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坂口健太郎×川口春奈の凸凹コンビが誕生  『イノセンス 冤罪弁護士』は弁護士チームの個性が魅力に

リアルサウンド

19/1/20(日) 12:00

「身に覚えのない罪で逮捕されたら あなたはどうしますか?」

参考:<a href=”https://www.realsound.jp/movie/2019/01/post-307284.html”>坂口健太郎、リーガルドラマ界のニューヒーローに 『イノセンス 冤罪弁護士』で見せる“2つの顔”</a>

 私たちにとっても他人事ではないのだという、この強烈な問いかけからスタートした土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)。本作は、起訴されればほぼ100%有罪になってしまう日本の司法制度にあって、3年で5度の逆転無罪を勝ち取っているという若手の凄腕弁護士・黒川拓(坂口健太郎)を中心とした弁護士チームが、その厳しい司法制度に立ち向かい、冤罪事件の真相を解き明かそうと奮闘する姿が描かれていくリーガルドラマだ。

 第1話では、保険金目当てによる自宅への放火を疑われた阿蘇重雄(吉田栄作)が逮捕後、犯行を自白。夫の犯行であることを信じることができない妻の恵美子(中島ひろ子)が保駿堂法律事務所で刑事事件を担当する拓に弁護を依頼し、大規模な実証実験などをもとに事件の真相が究明されていった。

 この初回放送でまず印象的だったのは、拓と新米弁護士・楓(川口春奈)がはじめて被疑者の重雄と顔を合わせた接見室での場面。重雄は、犯行の自白は警察官の強要によるもので、本当は放火などしていないと涙ながらに吐露する。本作の特徴が垣間見えたのは、このシーンにおける、虚偽の自白を強要する攻撃的な警察官と、どこかゆるい雰囲気を放っていた拓とのギャップだ。重雄と対面した二者の対比によってわかる拓の持つ包容力。接見へと向かう道中で、「接見もその格好なんですね?」と楓に怪訝な顔をされるほど“弁護士らしくない”ラフな格好をしている拓だったが、重雄はそんな彼に人間味を感じ、信頼を寄せて思いの丈を話したのかもしれない。

 裁判官の心象も重要になる弁護士という役柄。拓も、もちろんずっと間の抜けたキャラクターというわけでもなく、法廷の場ではフォーマルな服に身を包み真剣な顔を見せる、そのギャップも楽しいところだ。坂口が過去出演作で見せてきたゆるい雰囲気や時おり見せるコメディアンとしての演技、また、ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ系)や映画『人魚の眠る家』などに顕著だったシリアスな表情が、黒川拓というキャラクターにうまくハマっているとも言えるだろう。
 冤罪事件とその冤罪を背負ってしまった者たちの悔しさや悲しみに迫ったドラマになるのであろう本作は、基本的にはシリアスにストーリーが展開していくので、ともすれば暗いトーンが続いてしまう。しかし、自由奔放な拓と、彼に振り回されながらもまっすぐな物言いが光った楓の“凸凹コンビ”によって、緩急のあるストーリーが紡がれていった。

 本作の注目すべき人物は、拓と楓だけではない。冤罪事件を取材する番組ディレクター・有馬聡子(市川実日子)や拓専属のパラリーガルで、一児の母でもある城崎穂香(趣里)に、拓を温かく見守る湯布院和人(志賀廉太郎)、大規模な科学実験で拓を手伝う、どこかしら影を感じる秋保恭一郎(藤木直人)ら弁護士チームのメンバーなど、第1話では一人ひとりの個性が強く表れていた。まだまだ彼らの一面だけを見ているという印象は拭えないが、拓が冤罪事件に固執する理由なども含め、今後の展開で彼らの新たな側面が徐々に明らかになっていくのかもしれない。

 また本作は、被疑者の弁護依頼からチームによる調査、実証実験を経て冤罪の容疑を晴らすという、一連のプロットが固定された一話完結のドラマ。一話一話のトーンを決定づけるゲスト出演者にも注目したいところだ。今回は、夫婦役を演じた吉田栄作と中島ひろ子が冤罪の悔しさを噛み締めるように体現し、冒頭の問いかけにしっかりと重みを加えていたように思う。拓が放った「僕には(真実は)わかりません。だから調べてるんです」という言葉の裏には、父親との確執も垣間見える。拓が、今後どれだけ見逃されていた真実を見つけることができるのか。その可能性に注目したい。 (文=原航平)

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