの中で用意をするスタッフも声を掛け合いながらスムーズに撮影の準備を進めている。構図が変わるごとに、小道具やエキストラの位置を微調整しているのだ。オリンピックに向けて盛り上がりムードを感じさせたいというシーンゆえに、旗の位置などを細かく調整していく。ベストな環境が整ってから、勘九郎と仲野が入り、いざ芝居が始まるのであった。

 真剣ムードな撮影の合間、取材対応の写真撮影では、勘九郎が仲野にちょっかいを出して笑わせたり笑顔を引き出すなどリラックスした姿も見せる。念願の『いだてん』出演で緊張している仲野の緊張をほぐすかのように話しかける姿は、四三と小松の師弟関係がそのまま現れているようだった。

■森山未來と中村七之助が完璧に再現

 続いて、孝蔵を演じる森山と圓生を演じる七之助の共演シーンの撮影に。今度は舞台を変え、39話の戦時中の満州での芝居になる。街の雰囲気も、エキストラの様相も変わり、同じ敷地内とは思えないほど雰囲気が一変した。満州に到着した孝蔵と圓生が並んで歩きながら話をするシーンでは、伸び伸びと芝居をする森山と七之助の姿に釘付けになる。

 何気ない会話のシーンも、横から、正面からと数パターン撮影し、役者は同じ芝居を何度も繰り返さなければならない。2人は何度やってもクオリティを落とさない芝居を維持し、さらに言い回しやアドリブ、ちょっとした仕草までも完璧に再現していた。

 遠くから撮影するシーンでは孝蔵の破天荒さがわかるような歩き方と、圓生の繊細さがわかる歩き方で2人の関係性とキャラクターがはっきりとわかる。カットがかかると素の姿に戻っていくことで、2人が全身で役を表現していることが顕著にわかった。

 この日は前述の通り雨が降っていた。そんな環境でも、2人の瞳からはこの作品に対する熱意が伝わってくるほど演技に没頭しており、見ているこちらも胸が熱くなる。その中心には、中村勘九郎をはじめとするキャスト陣がいて、場を盛り上げたり、素晴らしい芝居で熱意を引き出しているのであった。

 いよいよ大詰めの『いだてん』では、戦後の日本の姿が浮き彫りになる。最後まで見届けて欲しい。

(Nana Numoto)

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