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声優 石田彰、渚カヲルなど重要キャラ担う魅力とは 表現の説得力や器用さに注目

リアルサウンド

21/3/26(金) 6:00

 3月8日、ファン待望の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』がついに公開となった。1995年のTVシリーズから25年以上の時を経てついに完結を迎えた今作には、そうそうたるキャスト陣が名を連ねている。渚カヲルを演じた石田彰もその一人だ。そして石田は、昨年2020年に、日本一の興行収入記録を打ち立てた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』でも猗窩座を演じている。歴史あるアニメーション大作から最新の話題作まで、第一線で活躍し続けている石田彰の魅力に迫りたい。

 『NARUTO -ナルト-』(テレビ東京系)の我愛羅、『最遊記』シリーズの猪八戒、『夏目友人帳』(テレビ東京系)の名取周一などを演じてきた石田。理知的で繊細な声色を持つ石田は、インテリで物腰柔らかな役を演じることが多いが、『血界戦線』(MBS・TOKYO MXほか)では堕落王フェムトで愉快犯的な演技を、TVアニメ版『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日系)のフィッシュ・アイでは女性声優顔負けのかわいらしい声を披露するなど、どんな役柄でも成立させてみせる器用さが石田の武器の一つだ。

 数多くの主要キャラクターを演じてきた石田だが、いわゆる「石田ボイス」の代表格と言えば、『エヴァンゲリオン』シリーズで演じた渚カヲルだろう。TVシリーズの終盤にたった1話登場しただけで多くの視聴者の心を奪った美少年を、透明感のあるミステリアスな演技でドンピシャに作り上げ、以降、シリーズ展開されていく25年の時の中で、渚カヲル=石田彰を揺るぎないものにしていった。

 そんな繊細で物静かなイメージの強い石田のキャリアの中で、『鬼滅の刃』で演じた猗窩座のような、武闘派で常に全力のキャラクターは珍しい役柄かもしれない。煉獄杏寿郎と死闘を繰り広げた「上弦の参」の鬼である猗窩座。このバトルシーンの演技について、過去のインタビューで石田は、「熱量のぶつけ合いで“石田 彰”として負けてしまっていたら、猗窩座が画面上でいくら押していても、そうは見えなくなっちゃうから…。ちゃんと『猗窩座が押している』と見えるように頑張らなきゃいけない」と語っている(※1)。

 劇場版では、煉獄役の日野聡の迫真の演技に大きな注目が集まったが、猗窩座役の石田と煉獄役の日野、どちらもが高い熱量を持ってぶつかりあったことで、胸を熱くする名バトルが生まれたのだろう。猗窩座はTVシリーズでは登場しておらず、その演技は劇場版で初めてお披露目となったが、「これぞ猗窩座!」と思わせる見事な説得力だった。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開中PV

 そして、石田のイメージを変えたキャラクターとしてもう1人触れておきたいのが、『銀魂』の桂小太郎だ。一見、端正でまじめな人物なのだが、理解不能な行動をとる電波キャラでもあり、ギャグ要因の多い『銀魂』の中でも有数のボケ担当キャラだ。そんな桂を石田が演じるというのは意外性があるが、ギャグパートの振り切った演技と、そこからのシリアスシーンでしっかり決めてみせる振れ幅は見事と言わざるを得ない。『銀魂』もまた、アニメが15年続いた長寿作品で、石田は初期から登場し続けている。

 そして、3作の劇場版(『鬼滅の刃 無限列車編』『銀魂 THE FINAL』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』)は、多少公開開始時期はずれているものの、同時期に劇場で上映されることとなった。上映中の人気作いずれにのどれもにメインキャストで参加しているというのはなかなかないケース。いかに長い間、石田彰という声優が、アニメーションの中で重要な立ち位置を担い続けてきたことがわかるトピックだ。

 長いキャリアを持つにもかかわらず、石田が新しいキャラクターを演じるたびに「こんな役もできたのか」とうなってしまう。次々新しい才能が生まれ続ける声優シーンにおいて、「やっぱり石田彰でしょ!」と思えるキャラクターが、この先も生まれ続けてくれることを楽しみにしたい。

※1:https://news.livedoor.com/article/detail/19049208/

■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。Twitter(@erio0129)

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