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『竜の道』霧島夫婦の哀しき愛情表現 玉木宏と高橋一生の温度差は決定的なものに?

リアルサウンド

20/9/2(水) 6:00

 復讐される側の霧島家、霧島源平(遠藤憲一)本人の抱える闇が暴かれた『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)第6話。

 何かしらの“わだかまり”があることを毎話感じさせてきた源平と芙有子(斉藤由貴)夫婦の秘密。彼女は運送業で成り上がった源平と政略結婚し夫婦となったようだ。「最初はお金のためだったけど、せっかく縁あって一緒になったのなら歩み寄りたかった」という芙有子に対して、「結婚したその日からずっと殻に閉じこもっていたお前にどうすれば良かったんじゃ」と源平は声を荒げる。

 「そっちがそう来るなら」と言わんばかりにお互いを牽制し合い、直接ぶつかることなく互いに誤解し続けてきた哀しき夫婦。芙有子は源平の様子を伺ってばかりで本心を言えず、その遠慮がちな視線が彼にとっては「いつも軽蔑した目でわしを見る」と受け取れて、壁を感じ人知れず傷つく。

 源平が会社を大きくし日本一にこだわる理由もここにあったのかもしれない。政略結婚で“仕方なく”自分と結ばれた、その選択をするしかなかった芙有子に、せめてこの道が間違いではなかったと思わせたい。納得させられるくらいの分かりやすい「成功」を見せたい。それが彼なりのせめてもの罪滅ぼし、不器用すぎるあまりに遠回りで精一杯の妻への愛情表現だったのかもしれない。

 妻の芙有子が意識不明の間、あれだけ猛スピードで進めていた一大プロジェクト含め、一切の仕事が手につかなくなるほどずっと取り乱し病室で付きっきりだった。にも関わらず、意識が戻るなり、妻に一言も声を掛けることなく、手を握ることもなく一目散で仕事に戻る。

 芙有子からの手紙にしたためられた本当の思い。「金で買われた妻」という自己嫌悪と「金で買った妻をあなたが愛するはずがない」という思い込み、つまらないプライドが邪魔して源平に心を開くことが出来なかったという告白。「家族は憎み合うものではない。あなたと晃(細田善彦)が協力し合えば良い会社になる。これからまだ長い2人の人生にとっても」この言葉で締められた手紙が、彼女にとっての遺言になろうとは。

 この手紙が狂わせたものは、竜一(玉木宏)が源平の長男・晃(細田善彦)を唆して企てていた源平追放案にまで及んだ。母から託され手紙を先に読んでいた晃は結局作戦を決行できなかった。

 一番の弱点でありアキレス腱であった妻という存在をなくした源平が、自暴自棄になりさらに無茶な計画に拍車をかけてしまわないか。良くも悪くも彼の良心の呵責になっていた存在がいなくなってしまったことで、より「目的遂行のために手段を厭わない」源平自体の攻撃性が強くなってしまわないか。妻に見せられなかった「日本一」にさらに執着していきそうな彼の姿が目に浮かぶ。

 また、源平の長女まゆみ(松本まりか)との交際を通じて霧島家だけでなくキリシマ急便の人間から寄せられる信頼も厚くなっていく竜二(高橋一生)と竜一の間の温度差がますます大きくなってきた。

 竜一、竜二、血の繋がらない妹・美佐(松本穂香)という源平に両親を奪われた側の人間と、まゆみと晃という源平の子どもたちが同じ食卓を囲むという運命の悲しきいたずら。また、そこで明らかになった美佐の竜一を想う気持ち。これがまた彼らの復讐計画に大きな影響を与えるに違いない。残すところ2話。彼ら全員の無念が晴れ、それぞれに幸せが訪れる道を願わずにはいられない。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『竜の道 二つの顔の復讐者』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:玉木宏、高橋一生、松本穂香、細田善彦、奈緒、今野浩喜、渡辺邦斗、 落合モトキ、西郷輝彦(特別出演)、松本まりか、斉藤由貴、遠藤憲一ほか
原作:白川道 『竜の道』 (幻冬舎文庫)
脚本:篠崎絵里子(「崎」は「たつさき」が正式表記)、守口悠介
音楽:村松崇継
主題歌:SEKAI NO OWARI 「umbrella」(ユニバーサル ミュージック)
オープニング曲:ビッケブランカ 「ミラージュ」(avex trax)
プロデュース:米田孝、水野綾子
演出:城宝秀則、岩田和行、紙谷楓、吉田使憲
制作:カンテレ、共同テレビ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/ryu-no-michi/
公式Twitter:https://twitter.com/ryunomichi_ktv

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