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『スカーレット』喜美子が恋煩いに気づく 浮かれた圭介の子どもっぽさも愛おしい

リアルサウンド

19/10/29(火) 12:00

 喜美子(戸田恵梨香)がささやいた「イガクセイ(医学生)」の5文字は効果てきめんだった。『スカーレット』(NHK総合)第26話では、さっそく泉田あき子(佐津川愛美)が荒木荘をたずねてくる。今回は、チャウチャウ犬を連れていない本気モード。初回から積極的なあき子に圭介(溝端淳平)は完全に舞い上がってしまう。

参考:『スカーレット』第27話では、喜美子(戸田恵梨香)が圭介(溝端淳平)のデートの練習相手に

 「喜美ちゃん、ありがとう!」と圭介に抱きしめられ、驚いて固まる喜美子だったが、荒木荘の人々のほうが先に喜美子の思いに気づく。女心に鈍感そうな圭介が喜美子を「かわいい妹」と言うように、仕事上の付き合いや恋愛対象を超えた“家族”に近い関係なのだろう。落ち込んでいる喜美子に優しく接するさだ(羽野晶紀)や雄太郎(木本武宏)もそうだが、特にちや子(水野美紀)は、長女の喜美子にとっては姉のような存在。喜美子とちや子の出会いは、部屋の仕切りを倒してしまうシーンから始まるが、今後さらに絆が深まっていくと予想される。

 「なに浮かれとんのや、このポンコツ」と圭介に毒づきながらも、「圭介さんが喜んでるとうちもうれしい」と喜美子。「それが恋や」とちや子に指摘されて、「恋っちゅうのはおもろいな」と明るい表情に。「腹立ったり、喜んだり、今までにない気持ち。悲しくもなります。寂しい気持ちにもなる」と話す。傷心よりも好奇心が先に立つところや、客観的に自分の気持ちを見つめることができるのは喜美子の長所。おはぎを作るのが上手だったり、こねる料理という点で共通するハンバーグの作り方を聞いているのは、陶芸の道に進む暗示も含まれているのだろうか。

 気になる圭介の恋路について、あき子は医学生としての圭介の将来性に魅かれていると推察される。雄太郎の「僕も5文字(公務員)のときは見合いの話がよう来たわ(ただし現在は独身)」という発言もあり、ここはちょっと静観という雰囲気。そもそも、喜美子が間に入ってのお付き合いという可能性もある。

 おはぎを作っているときの喜美子は、圭介に喜んでもらいたいと思っている。あき子に「おはぎが好きやなんて子どもみたい」と言われ、「せっかく作ってくれてはるから食べていた」と口走る圭介は子どもっぽい。それを聞いて、自分の気持ちをおもしろがれる喜美子は少しだけ大人だ。憂鬱な恋煩いにも新しい発見がある。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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