Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

綾瀬はるかの名パートナーに? 上白石萌歌、『義母と娘のブルース』に一瞬で溶け込む天性の才能

リアルサウンド

18/9/4(火) 6:00

 綾瀬はるか主演『義母と娘のブルース』(TBS系)で、第6話から女子高生に成長した娘役として登場し、魅力的な演技が注目されている上白石萌歌。最近ではスピッツの「楓」を歌う「午後の紅茶」のCMで注目され、映画『未来のミライ』の主人公・くんちゃんの声を担当し、『羊と鋼の森』では姉の上白石萌音と映画初共演するなど、今最も勢いに乗る若手実力派女優だ。

参考:姉・萌音との2ショット【写真】

 上白石萌歌を語る前にまず知っておきたいのは、2歳上に姉の上白石萌音がいるということ。映画『ちはやふる』の大江奏役や、『君の名は。』で主人公・三葉の声を演じていたのが姉の萌音である。母親は元音楽教師で、自宅でピアノの先生をやっていたこともあり、小さい頃から歌うことが好きだった姉妹。姉はミュージカルを習い、舞台に興味があったことから、2011年「第7回東宝シンデレラオーディション」に応募。萌歌も嫌々ながら一緒に挑戦し、当時史上最年少の10歳(小学5年生)でグランプリを受賞する。

 同年に、東宝シンデレラに選ばれた4人が主演するショートムービー『空色物語』の「虹とシマウマ」のメイキング映像で、三木孝浩監督が「現場にいても物怖じしないし、自由だし、堂々としているし、大女優の貫禄が垣間見える。その自由さがいい表情を生んでいたりしているので、その感じのキャラクターは無くさないでほしい」と評していたが、この言葉は今の萌歌の姿を予知していたかのような女優へと育っていく。

 姉から主演を引き継いだ『赤毛のアン』のほか、『魔女の宅急便』『星の王子さま』『続・時をかける少女』と名作ミュージカルの主演を務めた萌歌がブレイクしたのは、2016年から出演している「午後の紅茶」のCM。特に3作目となる昨年の、スピッツの「楓」を歌いながら駅に降りたち、田舎道を歩き夜空を見上げるという「あいたいって、あたためたいだ。17冬」篇は、「あの子は誰?」と話題となり、CMの人気で「楓」がリバイバルヒットするなど、ちょっとした社会現象にまでなった。

 このCMシリーズは南阿蘇村を舞台とした1つの青春劇となっている。当初、熊本地震の影響でで半分以下の路線しか復旧していなかった南阿蘇鉄道が全面協力し、彼女の歌声は復興を願うダブルミーニングとして、実に感慨深いものになっている。セリフがなく、アカペラの歌声と表情だけで感情を表現し、見るものを感動させてしまうこのシリーズは、萌歌の魅力が十二分に詰まっている。また、このCMで男子高生を演じている井之脇海が『義母と娘のブルース』で、萌歌演じる宮本みゆきの幼なじみ・黒田大樹役というのも面白い。

 さて、『義母と娘のブルース』は、バリバリのキャリアウーマンで、鉄仮面のような表情で事務的に行動する岩木亜希子(綾瀬はるか)が、子持ちの男と結婚し、母親になろうと一生懸命に奔走する10年間を描く物語。萌歌が登場したのは第6話から。それまではみゆきが幼少時代の話で、義理の母と娘という距離のある関係が続き、父親が急逝、お互い気を張っていたものが決壊し、遂にみゆきが「お母さん」と呼ぶ。そして9年後の話になり、高校3年生となったみゆきが登場する。しっかり者だった幼少期とは反対に、忘れ物などちょっと抜けたところもあり、「この9年間に何があったんだ」と思わせるが、明るく性格が良い子に育ち、亜希子によって大事に育てられてきたことが分かる。

 視聴者は幼少期のみゆきに思い入れがあるだけに、萌歌に馴染むまでに時間がかかると思われたが、一瞬にしてドラマに溶け込んでいったのは萌歌の繊細な演技に他ならない。亜希子と正反対のような緩い性格に見せて、時より見せるシャンと背筋が伸びたハッキリとした物言いや、育ててくれた亜希子に感謝し期待に応えたいという気持ちを抱えていたりと、自然と血縁関係以上の母娘になっていることを見事に表現している。

 幼少期のみゆきを引きずりつつ、綾瀬はるかの演技をトレースし視聴者を納得させる難題を、自然に見せる女優としての凄さ。そして何より、物語がウェットになりそうなところを、カラッと爽やかにしてまう萌歌は、天性の才能と言っていだろう。途中参加にも関わらず、もはや役者として綾瀬はるかの名パートナーとなり、ドラマをさらに面白くするブースターとなったのは、彼女のキャリアから言えば当然の結果なのかも知れない。ミュージカルだけでなく、ドラマでも実力を発揮した萌歌は、まさに大女優になる器を持った存在だ。ドラマはいよいよ最終章へ突入する。(本 手)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む