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TWICE、日本における圧倒的支持の要因は“共感”と“期待感”? 『情熱大陸』から考える

リアルサウンド

19/4/3(水) 7:00

 もはや「K-POPの」という表現は必要ないかもしれない。それほどまでに、韓国発のガールズグループ・TWICEは日本において国民的人気を誇るスターとなった。音楽に詳しくない人でも名前を知っているほど有名になり、街のいたるところで彼女たちの音楽が流れ、TWICEのロゴを入れたTシャツやバッグを見かけることもめずらしくない。

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 日本での正式デビューは2017年。1枚目のシングル『One More Time』がオリコンウィークリーチャートで1位を獲得し、早くもその年の『NHK紅白歌合戦』に出場するなど、日本上陸直後から大物感を漂わせていた。とはいえ、当時のTWICEの人気をリアルに確認できたのは都心、特にファンが集結しやすい新宿・職安通り付近ぐらいだったように思う。だが最近は地方でもTWICEグッズを身に付けた若者が増え、あちこちで全国レベルの人気を実感する機会が増えている。

 庶民的なイメージ、キュートなダンス、ビジュアルの良さなど、ブレイクした理由はいろいろあるだろう。だが、もっと根本的な、大きな要因があるのではないか。そんなことを考えるための手掛かりとなるのが、2019年3月31日に放送されたドキュメンタリー番組『情熱大陸』(MBS・TBS系)である。

 「TWICE リーダー ジヒョ チケットわずか1分で完売!初のドームツアーの舞台裏に密着!!」というタイトルが付いたこの日の放送は、文字通りジヒョをメインにした構成で、日本3大都市ツアー『TWICE DOME TOUR 2019 “#Dreamday”』の開幕3週間前から本番を迎えるまでのメンバーの奮闘ぶりに迫っている。

 トータルで30分ほどの内容だが、韓国で行われた長時間のリハーサルや、ドームコンサート用の映像を撮影する様子、楽屋でリラックスするメンバーなどが手際よくまとめられており、素顔のTWICEを知るにはこれ以上のものはない、といった仕上がりだ。短い時間でも登場する人物の魅力をきちんと紹介するという『情熱大陸』らしさが今回も十分に発揮されたと言えよう。

 番組を観て印象に残ったのは、“メンバーの仲の良さ”だ。以前からそのように感じていた人も多いと思うが、今回の『情熱大陸』で注目すべきは、仲が良い理由についてもさりげなく触れている点である。各メンバーのコメントで分かるのが、驚くほどの速いスピードでスターダムへの階段を駆けあがっていくグループに対する不安やプレッシャーが相当あるということ。それをなんとか乗り越えていくには、9人の結束力が必要不可欠だったというわけだ。

 厳しいオーディションに勝ち残って喜んだのもつかの間、すぐにプロデビューしてヒット曲を連発し、短い期間でトップアイドルとなった彼女たちは、まだ心のどこかにアマチュア的な部分が残っているのかもしれない。ドーム公演を直前に控えて「(どのような結果になるのか)想像できない」と語るジヒョの表情は、緊張や期待感とともにとまどいが見え隠れする。おそらくファンが共感するのは、こうした良い意味での素人っぽさではないだろうか。

 番組は日本人メンバーがスカウトされたという場所にも訪れる。大阪の地下街、百貨店の地下食料品売り場など、誰もが行くような普通のところで声をかけられたのがすべての始まりとなったのだ。「こんなに夢が現実になるとは考えてもみなかった」(サナ)、「人生何があるか分からないって身をもって言えます」(ミナ)というコメントは、歌手を目指す同世代の人たちにとって大きな励みとなったに違いない。また、YouTubeで公開したダンス動画がきっかけでチャンスをつかんだモモが、「今までずっとお姉ちゃんについて行く感じやったから、ひとりで何かするとかなかったから……」と自然体で語る姿も、多くの人が「自分と同じようなタイプだったんだ」と親しみを覚えたはずだ。

 TWICEが今までのガールズグループと決定的に違う点はここにある。自分と変わらないんだと思わせる“共感”と、自分もいつか彼女たちのような存在になれるかもという“期待感”。この2つがあったからこそ、圧倒的な支持を得たのではないか。ビジュアルやサウンド、ダンスの良さなど売れる要素はたくさんあったものの、プラスアルファとなる何かがなければ、ここまでの成功を収めることはできなかったと思う。“共感”と“期待感”という要素がある限り、TWICEの快進撃はまだまだ続くだろう。

 この1、2年の間にK-POPは新たなフェーズに突入した。TWICEの日本進出を皮切りに、IZ*ONEの日韓でのブレイク、そしてAKB48で活動してきた竹内美宥と高橋朱里が韓国で再デビューしようとしている。日本人が活路を求めて韓国に渡るようになった現在、TWICEが果たした役割・成果が再びクローズアップされつつある。(まつもとたくお)

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