加古隆 作曲家として、そしてピアニストとして
〜一時帰国と再渡仏〜
連載
第6回
19/5/4(土)
パリのコンセルヴァトワール在学中にジャズピアニストとしてデビューし、格式ある「ジャズマガジン」誌において“現在フランスで聴くことのできる最高のピアニスト”と評価されたことは、とても嬉しかったし自信にもなりました。記事はもちろんとってあります。そして、コンセルヴァトワールの卒業を機に、ヨーロッパでのジャズ活動にピリオドを打って日本に帰ろうと思いたったのです。パリでの生活に少し疲れた感も有りましたしね。フランス人特有の「俺が俺が」という徹底した個人主義あたりでしょうか。まあそうでないと生きていけない国柄なのですけれど、卒業がひとつの区切りにもなりました。そして、帰国直前に、これまで一緒にやってきたグループで2枚のアルバムをレコーディングしたのです。きっかけは、日本のトリオレコードから「好きなものをレコーディングして日本に持って帰って来てほしい」というオーダーがあったからです。ヨーロッパで発売されていた何枚かのアルバムが日本に逆輸入されていて、彼らは私の存在を知っていたのです。このレコーディングが、現地でのすべてを私が手配した初のアルバムです。メンバーには、ヨーロッパでの長いツアーを一緒にやってきて、最も信頼している2人を選びました。黒人ドラマーのオリバー・ジョンソンと、白人ベーシストのケント・カーターです。そしてこの録音を手土産に日本に帰ってきたのです。
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