Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『デッドプール3』はMCU初の“R指定”作品に 今後のシリーズに与える影響は?

リアルサウンド

21/1/19(火) 10:00

 1月12日、アメコミ映画ファンを狂喜させるニュースがネットに流れました。マーベル・スタジオの社長で、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の仕掛人/プロデューサーであるケヴィン・ファイギが、“ライアン・レイノルズ出演のMCU版『デッドプール』はR指定作品になる”という主旨の発言をしたのです。まずこのニュースの状況を整理しましょう。

 なぜこのタイミングでこの発言が出てきたかというと、Disney+(ディズニープラス)でMCU最新作『ワンダヴィジョン』の配信が1月15日から始まりました。2020年はコロナ禍で1本もMCU作品がなかっただけに、待望の新作リリース。そのプロモーションの一環でケヴィン・ファイギが多くのメディアのインタビューに答えたわけです。久しぶりにマーベル・スタジオのキーマンがしゃべるわけですから、これからのMCUについてのことも話題になる。なので、このデッドプールについても触れられた、ということです。

 次に、デッドプールとMCUの関係のおさらいです。デッドプールはマーベル・コミックのキャラクターですが、X-MENのコミックに紐づく作品です。そしてX-MENについてはMCUが始まる前に(そしてマーベルがディズニー傘下になる前に)、マーベルが20世紀フォックスに映画化権を渡していました。なのでヒュー・ジャックマンのウルヴァリンで有名なX-MEN映画シリーズは、マーベル原作でありながらMCUではなく、20世紀フォックスのマーベル映画として存在しました。したがって大ヒットしたライアン・レイノルズの『デッドプール』『デッドプール2』も20世紀フォックス映画であり、MCUではありません。なので、コミックではアベンジャーズとX-MENが共演しても、映画では実現できなかったわけです。

 ところが20世紀フォックスがディズニーに買収されたことにより、状況は大きく変わります。これにより20世紀フォックスが持っていたX-MENとファンタスティック・フォーの映画化権がディズニー経由でマーベル・スタジオに戻ってきたわけです。なのでMCU版のX-MEN、ファンタスティック・フォーを作ることが可能になる、MCUの世界にこれらのキャラを出すことも大丈夫ということ。すでにMCU版スパイダーマンのメガホンを取るジョン・ワッツ監督によってMCU版『ファンタスティック・フォー』が作られることが可能になりました。当然のことながらデッドプールをMCUに登場させることがOKになります。

 とはいえファンの間では2つ懸念がありました。

 1つは、MCU版『X-MEN』、『ファンタスティック・フォー』は当然20世紀フォックス版をリセットしたものになるから新キャストの可能性もある。そうなった場合、ライアン・レイノルズが続投するのか?

 2つめは、『デッドプール』は2作ともR指定映画であり、そもそもこのキャラはバイオレンスと過激トークが売り物なので、ディズニー傘下でR指定ヒーロー映画が作れるか? 実際、MCUにはR指定映画はありません。

 1については、やはりデッドプール=ライアン・レイノルズ以外のキャスティングはあり得ないだろうということはマーベル・スタジオ側もわかっていて、彼が続投。アニメ『The Great North(原題)』『Bob’s Burgers(原題)』の脚本家で製作総指揮を務めるウェンディ&リジ―・モリノー姉妹の脚本×ライアン・レイノルズ出演でMCU版『デッドプール』(事実上の『デッドプール3』)を作ると発表されました。昨年の11月のことです。

 ある意味、これは想定内だったのですが、問題は2でした。やっぱりファンとしては、R指定だからこそ描けるデッドプールの暴走ぶりが楽しみなわけですからね。しかし、今回のケヴィン・ファイギの発言でその心配もクリアされたわけです。デッドプール好きとしては嬉しい限りですが、さらにこのニュースは今後のMCUについて新たな期待を持たせてくれます。

 ではどんなことが起こりうるのか? 以下、筆者の妄想も入った“可能性”について列記しましょう。

MCU版『ブレイド』もR指定になる

 MCUではマハーシャラ・アリ出演で、あのヴァンパイア・ハンターの『ブレイド』のリブートを企画しています。MCU以前に作られたウェズリー・スナイプスの『ブレイド』3部作はR指定のホラー・バイオレンス活劇でした。したがって『ブレイド』についてもR指定テイストを望む声が多いのですが、MCU版『デッドプール』がR指定映画ならMCU版『ブレイド』もR指定映画でいけるハズです。

チャーリー・コックスのデアデビル復活

 ケヴィン・ファイギは『デッドプール』以外にも、今後のMCUについての質問に答えていますが、その中でNetflixの『デアデビル』らがMCUに登場するのかについても言及しています。

 Netflixの『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『パニッシャー』『アイアン・フィスト』『ルーク・ケイジ』『ディフェンダーズ』は、MCUの世界観とゆるく連動はしているのですが、MCUとは別物になっていました。

 そしてディズニープラスで本格的にMCUドラマが始まるのに伴い、このNetflixのマーベル・ドラマは止まってしまいました。しかしこのNetflix作品のファンも多い。特にチャーリー・コックス演じるデアデビル/マット・マードックのMCU登場は期待されています。これについてケヴィン・ファイギは「あらゆる可能性がある」的なコメントをして、“否定”しなかったんです。

 ケヴィン・ファイギはライアン・レイノルズのデッドプールを続投させるなどファンの声を大事にするし、また今後のMCUがマルチバース(並行世界みたいな概念)を使ってMCU以前のスパイダーマン映画のキャラを、今度のトム・ホランドのスパイダーマン映画に登場させるなど、今までの映画やTVの財産も大事にします。

 したがってチャーリー・コックスのデアデビルのMCU登場の確率はかなり高いのではないか? そしてNetflixのマーベルものは犯罪者と戦う話が多いので、必然的に暴力描写が過激になり、これをそのまま映画にしたらR指定確実です。しかしMCUでR指定が解禁になれば、その心配もない。

ヒュー・ジャックマンのウルヴァリンのMCU登場

 MCUでヒュー・ジャックマンのウルヴァリンがアベンジャーズと絡むのを観たい!というファンは多いです(僕もその一人)。ただこれについてはヒュー・ジャックマン自体が「ウルヴァリン役を卒業した」と言っているのでその可能性は低い。

 けれどライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマンの“友情”でワンチャン、ヒュー・ジャックマン/ウルヴァリンが(カメオでも)MCU登場はあるかもしれません。実際、ケヴィン・ファイギは「まだMCU版ウルヴァリンを誰に演じさせているか決めていない」と明言しており、これはヒュー・ジャックマンの復活を示唆しているのか?

 ケヴィン・ファイギは、ライアン・レイノルズは超多忙なので2021年中の撮影はないと言っており、2022年撮影なら2023年ごろ『デッドプール3』かな。ただ、この先のスパイダーマン、ドクター・ストレンジの映画でカメオ的に出るかもしれません。R指定デッドプールがMCUにどういう化学反応を起こすか楽しみですね!

■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter

■リリース情報
『デッドプール2』
デジタル配信中
Blu-Ray&DVD販売中
(c)2018Twentieth Century Fox Film Corporation

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む