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東京五輪金メダル候補筆頭のスペインに、U-24日本代表は「同じ目線で勝ちにいく」

ぴあ

久保建英 (C)スエイシナオヨシ

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これ以上ない相手である。U-24日本代表は『第32回オリンピック競技大会(2020/東京)』前最後のテストマッチでU-24スペイン代表に挑む。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督率いるスペインは『UEFA ユーロ2020』ベストイレブンに選出されたペドリことペドロ・ゴンザレス、同じくA代表でプレーするGKウナイ・シモンにDFエリック・ガルシア、FWダニ・オルモ、さらにオーバーエイジのMFダニ・セバージョス、ミケル・メリノ、FWマルコ・アセンシオら豪華メンバーが顔を揃える。1992年『バルセロナ五輪』以来となる金メダルを獲得するために本気の布陣でやってきたのだ。文句なしの優勝候補の筆頭であるスペインは、金メダルをターゲットにする日本としては避けて通れない相手でもある。

7月16日、『キリンチャレンジカップ2021』前日記者会見に臨んだ森保一監督は本番直前にV候補と当たるメリットを口にした。
「我々も『東京五輪』の金メダルを目指しているので、選手たちには同じ目線で戦ってほしい。日本の力をしっかり出し切れば世界の強豪としっかり戦えると思っているので、選手たちにはしっかり自信を持って試合に臨んでほしい。強い相手との親善試合の中でスピード感やテクニック、世界のトップレベルとの戦いにいい刺激を受けて、『東京五輪』へ向けて自信となる準備をしてほしい」

金メダル候補との距離を測るゲームとなるが、森保監督は勝利を譲るつもりはさらさらない。
「日本のホームで戦うし、サポーターにもスタジアムに応援にきてもらえる中で、勝つ可能性は十分にあると思っている。選手にはどんな相手にも勝ちにいこうと伝えているし、試合の中で成長につながる課題を感じながら進んでいこうと言っている。勝つ確率がいくつかはわからないが、十分勝つ可能性があると思っている。選手たち一人ひとりが100%持っているものを出し、チームとして組織力を発揮すれば十分勝てると思っている。チャレンジする気持ち、勝ちにいく、掴み取りにいくんだという気持ちを試合で見せてほしい」

指揮官は選手起用にも言及した。
「スペイン戦は交代枠11人ということで少しでも多くの選手を起用していきたいと考えている。理由はいくつかあるが、ひとつはこれまでの積み上げてきた練習、大学生とのふたつのトレーニングマッチ、ホンジュラス戦でゲーム体力は上がってきたと思うので、より多くの選手に経験させてあげたい。もうひとつは世界のトップトップのチームと戦えることによって選手たちがいい刺激を受けて、彼らの成長につながると思う。と同時に『東京五輪』で我々の目標を達成するために世界のトップに勝っていかないといけない。選手にはその指標を掴んでほしい」

7月15日から全体練習に合流したFW上田綺世、別メニューが続くMF三笘薫のコンディションを問われると、森保監督はこのように答えた。
「まずは上田については全体練習に合流し、昨日の練習を受けてメディカルから今日のリバウンドはないと聞いている。スペイン戦に向けて十分プレーできる状況だと思っている。
三笘も足の張りが残っているが、回復するために別メニューで調整しつつ、本大会では問題なくプレーできると思っている」

スペインで育ち、成長してきた久保建英の評価について改めて求められると、監督はこう語った。
「まず彼が常に成長している、進化しているのは代表活動、所属クラブでの活動から感じさせてもらっている。いい指導者に出会い、本人の努力もあり、スペインへ渡り、非常に厳しい環境で成長してきた。また日本へ帰ってきて、競争に勝ち抜くことが自然に身に付いている。サッカーが好きなのはもちろん、競争を勝ち抜くメンタリティは自然に備わっている。昨季は難しいシーズンだったが、攻撃やフィジカル、守備、総合的に彼のスキルは伸びている。攻守が必要な現代サッカーの中、インテンシティが高い中、彼の持つスキルを生かしている」

監督だけではない。選手たちも本大会直前のスペイン戦を歓迎した。
吉田麻也「欧州王者であり、優勝候補。来日して間もないが、間違いなく実力がある。自分たちの立ち位置もわかる。いい準備をして本大会へつなげたい。個々の実力差も把握できるのはいい機会。引き続きいいゲームの入りをすること、ゲームを支配すること、決め切る時に決めて試合を決める、その三つが大事だと思う。
相手の得意な形を出させないのが大事。相手の良さを消さないといけない。個としても組織としても、世界のトップトップとやるには泥臭くやらないといけない。理解しないといけないのはまだまだ差はある、自分たちはうまくないという気持ちで戦わないといけない。全員がハードワークをしないといけないと、この試合で理解するのではないかな」

酒井宏樹「コンディションや試合勘を合わせていくいい親善試合かなと思っている。勝つことで自信につながるし、いい雰囲気になるので、勝つことを前提に戦いたい。五輪の準備としては負けた方がいいと思われるかもしれないが、勝ちながら修正していくのが強いチームには必要だと思うので勝っていきたい。でも本大会ではないので特別スカウティングしているわけではないし、自分たちもスペインも90分フルで出る選手はいないと思うので、五輪へコンディションを高めていければと思っている」
旗手怜央「対戦相手はどこであろうと、僕自身試合できることは毎回楽しみ。ましてや今回優勝候補のスペイン。『東京五輪』、『東京五輪』後のサッカー人生を含めて大事な試合になると思うので、僕の持てる力を発揮したい。正直、すごい楽しみ。もうすぐ五輪が始まるというのもあるが、スペインとやれるのは本当に楽しみ」

遠藤航「チームとしてはホンジュラス戦の前半のような試合を90分することが理想だが、本番は連戦がある中で、全員が力になる必要がある。スペイン戦はどういうメンバーでやるかわからないが、全員がいい準備をするために大事になるし、相手は優勝候補だし単純に腕を試すという部分もある」

田中碧「僕が今までやってきた相手の中で一番技術も頭の中も目もスピードも速いチームだと思う。その中で守備や攻撃でどれだけ通用するか楽しみ。自分たちが圧倒的に押し込める相手ではないが、その中で何ができるか。でも大事なのは本大会。すべてを出し切って勝ちにいくかというと、自分たちのやるべきことをやり続けることが大事。手を抜くわけではないが、ホンジュラス戦の反省を生かしながら、チームとしていい方向に持っていく試合にしたい」
久保建英「最後の試合なのでいい感触で終わりたいというのがあるし、そのために残りいい練習をしたい。
(バルセロナでともにプレーしたガルシアについて)昔のチームメイトや知り合いと対戦するのは試合が終わったら有意義だが、今は五輪。勝つことだけに集中している。
本番前に強いところと組めないというイメージがあったが、優勝候補の筆頭とやれる。勝つか負けるかわからないが、自分たちの立ち位置がわかるメリットしかない。連携面も大事だが、押し込まれる展開が多くなる中、自分個人で何ができるか試したい」

本番へ向けてポジション争いでアピールするか、チームの和を優先するか、難しい対応が求められる選手たちだが、左ウイングのポジションを争う相馬勇紀と三笘はこうコメントした。
相馬「自分が試合に出て活躍することは選手の誰もが目指すと思うが、チームスポーツの難しさとしてチームの勝利を第一に考えないといけない。日々の練習、試合で結果を残して、選んでもらうようプレーするが、普段から(三好)康児とも、薫とも仲がいい。自分が試合に出たら相手のサイドバックのスタミナを消耗させてバトンタッチするとか、チームのことを考えてやっていきたい。僕と薫とかでどんな話をしているかというと、タッグでがんばろうと。僕が先に出たら相手のスタミナがヘロヘロになるまでがんばると、普段からそういう話をしている」

三笘「大学から知っているし、ふたりの中でそういう話をしている。相手も嫌がるだろうし、強度の部分でもチームの助けになるし、信頼してやっている」

初戦・南アフリカ戦をターゲットにコンディションを上げてきた上田はこのように胸中を明かした。
「(コンディションは)順調としか言えない。自分の目標に順調に向かっている。焦りはないが、僕だけの問題でもない。選んでもらっている中ケガをして、自分が何を残さないといけないかが重要。僕が出たいというのではなく、リハビリさせてもらって感謝している。1戦目からいいパフォーマンスをする準備をすることが大事」

U-24日本代表のメンバーは以下の通り。
【GK】1大迫敬介(広島)、12谷晃生(湘南)、22鈴木彩艶(浦和)
【DF】5吉田麻也(サンプドリア/イタリア)、2酒井宏樹(浦和)、4板倉滉(マンチェスター・シティ/イングランド)、3中山雄太(ズヴォレ/オランダ)、20町田浩樹(鹿島)、13旗手怜央(川崎F)、14冨安健洋(ボローニャ/イタリア)、15橋岡大樹(シントトロイデン/ベルギー)、21瀬古歩(C大阪)
【MF】6遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ)、16相馬勇紀(名古屋)、8三好康児(アントワープ/ベルギー)、11三笘薫(川崎F)、10堂安律(PSV/オランダ)、17田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)、7久保建英(レアル・マドリード/スペイン)
【FW】19林大地(鳥栖)、9前田大然(横浜FM)、18上田綺世(鹿島)

U-24スペイン代表の来日メンバーは以下の通り。
【GK】1ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)、13アルバロ・フェルナンデス(ウエスカ)、22イバン・ヴィジャール(セルタ)
【DF】5ヘスス・バジェホ(レアル・マドリード)、4パウ・トーレス(ビジャレアル)、18オスカル・ヒル(エスパニョール)、2オスカル・ミンゲサ(バルセロナ)、20フアン・ミランダ(ベティス)、12エリック・ガルシア(バルセロナ)
【MF】8ミケル・メリノ(レアル・ソシエダ)、10ダニ・セバージョス(レアル・マドリード)、14カルロス・ソレル(バレンシア)、15ヨン・モンカジョラ(オサスナ)、3マルク・ククレジャ(ヘタフェ)、6マルティン・スビメンティ(レアル・ソシエダ)、16ペドロ・ゴンザレス(バルセロナ)
【FW】7マルコ・アセンシオ(レアル・マドリード)、11ミケル・オジャルサバル(レアル・ソシエダ)、9ラファ・ミル(ウルヴァーハンプトン/イングランド)、19ダニ・オルモ(ライプツィヒ/ドイツ)、17ハビ・プアド(エスパニョール)、21ブライアン・ヒル(セビージャ)

U-24日本代表は7月17日(土)・ノエビアスタジアム神戸での『キリンチャレンジカップ2021』U-24スペイン戦を経て、『東京五輪』へ突入する。『東京五輪』では7月22日(木)・東京スタジアムでU-24南アフリカ、25日(日)・埼玉スタジアム2002でU-24メキシコ、28日(水)・横浜国際総合競技場でU-24フランスと対峙し、上位2枚のノックアウトステージのキップを争う。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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