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鎌倉にフィルムコミッション設立、中井貴一がコロナ禍の現場と市民への親しみ語る

ナタリー

20/7/16(木) 14:16

鎌倉ロケーションサービス設立記者会見の様子。左から中井貴一、山内静夫。

鎌倉ロケーションサービスの設立記者会見が本日7月16日に神奈川・鎌倉文学館で行なわれ、鎌倉市国際観光親善大使を務める俳優の中井貴一らが出席した。

鎌倉に映画やドラマの撮影を誘致するべく、神奈川県内で16番目となるフィルムコミッションとして設立された鎌倉ロケーションサービス。鎌倉はかつて市内に松竹大船撮影所があったことから、映画との関わりも深い場所だ。フィルムコミッション事業はおよそ20年越しの懸案課題であったが、これまで実現には至らず。多くの作品の舞台となっていながら、映画やドラマのロケーション撮影を行うのが難しいとされていた。

鎌倉ロケーションサービスの実務は、一般社団法人の鎌倉映画学校が担う。松竹大船撮影所でプロデューサーとして働き、小津安二郎の「早春」「彼岸花」「お早よう」「秋刀魚の味」を製作した鎌倉在住の山内静夫も出席。現在95歳で鎌倉映画学校の名誉顧問を務める山内は「映画っていうのは有名な人や場所にはキャメラを向けない。人が見ない場所にキャメラを向けるのが映画の癖なんです。だから鎌倉って場所は有名過ぎて、映画に向かない」と素直に持論を述べつつ、「ただ隙間隙間にはいいところがたくさんある。僕は鎌倉の細い路地がとても好きです。なかなか人目につかないけれど、狙うところはいっぱいあります。ぜひ鎌倉を愛してください」と語った。

鎌倉を舞台としたドラマ「最後から二番目の恋」で市の観光推進課課長という役柄を演じていた中井。山内とは子供の頃から親しい間柄にあり「僕は、けっこう有名な場所にカメラを向けてきてしまいました。今でも“観光推進課課長”を続けているつもりです」と話し笑いを誘う。父・佐田啓二の墓参りのため鎌倉を訪れる機会も多く、特に北鎌倉には深い思い入れがあるという。

コロナ禍を踏まえ「今、映画やドラマの撮影でもロケに出られない、場所を借りることができない。もともと潤沢な資金があって制作しているわけではないので、セットを一から作るのではなく、ロケセットで撮影するのが当たり前の状況になっていた。それが借りられないのは、業界にとって大きな損失」と制作現場を取り巻く状況を説明。「これからはウイルスがどこかに存在する、という認識を持ちながら撮影していかなければいけない。そういう意味で皆様のご理解がより必要になってくる。こうしたフィルムコミッションが映画やドラマの大きな手助けとなります」と呼びかけた。

続いて「実は市民の皆様は、撮影にとってもご理解があるんです」と、かつて鎌倉でロケ撮影した作品の現場を回想。「当然撮影していると、通行人や車の邪魔になる。だから『邪魔だよ!』と叱られて本番が止まってしまうこともある。それに言い返してくれたのが鎌倉の住民で。近所のおばちゃんが『うるさいわよ!』と僕たちを守ってくれた(笑)。本当に鎌倉の方たちは撮影にご理解がある。今後もお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いします」と、市民への親しみをのぞかせた。

フィルムコミッション設立を文化推進事業の1つとしてマニフェストに掲げていた鎌倉市長・松尾崇は、ロケを誘致することで「100年後の人たちがその作品を観たときに『100年前の鎌倉はこんなだったのか!』とわかってもらえるような取り組みをしていきたい」と明言。鎌倉市観光協会の大森道明も「観光が1つの経済の柱である鎌倉を元気付け、街がますます発展していく一助になれば」と語った。

映画を愛する市民が集った有志団体がもとになっている鎌倉映画学校。市と鎌倉市観光協会からフィルムコミッションの業務委託があり、このたび一般社団法人として組織化された。今後は鎌倉での映画製作やフィルムコミッション業務を担当する人材の育成を目的としたセミナーなどの開催も予定。鎌倉を日本の映画芸術の魅力を世界に向けて発信する場所にするべく、活動していく。今夏からはクラウドファンディングの実施も予定している。

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