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三森すずこ、山崎はるか、立花理香……声優アーティストが持つ、個性が光る自己プロデュース力

リアルサウンド

19/8/29(木) 16:00

 声優アーティストならではの特権ーーそれは、特定の音楽ジャンルに縛られず、その時々で最適なトラックを選びながら、自身の表現を追求できることだろう。だからこそ、彼らの音楽活動には本人のキャラクターが大いに反映される傾向が強く、時には活動全体を“セルフプロデュース”することさえ可能にしうるのだ。本稿では、とりわけ個性の強い4名の声優アーティストを紹介しながら、今後のシーンに対する期待感を綴ってみたい。

参考:山崎はるかが語る、自分であることを手放す“自分らしさ”「人と同じじゃなきゃいけないなんてない」

■三森すずこ

 舞台女優としての経験を活かし、ミュージカル仕立てのライブを得意としてきた三森すずこ。彼女の快活なダンス力と音楽的趣向を物語るのが、2017年4月発表のビッグバンドジャズ楽曲「恋はイリュージョン」だ。同曲のライブ披露時には、華麗なタップダンスも繰り広げるなど、その活動には表現者としての強みを大いに感じさせられる。

 そこから一転、最近の彼女は“等身大の三森すずこ”を届けようとする姿勢も覗かせつつある。その好例が、今年2月発売のミニアルバム『holiday mode』収録曲「星屑のカーテン」だ。同曲では、夜空を見上げ一面の星空に感動を抱きながらも、〈真夜中過ぎのエピソードはちょっぴり後悔と共に/明日まぶたをこするでしょう〉と、優しい“憂い”を感じさせる場面も。彼女のパーソナルな一面に触れたような、どこか儚い印象を与えるフレーズだ。また、歌詞にある星空の情景を視覚的に再現すべくだろう。今年8月には、同曲のタイトルを冠したライブ開催時、そのステージにプラネタリウムを選んでいたことも記しておきたい。

■山崎はるか

 2018年5月にシングル『ゼンゼントモダチ』でソロアーティストデビューを果たした山崎はるか。8月28日には1stフルアルバム『C’est parti!!』を発売し、10月には東名阪を巡る初の全国ツアーも開催。『C’est parti!!』は、フランス語で“Let’s Go!!”を意味する言葉で、作品のテーマは遊園地(テーマパーク)とのことだ。

 そんな『C’est parti!!』には、自他共に認める“ガチオタ”な彼女が太鼓判を押すほど、バラエティ豊かな楽曲が勢揃い。エレクトロの手練れ・佐高陵平(y0c1e)が手掛けたチップチューン楽曲「キセキ的☆スマイリュージョン」、曲中で〈ハートもとろける「はるかスペシャル」いかがですか?〉と歌う「ChuChuパフェ☆SP」から、勇敢さを打ち出した「Dragon Dance」、初の作詞に挑戦したミドルバラード「ヒヤシンス」まで、作品全体を通しての表情は様々。山崎本人にとって最高のエンターテイメントである「遊園地」のアトラクションに着想を受けて曲の選定から歌詞のディレクションまで行い、1日の流れを表現すべく楽曲を配置するなど、「声優だからこそできる様々なキャラクターを楽曲ごとに表現したい」という本人の意欲が、ひしひしと伝わることだろう。

 また、同作に感じる“何でもありなテーマパーク感”を象徴するのが、極限まで“ポップさ”を際立たせたアートワークだ。普段から奇抜な髪色で話題の山崎はるか。彼女の明るい金髪は、今回の作品全体の雰囲気を明瞭に映し出すようでもある。周囲の顔色を窺うことなく、自身の“好き”を詰め込んだビジュアルが、音楽活動においてセルフプロデュース的な観点の武器になるというのは、彼女ならではの大きな強みだろう。そんな山崎はるかは、今後どれほど面白い活動を展開してくれるのか。『C’est parti!!』はその試金石となるに違いない。

■立花理香

 大学院では心理学を学び、ハロプロと野球を愛し、無類の酒好き……多彩なキャラクターの立花理香による音楽活動には、良い意味で“賢さ”を感じる印象がある。そんな立花は2018年8月発売の2ndアルバム『LIFE』収録曲「TUNE UP」で初の作詞に挑戦。爽やかさに背中を押される、完成度の高い歌詞を書き上げた。

 同曲を聴いて驚かされるのが、作詞時に“裏テーマ”として“寿司”を掲げ、〈ムラサキ〉や〈ナミダ〉など、寿司を思わせるワードを歌詞の中に忍ばせていたこと。彼女の音楽作品はもちろん、出演するラジオ番組やライブMCなどでもつくづく感じるが、真面目な仕事ぶりのなかで、いつでも遊び心を忘れないのは立花の性格そのものだ。

■山崎エリイ

 2018年11月、快作となった2ndアルバム『夜明けのシンデレラ』を発売した山崎エリイ。今年7月には、別名義・Eriiとして音楽活動をスタートすることを発表。新レーベル<Cherii Records>を発足し、9月11日には1stシングル『Cherii♡』を発売する。Erii名義での活動は、“山崎エリイ”としての音楽活動を通して感じた、「今一番表現したい世界観」を軸に展開していくとのことである。

 そんな彼女は幼少期より、松田聖子をはじめとした昭和アーティストの楽曲を好んできた。今回の活動も、そういった昭和路線に寄り添うのかとも思われたが、自身出演のラジオ番組にて公開された「Cherii♡」は、意外にも爽やかなギターロックナンバー。2つの活動名義を使い分けるという試みもあり、今後の歩みも非常に興味深いものだ。山崎エリイとEriiが、今後どのようなセルフプロデュース方法を選んでいくのか、とても楽しみにさせられる。

 それぞれが独自のキャラクターや趣味趣向を示しながら、十人十色な活動を見せる声優アーティストたち。今後のシーン全体の盛り上がりにも、非常に期待感をそそられる。その上で、本稿で紹介した山崎はるから4名がその先導を切っていく姿が、今から待ち遠しくて仕方がない。(文=一条皓太)

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