全点日本初公開!『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』 展示の様子をレポート!
20/4/21(火) 13:12
フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年
世界屈指の西洋絵画コレクションを誇る美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリーから名作61点が初来日。『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』が国立西洋美術館で開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響により開幕日は未定だが、内覧会で公開された展示の様子をレポートする。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーは、1824年に英国議会によって創立された市民のための美術館。13世紀後半から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画を約2,300点所蔵し、年間の来場者数約600万人を誇る世界屈指の美の殿堂だ。
同館はまとまった数の作品を貸し出すことに慎重で、イギリス以外で所蔵作品展が開かれるのは200年近い歴史の中で初めて。そんな貴重な機会となる同展では、すべて日本初公開となる傑作61点が集結する。
展示構成は、「イタリア・ルネサンス絵画の収集」「オランダ絵画の黄金時代」「ヴァン・ダイクとイギリス肖像画」「グランド・ツアー」「スペイン絵画の発見」「風景画とピクチャレスク」「イギリスにおけるフランス近代美術受容」の全7章立て。“イギリスとヨーロッパの大陸交流”という視点から、西洋絵画史を俯瞰していく内容だ。第1章では、19世紀半ば以降のイギリスで再評価が進んだ初期の「イタリア・ルネサンス絵画」を紹介。15世紀イタリア・ルネサンス初期の画家、クリヴェッリによる《聖エミディウスを伴う受胎告知》や、16世紀ヴェネツィア派のティツィアーノが、復活したキリストとマグダラのマリアが出会う場面を描いた《ノリ・メ・タンゲレ》など、地域の優れたコレクションが並ぶ。
第2章で焦点を当てるのは17世紀のオランダ絵画。レンブラントによる《34歳の自画像》や、フェルメールの《ヴァージナルの前に座る若い女性》といった巨匠たちの傑作をはじめ、イギリスで特に人気の高かった風俗画や海洋画も併せて展示される。
第3章では、17世紀前半から18世紀のイギリスで重要な画家を多数輩出した肖像画の分野にスポットを当てる。フランドル出身で、ルーベンスに師事した後イギリスの宮廷画家として活躍したヴァン・ダイクや、ロイヤル・アカデミー初代院長を務めたレノルズなど、多彩な肖像家の作品を見ることができる。
第4章の「グランド・ツアー」とは、18世紀にイギリスで流行した、上流階級の子息たちによるイタリア遊学旅行のこと。ヨーロッパの文化や歴史を学ぶために同地を訪れた人々の姿や、彼らが持ち帰った都市景観図などが紹介される。
第5章で注目されるのはスペイン絵画。19世紀初め、イギリス軍がスペイン独立戦争に参戦したことをきっかけに、スペイン絵画がイギリスにもたらされ、評価が確立していったという。ここでは、風俗画が高く評価されたムリーリョ、スペインの宮廷画家、ベラスケスなどの作品を見ることができる。
第6章では風景画を紹介。18世紀後半からイギリスでは、「絵のような(ピクチャレスク)」と言われる不規則で荒々しい自然を描いた風景画が流行した。コンスタンブルやターナーというロマン主義風景画のふたりの巨匠の作品をはじめ、イギリス風景画の隆盛をたどる。
最終章となる第7章では、19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革とイギリスとの関係に着目。アングルから印象派を経て、ゴッホ、ゴーガンに至る流れを、イギリスの視点からひも解いていく。
同章のラストを飾るのはゴッホの《ひまわり》。これは、ゴッホが共同生活を送る畏友ゴーガンのために制作した4点のうち、最後に描かれた作品だ。先に描かれた作品では背景が青い色だったのに対し、この絵の背景は明るく淡い黄色。輝くばかりの色彩を、その目で確かめてほしい。
レンブラント、フェルメール、ルノワール、モネ、ゴッホなど、巨匠たちの名画がずらりと並ぶ同展。贅沢かつ、唯一無二の西洋絵画史の旅を体験してみてはいかがだろうか。 【開催情報】
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』 開幕日未定〜6月14日(日)国立西洋美術館にて開催 ※新型コロナウイルス感染拡大の影響により開幕延期。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合あり。最新情報は展覧会公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/)にて確認を。 【関連リンク】
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