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堤真一らを配して、イプセン作『民衆の敵』が開幕

ぴあ

18/11/28(水) 10:00

シアターコクーンが海外の才能と出会い、新たな視点で挑む演劇シリーズ、その第4弾『民衆の敵』が、11月29日(木)に幕を開ける。“近代演劇の父”といわれ、日本でも20世紀初頭に上演された『人形の家』によって、新劇運動、ひいては女性解放運動にまで大きな影響を与えたヘンリック・イプセン。そんな彼が、社会問題を前面に打ち出した唯一の戯曲が、1882年に発表された『民衆の敵』だ。骨太なテーマを持つ本作だが、イプセンの巧みなストーリーテリングは、ここでも健在。工場の廃液汚染や市長の隠ぺい工作、扇動されて暴徒と化していく民衆など、130余年前とは思えないほど現代的なトピックが、鮮やかな筆致で展開してゆく。

キャストに目を転じると、ノルウェー南部の町で温泉発見の功労者となるも、その水が工場の廃液に汚染されていることに気づく医師トマスに、堤真一。その工場経営者を養父に持ちながらも夫を信じ、支え続ける妻カトリーネには安蘭けいが配された。さらに、トマスの実兄にして市長と警察署長を兼ね、汚染問題を巡って対立するペテルには、段田安則という顔合わせ。いずれも戯曲を細部まで読み解く力をもつ役者ばかりで、正義と野心、真実と裏切りをスリリングに描く本作で、どんな表情を見せてくれるのか楽しみだ。その他、新聞の編集者ホヴスタに谷原章介、印刷屋アスラクセンに大鷹明良、トマス家に出入りするホルステル船長に木場勝己と、脇を固める役者陣も頼もしい。

今回演出を手がけるのは、英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身で、ウエストエンドを始めブロードウェイでも活躍中のジョナサン・マンビィ。今年は、イアン・マッケラン主演で昨年上演され、好評を博した『リア王』がウエストエンドで再演されるなど、常に“今”の視点で取り組む姿勢が、高い評価を得ている演出家だ。日本のプロダクションへの参加も、2012年の『ロミオ&ジュリエット』、2016年の『るつぼ』で経験済み。充実のキャストを得て、「新たな視点で」編み直される本作。ぜひじっくりと堪能したい。

シアターコクーンで12月23日(日・祝)まで上演された後、12月27日(木)から30日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて公演を行う。

文:佐藤さくら

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