SSFF & ASIA 2021受賞作発表、池田エライザや齊藤工はスマホ映画の可能性語る
SSFF & ASIA 2021アワードセレモニーの様子。
ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF & ASIA)2021のアワードセレモニーが、本日6月21日に東京・明治神宮会館で開催。グランプリにあたるジョージ・ルーカス アワードに「フィリピニャーナ」が選ばれた。
今年で23年目となるSSFF & ASIA。今回は世界112の国と地域から集まった約1万本の中から、約200作がラインナップに並んだ。ジョージ・ルーカス アワードに輝いた「フィリピニャーナ」は、ゴルフ場で働く少女イザベルを主人公とする物語。フィリピン人のラファエル・マニュエルが監督を務めた。
また、インターナショナル部門の優秀賞は、ニューヨークで活動するブラジル人のグスタヴォ・ミランによる「天空の下で」、ジャパン部門の優秀賞は平井敦士による「フレネルの光」がそれぞれ獲得。ジャパン部門にノミネートされていた森山未來の監督作「in-side-out」は受賞を逃す結果となった。
審査員の真利子哲也は「応募期間の関係からコロナ以前、以後の作品が入り混じっていたんですが、どれも刺激的で楽しんで観ました」とコメント。同じく審査員を務めた勝地涼は「審査員の方々と作品の意見を合わせていく中で、自分とは違った角度からの見方を知ることができて勉強になりました」と、阿部純子は「受賞作はどれも心を打つような素晴らしい作品だと、自信を持ってお伝えします」と振り返った。また、特別ゲストとして東京オリンピック公式映画監督を務める河瀬直美も登壇し、「東京の今、日本の今、世界の今を追いかけています」と伝えた。
さらに、スマートフォン映画作品部門の優秀賞は、針谷大吾と小林洋介が共同監督を務めた「viewers:1」が受賞。審査員の池田エライザは「短いからこそ時間の概念から解き放たれていて、自分の中に突き刺さってきました」と称賛し、内田英治は「かなり衝撃的。エンタテインメント性もあり、今の時代というものを考えさせられるすごい映画でした」と述べた。
縦型映像作品を募集するバーティカルシアター部門最優秀賞には、西山将貴の「スマホラー!」が選出された。西山は「縦型映像作品の教科書的な作品を作るというテーマで2年ほど前から取り組んできました。これまでの努力が報われた思いです」と喜びを語る。審査員の齊藤工は「スマートフォンで観ると画面がブラックアウトしたときに自分の顔が映り込むんですね。それが今までにない映像との距離感だなと。作品がホラーということもあって、とても効果的でした」とたたえた。
そのほかセレモニーでは、短編映画製作プロジェクト「DIVOC-12」の紹介も。同プロジェクトで「ユメミの半生」を監督した上田慎一郎は、ソニーPCLが開発したバーチャルプロダクションを使用しての撮影を「めちゃめちゃ面白かったです!」と回想。この技術は、バーチャル背景を大型ディスプレイに表示しながら撮影することで、後処理なくCGと実写を組みあわせた映像制作を実現するものだ。上田は「手ごたえをつかみながら撮影していけました。最新技術を使っている一方で、アナログな部分もある。初めてハンディカムを持ったときに黒い画用紙を使って宇宙を撮ろうとしたことを思い出しました」と語り、キャストの松本穂香は「同じ場所で撮っているんですけど、衣装を変えるたびに毎回違った雰囲気になっていて感動しました。日本初の技術を使ったプロジェクトなので、スタッフさん全員で楽しく新鮮な気持ちで挑めました」と述懐した。
SSFF & ASIA 2021の受賞結果は以下の通り。なお、SSFF & ASIAのオンライン会場では、6月30日まで受賞作品が鑑賞できる。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
SSFF & ASIA 2021 受賞結果
ジョージ・ルーカス アワード / アジアインターナショナル部門 優秀賞 / 東京都知事賞
「フィリピニャーナ」
インターナショナル部門 優秀賞
「天空の下で」
ジャパン部門 優秀賞 / 東京都知事賞
「フレネルの光」
Cinematic Tokyo部門 優秀賞 / 東京都知事賞
「それから」
スマートフォン映画作品部門 優秀賞
「viewers:1」
HOPPY HAPPY AWARD
「徒然甘々」
バイオジェン・アワード
「階段」
CGアニメーション部門 優秀賞
「私、バルナべ」
バーティカルシアター部門 最優秀賞
「スマホラー!」
バーティカルシアター部門 優秀賞
「ねぇ、気付いて」
バーティカルシアター部門 U-18
「過ち」
U-25 プロジェクト 優秀賞
「Picnic」
ノンフィクション部門 優秀賞
「ヘブロンでの任務」