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嵐・二宮和也の歌詞はなぜ女性目線? ソロ曲から恋愛観を読み解く

リアルサウンド

14/9/6(土) 7:00

20140118-nino.jpg自ら作詞をすることもある二宮。

 嵐のメンバーの中で特に“演技派”として知られるだけではなく、高い歌唱力を持ち、作詞・作曲もこなすなど、音楽的才能にも恵まれた二宮和也。以前、当サイトでは【嵐・二宮和也が作る曲はなぜ泣ける? 情感豊かな歌詞世界のルーツを辿る】という記事で彼の音楽ルーツを辿ったが、本稿では彼の書く恋愛ソングの歌詞について、さらに掘り下げるとともに、その恋愛観にも迫ってみたい。

 二宮の恋愛ソングは、相手への気持ちを甘い言葉で歌い上げる……というタイプとは少々異なる。たとえば、2007年に発売されたアルバム『Time』に収録された「虹」には、こんなフレーズがある。

面倒くさいからって/素直じゃないんだから
何で言えないのかな?/好きだよ。/一言よ?

 このように「虹」は、女性の目線から描かれた歌詞が特徴的だ。「好きだよ」という一言が言えない恋人に対しての思いを歌った内容で、多くの場合、女性が共感を寄せるものだろう。歌詞の後半には「今日は私と君が名字を重ねた日」というフレーズもあり、同曲がウェディングを背景にしていることも伺える。

 2012年に発売されたアルバム『Popcorn』に収録された「それはやっぱり君でした」は、「虹」のアンサーソングとされ、今度は男性目線で次のような内容が歌われている。

優しく笑う君があの時間が空間が/泣きたくなるくらい一番大事なものだよ
何て言ってた頃は言えなかった/…どうして言えなかったのかな?

 「それはやっぱり君でした」は、恋人に素直な想いを告げられなかったことを悔やむ内容で、「君にご飯を作って/君に好きなものをだして/でも減らない」といった歌詞から、その恋人とは死別したことも伺える。おそらく二宮は、こうした悲しい物語を通して、愛する人へ素直に想いを伝えることの大切さを歌ったのだろう。この2作からは、強いメッセージ性とともに、二宮自身の真っすぐでピュアな恋愛観も伺える。

 一方、「虹」と同じく女性目線で書かれた「Gimmick Game」(2008年『Dream “A” live』収録)は、男女の浮気をテーマにしており、次のような痛烈なフレーズが散りばめられている。

どうしてだろう/あなたの指が/ワタシだけには/汚く見えてるの
だからお願い/そのキタナイ指で/私のカラダそんなに/なでないで

 相手を「キタナイ」と非難するフレーズもさることながら、同曲が衝撃的なのは、ラストの方で主人公もまた浮気をしていることが発覚することだ。男女の騙し合いを辛辣な言葉で表現していることからは、二宮の潔癖な一面が伺える。

 一際ユニークな恋愛ソングは、2010年のアルバム『僕の見ている風景』に収録された「1992*4##111」であろう。同曲は、恋人へのメッセージを暗号にして伝えるという内容で、最後までその暗号の意味が明かされないことから、想像力をかき立てられる一曲となっている。

もし…例えばの話/そんなガラじゃないけど
僕の人生最後の言葉は/笑って言う“1992*4##111(コレ)”なんだ

 このように暗号を使うのは、あえて女性目線で作詞するのと同様、二宮自身にある種の“照れ”があるからかもしれない。けれども歌詞全体をじっくり味わうと、恋愛とは二人だけの共通体験を重ねることだ……という含意を読み取ることもできる。

 「虹」や「それはやっぱり君でした」で理想的に語られるように、ストレートに好意を伝え合うような関係性を望みながらも、作詞家としての二宮はあえて間接的で、遠回りするかのような表現方法を取っている。彼の歌詞は実体験を元にしたものではないとされるが、その凝ったフレーズの向こう側には、ひとりの青年の純朴で一途な恋愛観が見え隠れしている、と言えるのではないだろうか。

(文=松下博夫)

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