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アニメじゃ観れない! マンガで広がる『ソードアート・オンライン』の世界

リアルサウンド

20/7/28(火) 15:54

 著者の個人ウェブサイトに掲載されたのちに電撃文庫から刊行され、全世界2600万部以上の売上を誇る川原礫の小説『ソードアート・オンライン』(以下『SAO』)を原作とする最新TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章(2ndクール)が、2020年7月より放送中だ。

参考:「防振り」はガラパゴス化で生まれた? 独自の進化を遂げた小説ジャンル「VRMMO」の系譜

 アニメは、VR MMO RPG「ソードアート・オンライン」(SAO)の世界を舞台にしたアインクラッド篇、「アルヴヘイム・オンライン」(ALO)を舞台にしたフェアリィ・ダンス篇、「ガンゲイル・オンライン」(GGO)を舞台にしたファントム・バレット篇、そして「アンダーワールド」を舞台とする現在放送中の「アリシゼーション編」を描いてきたが、実はアニメでは観られないがマンガでは読める『SAO』の世界が存在する。

 アニメを毎週楽しみにしているが飢餓状態でウズウズしているとか、原作は押さえているがマンガはまだという人向けに、「マンガで読める『SAO』」のシリーズをいくつか紹介しよう。

■SAO攻略をイチから描く『ソードアート・オンライン プログレッシブ』

 『SAO』は、ゲームSAOの世界にプレイヤーたちが閉じ込められ、主人公キリトがラスボスを倒して現実世界に帰還するまでが原作小説第1巻で描かれている。舞台となるアインクラッドは階層構造になっており、プレイヤーたちはスタート地点である1層からゴールである100層までを目指していく。

 ゲーム攻略を小説1冊にまとめ、2巻で短編集のかたちでSAOでの冒険を補足したものの、1層から順々にどんな出来事があったのかをすべて描いていくわけではなく、端折っている——が、そのすべてを描こうというのが『ソードアート・オンライン プログレッシブ』シリーズだ。

 原作者・川原礫自身が本編とは別に執筆した小説シリーズとしてまず刊行され、マンガ版も『アインクラッド』『フェアリィ・ダンス』『ファントム・バレット』など本編のマンガ化とは別に行われている。

 『プログレッシブ』の内容はアニメ第1期で一部描かれているので微妙に「アニメじゃ観れない」とは言いがたいのだが……『プログレッシブ』のすべてではないのでここで取り上げたい。作画・比村奇石『ソードアート・オンライン プログレッシブ』は小説版と異なり、アスナ視点で描いていくのでアニメともまた違う楽しみがある。

 その続きにあたる部分を描くのが作画・三吉汐美『ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ』。ヒロイン・アスナが妙にエロく(あざとく?)描かれているのが最大の特徴。ほぼキリトとアスナのラブコメで、そういうものが読みたい人には特におすすめ。

■短編集のコミカライズ『ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ』

 『SAO』は原作でも何冊か短編集、または「○○編」から独立した巻があり、その多くはアニメ化されている。

 だが原作22巻のエピソードは作画べっこうリコ『ソードアート・オンライン キス・アンド・フライ』としてコミカライズされてはいるが、映像化はまだされていない。

 というのも原作の刊行が2019年10月とかなり最近のものであり、巻数的にはいまアニメ化が放映しているアリシゼーション編よりあと(アリシゼーション編は原作小説では9巻から20巻まで)だから。ただしアリシゼーション編のあとでなくとも、アニメ第1期(アインクラッド編とフェアリィ・ダンス編)を見終わっていれば問題なく読める。

 アインクラッドにてキリトの心に深い傷を刻んだサチとのエピソードの後日談は泣ける。

■ゲームのコミカライズ『ソードアート・オンライン ホロウ・リアリゼーション』

 『SAO』は何作もゲーム化されており、ゲーム版のコミカライズもある。

 ひとつめは2016年にPS VitaとPS4版が、2019年にNintendo Switch版が発売されたRPG『ソードアート・オンライン ホロウ・リアリゼーション』のコミカライズ(作画・緋呂河 とも)。フェアリィ・ダンス編のあとにキリトやアスナ、リーファたちがSAOを元にした新たなVRMMORPGソードアート・オリジンをプレイしたという並行世界(原作とは時系列や一部設計が異なる)を描く。

 なかなかに骨太なストーリーと、原作でも扱われる「ゲームと生死」をめぐるテーマ設定(ソードアート・オリジン内ではNPCが死ぬと二度と復活しない。つまりNPCにとってはSAOのようなデスゲーム)が読ませる。そしてなによりこの世界では、原作で強烈な印象を与えた絶剣ユウキが元気に活躍したり、バカな日常パートに参加してくれるのが、これまた涙なしには読めない……。

 ふたつめは2019年にPS4、Xbox one、Steam用に発売された『ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス』のコミカライズ(作画・緋呂河 とも)。

 アリシゼーション編の舞台となるアンダーワールドでキリトやユージオたちのオリジナルストーリーを描いていく。オリジナルとはいえ、アドミニストレータとの決戦のあとにゲームと原作/アニメでストーリーが分岐する、という流れなので、アリシゼーション編のアニメ第1期を見終えた(原作なら14巻までを読んだ)あと読んだほうが望ましい内容になっている。

 ゲームのシナリオは長大なため、コミックスはまだ刊行されたのは1巻だけ。このあとが楽しみな作品だ。

■マンガオリジナルの『ソードアート・オンライン ガールズ・オプス』

 さらに、完全にマンガオリジナルの作品もある。作画・猫猫猫『ソードアート・オンライン ガールズ・オプス』だ。

 これはリーファ、シリカ、リズベットがALOに追加されたSAOの〈天使の指輪〉(リングオブエンジェルウィスパー)シナリオをプレイ中、キリトそっくりの女性プレイヤー(!)に出会うことに始まり、SAOサバイバーである彼女の因縁を掘り下げ、女性同士の友情を描いていく。フェアリィ・ダンス編まで予習済みなら大丈夫。

 女性キャラだけでビーチバレーしたりといったサービスシーン(?)もあり、かけあいも楽しい作品だが、ストーリーの本筋は、原作/アニメ本編にも深く関わる殺人ギルド「ラフィン・コフィン」が絡むシリアスなもの。

 本編ではメインヒロイン・アスナの存在感が強すぎて賑やかし的なポジションに落ち着いてしまったリーファやリズといった女性陣が好き! という人にオススメ。

 『SAO』のコミカライズは無数に出ていて、入り口を間違えたり、どの作品がアニメで言えばどの話のあとなのかなどをよく知らずに触れると「これなんのこと?」「いつの話?」となってしまう。ぜひ上記を参考に、マンガでも広がる『SAO』世界の一端を覗いてみてほしい。原作やアニメ本編とはまた違ったキャラクターの魅力を発見したり、改めて『SAO』を貫くテーマに気付はずだ。(飯田一史)

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