Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

中村倫也&山田裕貴が振り返る友達の思い出「上脱いで尾崎を歌ったこともありました」

ぴあ

山田裕貴、中村倫也 撮影/友野雄

続きを読む

2020年3月。一匹のワニの人生が、日本中を感動で包み込んだ。あれから1年あまり。ついにあの物語がスクリーンで甦る。声の出演を果たした中村倫也は「オファーをいただいたときは、流行ったから映画化かな?と思ったんですよ」とさらりと本音を口にする。隣で聞いていた山田裕貴も「俺もまったく同じこと思った」と頷く。

だけど、決して流行りに乗っただけの作品ではない。そう感じ取ったから、ふたりはこの有名すぎる物語の登場人物として生きることを決めた。

7月9日(金)公開の『100日間生きたワニ』。これは、今生きていることを慈しむ気持ちになれる、この時代にふさわしい映画だ。

『俺のイタリアン』に日常のいとおしさを感じました

――映画を観ながら、ささやかな日常の美しさを感じました。おふたりが日常のいとおしさを感じる瞬間はどんなときですか。

山田 風が吹いてるとか。

中村 お。

山田 鳥が鳴いてるとか。

中村 (他には?という目で促している)

山田 お風呂に入った瞬間とか。

中村 (それから?という目で促している)

山田 今日10時入りだから、もうちょっと寝れるなってときとか。

中村 (まだあるでしょ?という目で促している)

山田 あとは初めて食べてみたデリバリーのお店の「これうまい」に出会えたときとか。最近だと『俺のイタリアン』がうまかったです。

中村 じゃあ、今、裕貴が言ったこと、原稿では全部俺が言ったことにしてください。

山田 えー(笑)。

――じゃあ、すみません、山田さん、今度は自分の分を…(笑)

山田 えっと…セミが鳴いてるとか。桜が咲いたなとか。人が笑ってるとか。

中村 あ、それ、NGワード。言っちゃダメ。

山田 え、自分のものにしたいからですか。

中村 そうそう。

山田 (笑)。

中村 切り札だったのに。もう1回こっちに来るだろうなと思っていたから、そのときのためにとっておいたのに全部言う、この人。先輩つぶしにかかってるわ。

山田 そんなわけないでしょ(笑)。

中村 怖いですね〜。

――じゃあ、改めて中村さん、日常のいとおしさを感じる瞬間はどんなときですか。

中村 (即答で)お金を稼げたときです。

山田 さすがですね。一個上のジョークで来ますね(笑)。

裕貴は、痛みを知っているやつな気がする

――中村さんは、ワニの親友のネズミ。そして、山田さんは映画オリジナルキャラクターのカエルを演じます。お互いのキャラクターについてどんな印象を抱きましたか。

中村 カエルが身近にいたら、ウザいですよね(笑)。

山田 (笑)。

中村 僕の演じるネズミは、例えるなら山登りをするときにいちばん後ろにいるタイプ。全体を見ながら、ふざけるときはふざける、気遣い屋なんだろうなと思いましたね。僕も17、8ぐらいのときに言われたことがあるんですよ、山登るとき後ろにいるタイプだって。そういう性格なんでしょうね。

山田 倫也さんのいいフレーズを引用させてもらうと、カエルは山登るときにいちばん前を歩いてるタイプ。みんながついてきてないのにも気づかず、ズンズン先に行きすぎて、「なんで来ないの? ねえ!」となってるような。

中村 誰も頼んでないのに「あそこまで行ったら休憩しよう!」とか言ってそう(笑)。

山田 そうそうそう。

中村 ひとつふたつエンジンをかけすぎちゃってるんだよね。周りはみんな「いいんだよ、そんな音量で喋らなくても」ってなってるけど、本人は気づかないという。生活の中でもいるじゃない? そういうギアが入りすぎている人って。でも、そういう人を見ると、僕なんかは何かあるんだなと思うんですよね。昨日盛大にスベったから今日は逆に元気いっぱいで来ているのかな?みたいな。ネズミがどこまで感じていたかはわからないですけど、僕から見たカエルはこういうところあるよなと思う“緑”でした(笑)。

山田 ネズミは落ち着きがすごくいいですよね。しっぽりお酒を飲みながら話を聞いてくれそうな“仏感”がある。思いやりがベースにあって、でも楽しめるところは一緒にはしゃいで楽しめる。なんか、いい生き方をしているなと思います。倫也さんみたいな人ですよね。

中村 でも、人がしっぽり飲もうとしてるのに。この人はカラオケでミスチルの真似をはじめるから。

山田 ははは。そうでしたね。

中村 しかも、あんまうまくねえなあっていう。裕貴のまんまじゃんって(笑)。

山田 そういうノリをしたくないんですけど、しちゃうんですよね。

中村 裕貴は人間としていいやつなんですよね。すごいまっすぐですし、繊細ですし。痛みを知っているやつな気がする。これからもっともっと周りに年下も増えていくと思うんですけど、きっとどんどん人としても優しくなっていくと思うし。なんか一緒にいて楽しいですよ。

山田 うわ〜。うれしいです。

中村 ただ心配なのは、すごく不器用だから。そこの石つまずかなくてもいいのにというところの石にわざわざ足を伸ばしにいくところがありそうな。

山田 確かに。そこで言うと、倫也さんは何かあったときにそばにいてほしい人ですね。

中村 そう?

山田 さっきも「最近忙しいの?」という話になって。「まあ、パツパツではありますね」と言ったら、「これ超えたら楽になるから頑張りな」と言ってもらえたのがすごいうれしかったです。2〜3作品縫うこと(作品を掛け持ちすると)とか、ひとつの作品が終わって次の作品に入るまで1日あるかないかみたいなスケジュールが続いて。本当にありがたいことですけど、クオリティだけは落としたくないという気持ちでいっぱいいっぱいになっていて。そんなときに、自分の前を歩いている人に「これ超えたら楽だよ」って言われると、すごい救われますね。

「人間を生きないと」って言われてハッとしました

ーー落ち込んでいるワニをネズミがさりげなくツーリングに誘ったり。改めて友情っていいなとも思いました。おふたりは友達に励まされた思い出はありますか。

中村 俺、励ますことは多いけど励まされることないな。何でかって言うと、自分がヘコむこととかあんま人に喋んないんですかね。

山田 なんかできそうと思っちゃうのかも。倫也さんなら自分で解決できそうって。

中村 だからあんまり自分から相談するということはないですけど。ただ、何にも話さずに、何にも聞かずに、一緒に飲んでくれたりとかね、カラオケ付き合ってくれたりとかね。そういう思い出はありますね。

山田 それいいですね。

中村 一緒になって上脱いで尾崎(豊)歌ってくれたりとかね。

――中村さんにもそんな時代があったんですね。

中村 そう。そんな時代もあったねと。

山田 それは中島みゆきさんです(笑)。

――山田さんは友情に厚いイメージがあります。

山田 人並みだと思うんですけど、友達が落ち込んでいるときに支えてあげられたらいいなとは思います。でも、みんな最終的に自分の人生は自分で選択していくわけですから、僕にできることってそんなないとは思う。自分から「あれ、どうなったの?」と聞くタイプではないけど、相手から「聞いてよ」と言われたら、ちゃんと聞ける人でありたいですね。

――おふたりにとって、親友と言うと誰が浮かびますか。

中村 生田斗真と、小中高ずっと一緒の幼なじみですね。その幼なじみは、メイクの仕事をやっているんで、たまに現場にも来ています。

山田 僕も地元の友達ですね。芸能界で言うと、吉沢亮と福士蒼汰。

中村 そこ仲良いんだ?

山田 僕が『海賊戦隊ゴーカイジャー』をやっているとき、ふたりは『仮面ライダーフォーゼ』をやっていて、仲良くなりました。あ、そうだ、この間、蒼汰から「裕貴、仕事ばっか頑張りすぎてもダメだよ」と言われました。「人間を生きないと」って。それは、めっちゃハッとさせられましたね。

死の前後を描くことで救われる人がいると思った

――では、最後に改めてこの『100日間生きたワニ』への想いを聞かせてください。

中村 オファーをいただいたときは、流行ったから映画化かな?と思ったんですよ。でも、監督や製作陣の想いにふれて、改めて偏見なく原作を読んだときに、どうしたって死というものが真ん中にあるこの作品の前後を描くことで、もしかしたら救われる人もいるだろうし、改めて見つめ直すこともあるだろうなと思って。今ってどんどん価値観が変わっていってるじゃないですか。僕自身、年齢もあるのかもしれないですけど、「ありがとう」とかちゃんと言えるうちに言おうみたいなことが変化としてあって。そんなふうに生きていく上で大切なものがほんのりと匂ってくる作品になっているんじゃないかなと思います。

山田 僕も流行ったから映画化したんだろうなと、最初はまったく同じこと思ったんですよ。でも倫也さんの言う通りで、台本を読むと日々のこととか生きることとか考えさせられて。今、30歳で、デビューから10周年経って、出演作品も100作を超えて。僕は何のために生きているのかということを最近すごく考えるようになったんですね。もちろん観てくれる人のために映画なりドラマなり作品に参加しますけど、それで自分が幸せかどうかなのかを考えたときに、ずっと作品や人のことばかりを考えて、僕自身のことを考えられていなかったことに気づいて。そんなときにこの作品のお話をいただいたことにご縁を感じたというか。もっと僕は僕のために生きていいのかもしれないと、アフレコをしながらそんなことを考えていました。観ている人にも何かそんなことを少しでも感じてもらえたらうれしいですね。

映画『100日間生きたワニ』は7月9日(金)より全国公開!

撮影/友野雄、取材・文/横川良明

中村倫也さん・山田裕貴さんのサイン入りチェキを1名様にプレゼント! ぴあアプリをダウンロードすると、この記事内に応募ボタンがあります。

ぴあアプリでは、もっとおふたりの写真が見られます。

アプリで読む