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『マーダー★ミステリー ~探偵・斑目瑞男の事件簿~』特集

ストーリーテラーを務めるのはこのふたり! 劇団ひとり×剛力彩芽スペシャルインタビュー

特別連載

第6回

21/3/19(金)

台本はなく、渡された設定を読み込んで自分で与えられた役割を即興で演じなから殺人犯を暴く次世代型推理ゲームがベースの新感覚ドラマ『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』。

エントリー総勢251人の中から選ばれた7人のファイナリストが作り上げていくこのミステリードラマを審査員と一緒にその場で見て、犯人を推理しながら演者たちの演技力をチェックした劇団ひとりと剛力彩芽を直撃! 実は、本人らも探偵・斑目瑞男(まだらめ・みすお)役と、その助手・村城和兎(むらしろ・わと)役でストーリーテラーとしてドラマの中に登場している!? 新たに誕生したエンタテインメントの唯一無二の魅力と面白さを語ってもらった。

謎解きだけではない芝居側のミステリーが面白い

── ご覧になっていかがでしたか?

ひとり 面白かったですね。ミステリーだし、ドキュメンタリーだし、バラエティだし、いろいろな見方ができるまったく新しい番組でした。

剛力 私は番組を進行させなければいけないので、事前に一度見せていだいて、今日が二度目だったんですけど、展開を知っているからこそ、この人たちはここでどんなお芝居をしていたんだろう? これはアドリブなのかな? 設定があるのかな? とか考えながら見られる。だから、何回見ても楽しいと思います。

ひとり 確かに。1回目と2回目でたぶん全然違う見方をするでしょうね。

剛力 それこそ、犯人役の人なんて表情が豊かで、2回目に見たときに、あっ、この人このとき、こういう表情をしていたんだ?っていう発見があって面白かったですよ。

── ひとりさんが先ほど言われたように、この番組は謎解きや犯人探しのドラマ仕立てですけど、メインテーマは新人発掘オーディションです。この番組の企画自体はどう思われました?

ひとり すごくいい企画だと思いますね。ミステリーとしても普通に面白いんですよ。だけど、そこに、この役を与えられたらどんな芝居をするだろう? という芝居側のミステリーもあるわけですね。

だから、これで世に出るんだ! 爪跡を残してやるんだ! といった役者さんたちの駆け引きやバトルもあったりして。だから、すごく面白いけれど、疲れる番組でもありますね(笑)。

剛力 (笑)。

ひとり 逆に、ながら見されちゃうと、面白さが伝わらないんじゃないかな。集中して、いろいろな視点で楽しんでもらいたいですね。

剛力 私はこのオーディションを受けたいと思いました。ただ、予選で落ちたらどうしよう? という不安がやっぱりありますよね。

普段は台本をいただいて、設定やセリフがある状態でお芝居をしているので、設定と大まかな物語の流れだけ教えられて、その状況で犯人を見つけなきゃいけないってなったときに自分だったらどうするかな? と思って。そういう見方もできるんです。

ひとり そうですね。

剛力 そう。相手の芝居も予測できないから、あっ、ここでこう来るか? って思ったりもするけれど、それも面白い。私もお芝居をさせてもらうことが多いので特にそちら側の目線で見ちゃうけど、お芝居経験者でも未経験者でも、そういう視点で見られるから、そこは新しいのかな?って思います。

笑いをこらえるのがいちばん難しい

── あと、謎解きに夢中になる人もいると思うんですけど、ひとりさんはどこにポイントを置いてご覧になっていました?

ひとり 僕はけっこう芝居が楽しかったですね。あっ、この人、ブレないな~とか、この人、ちゃんとこういうところでも間を作れるんだな~とか、相手のセリフをちゃんと聞いてからちゃんと喋っているなとか。そうじゃない人は、コレを言いたいと思うと、相手のセリフを聞く前に喋っちゃいますから(笑)。

剛力 我慢できなくて(笑)。

ひとり そう! あと、ちゃんとキャッチボールになっているかとか、僕はそういうのを見ているのが楽しかった。

役者さんの個性がすごく出やすいし、僕も表に出る仕事をしているから参考になったけれど、前に出たり、大きい芝居をしたからって目立つわけじゃなくて、控えめな小さい芝居の方が結果的に印象に残るということを改めて確認できました。そういう意味でも、役者さんはいろいろ勉強になるんじゃないですかね。

── 具体的に印象に残った役者さんやお芝居を教えてください。

ひとり 僕は記者の竜崎を演じた斉藤佑介さん。細かい目の芝居や間の芝居をちゃんとやっていて、本当に芝居が好きなんだな~この人は、って感じがしましたから。いい意味で、自分の芝居に酔っているじゃないですか! だから、見ていて気持ちがいいですよね。

剛力 私はイラストレーターの猪又を演じていた松澤和輝さん。熱量もすごくあるし、何か隠しているなっていうのは分かるんですけど、彼が喋ると引き込まれてしまうと言うか、真剣に聞かなきゃっていう気持ちになる。それぐらい印象的でした。あの顔はアドリブなのか、素の驚きの表情なのか? そのバランスを上手くとろうとしている感じが面白くて、どっちなんだ、どっちなんだ? と思いながら、見入っちゃいました。

── ひとりさんも番組の中で言ってましたものね。「お芝居とリアルが交錯している」って。

ひとり うん、うん。そこが醍醐味なのかもしれない。

剛力 犯人じゃない人が安心しきって、気楽に喋ってるときもありましたしね(笑)。

ひとり いや~あとで確認しましたけど、ちょいちょい笑っている瞬間も映っていましたよ(笑)。俺も一緒にやっていたらつられて笑っちゃうと思うし、笑いをこらえるのはけっこう至難の技だと思いますよ(笑)。

剛力 笑わずに芝居を続けるのがいちばん難しいことかも(笑)。

ひとり 難しいと思います。

それぞれの芝居をアピールできるいい自己紹介に

── 即興力だけでなく、相手の芝居を受けたときの対処法や判断能力も必要ですね。

ひとり 絶対に芝居を適当にやっちゃいけないんですよ。でも、やっちゃいそうだから怖くて。僕も「口から出まかせを言え!」って言われたら全然言えるけど、適当なことを言うと間違えちゃうじゃないですか。それこそ、アリバイも崩れちゃう可能性があるから、出まかせは言えないんですよね。

── そこが普通の即興芝居と違うところですね。

ひとり 違うんです。

剛力 確かに、その怖さはありますね。

ひとり あるある。うっかり適当なことを言っちゃったら、後で「あれ、辻褄合わないよね」ってなっちゃう。

剛力 緊張感がありますね。

── ひとりさんも最初に言われたことですけど、番組の審査員の方々も「芝居がブレない方はスゴい」って評価されていたのが印象的でした。普通の視聴者はオーバーな芝居や大きな見せ場のある人に目が行きがちですけど、そうじゃなくて、ずっとブレずに同じ芝居を続けている人にみなさん注目されていたので、そこは面白かったです。

ひとり だって実際は3時間ぐらいカメラを回していたらしいですけど、その間、芝居をずっと続けるのはけっこう大変なことですよ。

── 3時間、ずっと役になり切っているわけですものね。

ひとり そうなんですよ。

剛力 本当、スゴいと思います。

ひとり そういう意味ではすごくいい自己紹介になると思いますよ。

剛力 そうかもしれない(笑)。

見て欲しいのは役者が即興でやっている芝居

── 犯人探しの方はいかがでしたか?

ひとり まあ、犯人探しの部分でもすごく楽しめます。でも、この番組はね、そっちばっかりに興味を持って欲しくないんですよね。

剛力 そうですね。

ひとり そこも面白いけれど、この番組でやっぱり見て欲しいのは、役者さんがその場で即興でやっている芝居の面白さですから。本当に、見事ですよ。セリフを噛まないですから、まず。

噛まないってスゴいことですよ。けっこう、まくし立てる場面、ありましたからね。あの芝居を頭の中でガ~って考えながら出して噛まない。これもけっこう至難の技です。

剛力 確かに!

ひとり セリフを用意されたって噛んじゃうんだから。

剛力 私もあんなにリズミカルに、まくし立てる芝居はできない(笑)。

── クライマックスの芝居もスゴかったですね。ひとりさんも「これって台本があるんですか?」って聞かれてましたけど……。

ひとり 台本がないなってことは分かるんですよ。だって、ヘンなこと言ってるから(笑)。

剛力 台本があったら、そんなこと言わないっていう(笑)。それが一瞬、いいシーンだなって思えるのもたぶんその人のアドリブや芝居に力があるからなんでしょうけど、よくよく考えてみると……。

ひとり ヘン! いい意味ですごくヘンなんですよ(笑)。

── 剛力さんはさっきご自分でもやってみたいって言われてましたし、ひとりさんも番組で「やってみたい」って言われてましたね。

剛力 でも、怖いな~(笑)。私、嘘をつくのがすっごい苦手だから、犯人役になったらどうしよう?っていう不安があるんですよ。もしやるなら、友だちとここまで真剣にお芝居をする形で「マーダーミステリー」をやってみたいです。

ひとり 僕は脱出ゲームとかも好きだし、楽しそうだからやってみたいけど、芝居のランクがちゃんと同じぐらいの人を揃えてやりたいし、芝居がバチバチして欲しい。

剛力 怖いけど、面白そう(笑)。

ひとり そこもけっこう大事だと思うんですよね。コイツには負けたくない! っていう気持ちが。相手がヘンに若い子だと「いいよ、いいよ。どうぞ、どうぞ」って甘やかしちゃうでしょ。

── ちなみに、同じレベルの人たちとやった場合、ひとりさんは自分から仕掛けていきますか?

ひとり いや、今日のみなさんの芝居を見て、最初はちょっと控えめにいった方がいいなと思ったから、けっこう静かなトーンで喋るキャラクターにすると思う。まくし立てて噛むのもイヤだしね(笑)。

剛力 私もボソボソ喋るキャラクターにすると思う。あまり、ひっかき回せないので。

ひとり 生瀬さん(※審査員の生瀬勝久)なんて、逆にムチャクチャやるでしょうね。

剛力 それ、すごく見たい! だけど、お芝居未経験者の方がやったらどうなるのか?っていうのも見てみたい。やったことはないけど、お芝居に興味のある人の実力、演技力が一瞬で分かるし、本当に可能性がいっぱいあるような気がします。

── 控えめな芝居をしていても、ほかの役者さんに仕掛けられて自分が予定していなかったような展開になる場合もありますよね。

ひとり そういう瞬間が面白いんですよね。

── おふたりは、そうなった場合でもリカバーできますか?

ひとり どうかな~?

剛力 私はそうなったら、ちょっと安心しちゃうかも。自分の秘密が早い段階でバレちゃったら、私の役目は終わったと思って、犯人探しに没頭しちゃうかもしれない(笑)。

── ひとりさんは以前、即興の芝居が話題になったバラエティ番組やそこから誕生した映画『ゴッドタン キス我慢選手権THE MOVIE』(13)をやられていましたけど、あれと今回の「マーダーミステリー」はちょっと似てますね。

ひとり でも、あれは僕はアドリブだったけど、ほかの役者さんはセリフがあったし、その共演者の方々が僕のミスを修正してくれる人たちだったんです。

── じゃあ、作りがちょっと違いますね。

剛力 こっちは相手がどう来るのか分からないですものね。

いろんなパターンで同様の番組を作ったら面白い

── いずれにしても、今回はこの1回限りの『マーダー★ミステリー~探偵・斑目瑞男の事件簿~』です。評判がよければ第2回もあるかもしれないですけど……。

ひとり いや、本当にいい企画だと思うから、定期的に続けていった方がいいと思うし、欲を言えば、この番組発のスターが出て、「実はあの番組の出身なんですよ」みたいな展開になったら素晴らしいですね。

── 第2回、第3回と続けていくとしたら、改善した方がいいところはありますか?

ひとり すごく難しいんですけど、役者さんがどこまで何を知っているのか? というのが分からなくて、見ていると混乱してくるんですよね。この情報はこの人だけが知っているのか? その人のパートナーも知っているのか?っていうのが、けっこう分からなくなる。

だから、僕はスタッフに逐一確認していたんです。それによって全然違うじゃないですか? この情報を知らなかったら、この対応はスゴいなって思っちゃうし、あっ、この情報が出るって分かっていたからこのセリフを言っているんだろうなとか思う。

要は、ナチュラルに食っちゃうんですよ、絶対に前に出るタイプの人が。こういう事実があるんだったら、このときにこういうセリフを言っちゃおうって、事前に考えたくなくても考えちゃうものでしょ!

だから、逆にその情報を知らずに前に出てきたんだったら、スゴいな~と思ったので、それをけっこう確認して。それによって、審査員の評価もけっこうガラっと変わると思うんですよ。

── でも、剛力さんはそこも全部分かった上で観ていたんですよね。

剛力 進行をやらせてもらう以上ある程度は観させて頂きました。でも、情報をどこまで知っているのか?っていうことも、誰がどんな秘密を持っているのかということも、すべて把握しているわけではなかったですからね。

ひとり だから、誰かひとりでもいいから、どれぐらいの情報を与えられていたのかということを、番組終了後にツイッターなどにあげてもいいかもしれないですね。面白いと思う。それを見て、あっ、この情報だけであそこまでやっていたんだ~っていうのが分かりますから。

剛力 うんうん。

ひとり 演者たちと審査員のアフタートークがまた面白かったですからね。

剛力 アフタートークは必ず欲しい。

ひとり だから、尺がいるんですよね。この番組って。30分や1時間じゃ、けっこうキュッキュッキュッとなって面白さが伝えられないですから。

── 生瀬さんや審査員のコメントも面白かったんですけど、おふたりが“あっ、そういう見方をするんだ?”と思うようなコメントをされた方はいましたか?

ひとり そうですね~。あっ、でも、生瀬さんが「アイドリング芝居がいいね~」って言ったのは印象的でした。うん。やっぱ、強く大きくやるものって、まあ、けっこう分かりやすかったりするじゃないですか。そうじゃない、回転数で言うと、すごく低いところで印象に残る芝居をするっていうのは、役者さんにとってけっこう大事なことかもしれない。“立ってるだけで絵になる”って、そういう人ですからね。でも、「アイドリング芝居」っていうワードはなんか面白いな~と思いました。僕は初めて聞いたので。

剛力 私も初めて聞きました。

ひとり でも、なんか分かる。アクセル全開のときはね、分かりやすいけど、そうじゃないときの方が大事なんだっていう。

── 「ペダルを漕いでいるみたいな感じ」って言われてましたよね。

ひとり うんうん。

剛力 生瀬さんが前半の方で言っていた「主役は感情を探させる」というフレーズもよかったですね。

ひとり あれも面白かったですね。

── でも、やっぱり役者の方は役者目線でお芝居を見るし、映画監督は演出側の視点でお芝居を見るので、その違いも面白かったですね。

剛力 そうですね。

ひとり あと、カメラマンもちゃんと褒めてくださいね。あれを全部、その場で撮っていったわけですから。

剛力 確かに、逃さないように全部撮ってますからね。

── 美術で用意した柱の中に隠れて撮ったりとかしていたみたいで。

ひとり えっ、そうなんですか? あれもなかなか大変なことですよ。その場その場で。途中で見切れてましたけどね(笑)。

剛力 最後のあたりですね(笑)。

ひとり うん。逆にそれで熱量が伝わってきますよね。「撮ってやるぞ~!」っていう(笑)。

── 演者の方も、「こっちに顔をよこせ!」というカメラマンの圧を感じたって言っていました。

剛力 ああ、カメラがいいポジションに入っているなっていうところもありましたものね。

ひとり だって、次、誰が喋るのか分かんないわけですからね。

── でも、いちばん多いときは20台ぐらい回っていたと言っていましたよ。

ひとり あっ、そんな台数で撮っていたんだ! いや~そういうことも含めて、すごく豪華な番組になりましたね。

── これが本当に次に続くといいですね。で、どんどん広まっていけば、もっと演技のスキルが高いとんでもない人が参加してくるかもしれないし…。

ひとり うん。リピーターがいてもいいしね。

── あと、7人の役者で作るこのドラマはほかのメンバーでやると違う物語になるし、そういう今回のマーダーミステリードラマならではの物語の作られ方の面白さに関してはどんな感想をお持ちですか。

ひとり あっ、同じ話を別のメンバーでやるってことですか?

── そうすると、もちろんアドリブも変わるし、違う展開にもなってくるので、今日のドラマはこの1回きりしか作れないわけですけど……。

剛力 確かに、同じものは作れないですね。

ひとり 台本を用意する人も大変ですよね。なんか別に、もう殺人とかじゃなくてもいいかもしれないですけどね。

剛力 うん、そうですね。

ひとり 誰が誰にプロポーズするでしょうか? みたいな設定にするとか……。

剛力 あ~それは幸せですね。

ひとり うん。「この中で、誰かが最終的にプロポーズします」みたいなことでもいいですけどね。

── いろんなものができそうですね。

剛力 色々と芝居がまた変わりそうですね。

ひとり そうですね。いろんなパターンがあったら面白いんじゃないですかね(笑)。

取材・文:イソガイマサト 撮影:渡邊明音

番組情報

『マーダー★ミステリー~探偵・班目瑞夫の事件簿~』

3月19日(金)深夜1時34分~ ABCテレビにて放送。ABEMAでも同時配信

番組公式サイト:https://www.asahi.co.jp/mudermystery/
番組公式Twitter:@MadarameMisuo

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