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武田航平 オレニ撮ラセロ!

俳優とは、一度決めたからには100点以上を出すべき職業

毎週連載

第84回

21/4/30(金)

武田さんと徳山秀典さんの共通点といえば、ヒーロー! お互いの作品のお話はもちろん、共演作のドラマ『闇金ウシジマくん』の現場での話題から発展して、役者としてのスタンスや信念といった深いお話まで、じっくりと語っていただいています。

「徳山さんは結果を残し続ける男」

武田 僕は『キバ』と『仮面ライダービルド』で東映特撮に2回出させてもらっているんですけど、徳山さんも『仮面ライダーカブト』と『ゴーオンジャー』で2作品出演されてますよね。『カブト』はどういう経緯で出演することになったんですか?

徳山 20歳の頃に一度、俳優を辞めようと考えていたときがあったんだけど、「一度でいいから来てほしい」と金子修介監督から声をかけてもらったのをきっかけに、ドラマ『ホーリーランド』のオーディションを受けたんだよ。役の生い立ちが俺にぴったりだったし、しかも原作が格闘漫画でアクションもできたから、原作者の方から「君がいい!」と言っていただけて、出演することになって。それで、そのドラマを観たプロデューサーの白倉(伸一郎)さんが連絡をくれて。

武田 それはすごいですね。

徳山 最初は4話だけのゲスト出演って話だったんだけど、劇場版でもう一回変身することになり、さらに映画のクランクアップでも、白倉さんから「まだまだだよ」と言われて、今度はキックホッパー役で出演したんだよね。

武田 徳山さんの役がすごく人気だったのは、僕も覚えています。徳山さんは結果を残し続ける男ですね。

徳山 武田くんのときはどうだったの?

武田 僕は『キバ』のときはレギュラーで出ていたんですけど、『ビルド』は人気が出たら変身させてあげると言われていました。それで一生懸命やって、無事変身させてもらって。ありがたいことにVシネマまでやらせていただけました。

徳山 そうなんだ、すごいね。

武田 『ゴーオンジャー』はどういう経緯だったんですか?

徳山 『ゴーオンジャー』は、『カブト』のときにAPだった和佐野(健一)さんから連絡をいただいたんだよ。「次のスーパー戦隊はダメダメ戦隊っていうテーマだから、それを超越するスーパーエリート役を探している」って。「オーディションで探しているけど、なかなか見つからないから、よかったらこのメンバーを締めてくれないかな」って言われて。そういう感じで出演が決まったね。

武田 徳山さんは若いけど大人な雰囲気を持っていたから、ピッタリだったんでしょうね。『キバ』のときも、『ゴーオンジャー』の皆さんを見ていいなって思っていたんですよ。ひとり頼れる先輩がいるって、すごく安心感があるんだろうなって。あとは、レッドの古原靖久くんがめっちゃ元気って噂も聞いていました(笑)。

徳山 そうだね(笑)。古原がああいうキャラクターだったから『ゴーオンジャー』がうまくいったのかなって思っているよ。

現場での在り方と距離感

武田 今は仕事の場で後輩と絡むことって多いですか?

徳山 あまりないかな。役作りを完璧にしないと舞台に上がれないから、あまりにも集中しちゃって。憑依型っていうのかな。もちろん、誰とも一切話さないというわけではないし、緊張しいな人がいたらその緊張をほぐすために会話はするけど、逆に思いっきり役に入り込んでいる人とは話さないようにしてる。

武田 それはどうしてですか?

徳山 その人と本番で、ガチでぶつかりたいからかな。芝居って人と人とのことだし、役に入っていても結局は人と人だから。どこまで役に入り込んでも、その人との距離はある程度、取っておいた方がいいんだよね。感覚的な話になるけど、一歩前に出てもぶつからない距離を保ちたいと思っている。だから、普段から人との距離感は大切にしてる。

武田 俳優によって役作りの仕方ってまったく違いますもんね。徳山さんとはドラマ『闇金ウシジマくん』でも共演させていただきましたけど、当時のことは覚えていますか?

徳山 もちろん。

武田 お互いホスト役で、徳山さんは白い衣装がすごくかっこよかったです。でも、役柄としてはだいぶ狂った役でしたよね。自分でああいう感じにしようって作ってきたんですか?

徳山 あれは現場で監督から言われたね。『ウシジマくん』は漫画が原作だから、事前に自分が演じる役の登場シーンは読んでおいてとは言われていて。その上で台詞を入れて、プランを考えていたんだけど、現場に行ったら俺が考えていたこととは真逆の指示をされたんだよ。

武田 えー!

徳山 (武田さんが演じる)隼人を自分の部下に殴らせているシーンでは、「とにかく大声でやって」って言われたから、そうやってみたら「もっと!」って言われて。

武田 僕も監督が「もっとやって!」って言っていたの覚えていますね。

徳山 そうしたら今度は監督が、俺の台詞が足りないって言い出して。「もっと」とか「ボディ!」とか、「3文字ぐらいの台詞を、徳山くんのセンスでいっぱい言って」って言われた(笑)。

武田 徳山さんのあのシーン、本当に怖かったです(笑)。

徳山 俺じゃないから。監督の指示だから(笑)。

武田 そうなんですけどね。でも、パッと見ただけでも、とにかくやばい人なんだっていうのが伝わってくるから、やっぱり徳山さんはすごいなと。

徳山 あのときは技術と経験でなんとか応えられたなと思う。リハーサルや本番の中にド集中して一気に落とし込んだね。でもすごく大変だったよ、最後は酸欠になっていたし。ただ、あの役は俺だって気づかれないことが多いんだよね。「『ウシジマくん』のどこに出ていたの?」ってよく言われる。

武田 普段の徳山さんのイメージと、だいぶ離れているからですかね。

徳山 そうかもしれないね。普段はクールなイメージを持たれる事が多いから。

「絶対にノーと言わない」役者としての信念

武田 事前に用意していったものとまったく違うものを現場で要求されて、それにすぐ対応できるというのは、本当にすごいことだなと。

徳山 でも役者ってそうであるべきだよね。俺は仕事を受けた以上、絶対にノーって言わないと決めていて。一度やると決めたからには100点以上を出さないといけない職業だと思っている。

武田 その考えは本当にすばらしいと思います。最近、現場で若手の俳優さんたちが「これ、できません」って言うことが多いと聞いていて。

徳山 そうだね、俺もよく聞くよ。

武田 こうやって大先輩たちが、受けた以上はやりきるという志を持ってやっているってことをもっと知ってもらいたいなと。現場で「できません」って言われるのは、すごくショックなことだって監督やスタッフさんが言っているから。

徳山 できないということは、役への理解が足りていないことだと思うし、台本を読み込めていないのかなと思うんだよね。「できない」と言うなら、その理由について、しっかりと監督を説き伏せられるようにしないといけないと思う。役者というのは、これを成り立たせてほしいと要求される仕事だから。

武田 そうなんですよね。“今の子達”って一緒くたにいうのはよくないですけど、そういう声を本当によく聞くから、徳山さんが今言っていた「ノーと言わない」という話はすごくタイムリーだなと感じました。芝居だけじゃなくて、こういう取材ひとつでもそういう考えを持ってやってくださっているのが伝わってくるし、本当にプロフェッショナルだなと。お金をいただいてプロとしてやる以上、どこの現場でも、年齢でも、その意識は持っていないといけないですよね。

徳山 それを理解できる武田くんは、同じことができるんだよ。たぶん武田くんも今までにたくさん悔しい思いもしてきただろうし、真面目なところやセンシティブなところ、技術、心と、いろんなところが秀でている人だから、そうやって僕のことを褒めてくれるし、僕もわかってくれてありがたいなって思う。

武田 そう言ってもらえてうれしいです。僕も、こういう考えを持っている先輩がいることを伝えていけたらいいなと思います。若い子たちがこれを見たときに、もっとこうやろうってヒントになったらいいなって。僕も今日お話させていただいて、すごく学ばせていただいています。

徳山 だから、今回のギャラは弾んでもらおうかなと思っているんですよ。

武田 僕はノーギャラでいいので、全部徳山さんに……(笑)。

徳山 あはは!

プロフィール

徳山秀典

1982年1月30日生まれ、東京都出身。1995年、NHK大河ドラマ『八代将軍吉宗』にて俳優デビュー。ドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』、『GTO』など数々の作品に出演し、注目を浴びる。2006年に『仮面ライダーカブト』矢車想/仮面ライダーザビー、仮面ライダーキックホッパー役として出演し、さらに2008年にはスーパー戦隊シリーズ『炎神戦隊ゴーオンジャー』にて須塔大翔/ゴーオンゴールドとして、再び東映特撮作品に出演した。現在もドラマ、映画、舞台と幅広く活動中。2021年6月には舞台『剣が君-残桜の舞-』再演の出演も控えている。

武田航平

1986年1月14日、東京都出身。2001年に芸能界入り、同年に第14回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」審査員特別賞を受賞した。『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』などで人気を博し、現在はドラマ、映画、舞台と幅広く活躍中。2021年はドラマ『24 JAPAN』(テレビ朝日)に出演し、恋愛フェイクドキュメンタリー『フェイクラブ』が動画配信サービス「FOD」にて配信。ドラマ『最高のオバハン 中島ハルコ』(フジテレビ系全国ネット)に出演中。

写真/大塚秀美、ヘアメイク/田中宏昌(allure)、取材・文/榎本麻紀恵、動画BGM/タダオト、撮影機材協力/Nikon(「ニコン Z 5」)

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