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『麒麟がくる』家族の亀裂が浮き彫りに 道三、高政、信長をめぐる関係性

リアルサウンド

20/4/20(月) 6:00

 尾張のうつけと呼ばれた信長(染谷将太)は、帰蝶(川口春奈)の図らいもあり、すっかり道三(本木雅弘)に気に入られた。このことで政治の風向きは大きく変わる。『麒麟がくる』(NHK総合)第14回「聖徳寺の会見」では、織田家と斎藤家の関係の進展が描かれた。

 深芳野(南果歩)の実の息子である高政(伊藤英明)と道三の関係のこじれが、深芳野の自害を招いてしまった。高政は自身が家督を継ぐことが母の願いであることから、道三が高政に家督を継がせる気がなかったからだと詰め寄る。しかし、道三が家督を譲ることを時期尚早としたのは、高政自身が土岐頼芸(尾美としのり)の実の息子であるかもしれないことを自ら道三に告げてしまったことが大きいだろう。高政が出自の真実を突き止め、美濃をより良くしようという気持ちの空回りが、皮肉にも深芳野を失うことに繋がってしまった。

【写真】凛々しい顔立ちになった信長

 その一方で、義理の息子となった信長は帰蝶の策略が功を奏し、道三の気持ちをものにする。信長のピュアでまっすぐな様子は、若い頃の自分を思わせると道三に言わしめ、帰蝶のはからい通りに道三は信長に肩入れするようになる。信長をすっかり気に入った道三に、高政が不快な顔をするシーンもあり、泥沼になった家族の亀裂が浮き上がる回となった。

 染谷が演じる信長は、声も高く顔も童顔で、道三の威厳ある風貌とは対極にいた。しかし計算高く、うつけと呼ばれるもののどこか天才肌である様子を感じさせた。カリスマ性に溢れ器用に道三の懐に入る姿は、視聴者をも魅了する。何を考えているのかわからないような独特の雰囲気を纏う染谷版信長は、どっしり構えた道三や、信長の父・信秀(高橋克実)とは違った魅力を放ち、作品にとって良いスパイスとなる。“異彩を放つ”とはまさにこのこと。マムシの娘・帰蝶とのコンビネーションも抜群だ。2人が強力なタッグを組んで徐々に力を持つ様子からは目が離せない。

 主人公の光秀(長谷川博己)は、この泥沼家族の影に隠れ、このところなかなかスポットライトが当たらない位置にいる。高政と道三の板ばさみとなり、口では高政の肩を持つものの、しっかり道三の依頼通り信長の戦を見張りに行くなど苦労も垣間見えた。今後の光秀がどのような手腕でこの板挟みを脱却し、誰の元につくのかも見届けていきたい。

(Nana Numoto)

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