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加古隆 作曲家として、そしてピアニストとして

〜『映像の世紀』と『パリは燃えているか』の完成〜

連載

第10回

19/5/16(木)

 ピアノソロによって、世界中を演奏旅行する機会を得た頃の話です。アルバム制作も並行して行われ、1993年にはウィーンで『水の前奏曲』を、そして94年にはニューヨークで『ノルウェーの森』を録音しました。そのレコーディング中のニューヨークに、日本からNHKスペシャル『映像の世紀』の音楽を依頼するFAXが届いたのです。放送は翌95年の4月からで、メインテーマだけは前の年に収録しておきたいという趣旨だったのです。作曲する時点でわかっていたことは、テレビで1年間放送することと、番組自体の編集がまだ終わっていないこと。そして、プロデューサーからは、「100年間の歴史のうねりを感じさせるスケールの大きな音楽がほしい。しかも、一般の人の心に届くようなメロディを書いてほしい」と言われたのです。そのイメージのもとに生まれたメロディはあまりにも寂しげで、「うーん、これは駄目だな」と思っていたところに番組オープニングのCGが届き、観ると凄いテンポ感の映像だったのです。そこで、メロディはそのままに、音楽のテンポを早めた勇壮な曲として書き進めてオーケストレーションを施した作品が、『映像の世紀』のメインテーマ曲『パリは燃えているか』なのです。

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