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Leadのパフォーマンスは進化し続ける “史上最高”の盛り上がり見せた『Sync』ツアー最終公演

リアルサウンド

19/9/15(日) 13:00

 この夏デビュー17周年を迎えたダンス&ボーカルユニット、Leadが全国ツアー『Lead Upturn 2019 ~Sync~』のファイナル公演を9月14日東京・中野サンプラザで行った。6月から最新シングル『Summer Vacation』のリリースイベントで全国各地を駆け巡り、8月には同じ事務所のDA PUMPやw-inds.とともに台湾のフェス『超犀利趴(スーパースリッパ)10』に出演するなど、多くの人に歌と踊りを届けてきた3人。少し遅めの夏の締めくくりとなったこのツアーファイナルについて、当日夜公演の模様を中心に雑感を述べたい。

(関連:Leadが語る、15周年迎えたグループの強み「どんな曲でも軸に“ヒップホップ感”がある」

 彼らの楽曲の中でも‟超”重厚な世界観で魅せる「Be the NAKED」からスタートしたこのライブ。白いセットアップに同色のライフジャケットを羽織り、円形の照明に囲まれたステージに登場した3人の姿は、どこかの星に降り立った宇宙飛行士を思わせる。いきなりのアッパーなナンバーに客席のLeaders(Leadファンの愛称)はもちろん、ステージの3人からも立ち上るような熱気が感じられた。難易度の高いステップなどで魅了する同曲から、間髪を入れず津軽三味線×デジタルサウンドがインパクト大な「メダリスト」へ。同曲ではステージディレクターを務めるKyoを筆頭としたダンサーズを含め、世界の‟頂”を目指す人の姿を表現するかのように、各人が気合いの入ったソロを同時に披露。さらにLeadのステージを力強くバックアップするDJ HIRORONもスクラッチを炸裂させ、序盤からクライマックスのようなテンションでパフォーマンスを展開していく。

 公演に先駆けて行われた囲み取材で、古屋敬多(以下、敬多)が「今回のツアーの構成は頭からものすごく攻めていて。序盤から歌いまくって踊りまくってという構成はここ数年なかったけど、こういうのがLeadらしいのかなと思う」と語っていたが、この序盤部分では「Fairy tale」「Wake me up」など、ファン人気の高いアッパーな楽曲をノンストップで繰り出し大きな歓声を浴びていた。またこのブロックだけでもメンバーの鍵本輝(以下、輝)や谷内伸也(以下、伸也)が作詞作曲した楽曲などメンバー制作曲が多く含まれており、ライブパフォーマンスを想定した自作曲が増えてきたことも、長いキャリアの中での彼らの進化を感じさせた。

 「みんなが一つになることでツアータイトルの‟Sync”は完成するので。まずは隣の人とハイタッチ!」(敬多)というアットホームなMCの雰囲気を引き継ぐように、ステージは“夏コーナー”へ突入。「真夏のMagic」(2002年)でのデビュー以来、夏をテーマにした楽曲を数多く発表してきた彼ら。そのレパートリーの中でも、2010年のツアー『Upturn 2010~I’ll Be Around★』ぶりに披露された爽やかな「Summer Splash」(2005年のシングル『ベイビーランニンワイルド』収録)や、パーティチューン的な「Summer Madness」(2006年の同名シングル収録)といった懐かしの楽曲から、「Shampoo Bubble」「Backpack」といった近年の楽曲までをメドレーで披露。「Summer Madness」では、(コップを打楽器として使う)カップスパフォーマンスでも会場を盛り上げた。

 晩夏のようなムードが漂うミディアムバラード「Summer Love Story」からは、楽曲の雰囲気が一変。3人のハーモニーがさまざまな形で絡み合う同曲に続き、オープニングをしっとりとした3声のアカペラで聴かせた「Dear」、ピアノアレンジのトラックに敬多のフェイクが柔らかく響く「Say Good-bye Say Hello」とバラードを連発。この春にミュージカル『プリシラ』で活躍した敬多を筆頭にそれぞれが声量や歌唱力の部分を強化し、しっかりと歌を聴かせるボーカルグループ的な側面も持ち合わせるようになっていたことには正直、驚いた人も多かったのではないだろうか。

 「トーキョーフィーバー」の振りなどを組み込んだダンサーズによるダンスコーナーを挟み、衣装をチェンジした3人がライブの定番曲「バージンブルー」で再び登場。同曲からはステージ上にミラーボールが輝くファンキーゾーンへ。王道ファンクチューン的な「Funk This Time!」、ベース音が唸る「Bumblebee」と、近年の彼らの魅力の一つといえるファンクベースの楽曲を繰り出していく。筆者が個人的に胸熱だったのは、このゾーン後半で披露されたブラックフィーリングの強い「Fall In Love」「Baby what turns you on」だ。ともにアルバム『Feel The Vibes』(2008年)に収録されたR&Bデュオ・L.L BROTHERSプロデュースのセクシーな楽曲だが、リリース当時のやや背伸びしながら歌っているようなニュアンスを思い出し、この短い時間に彼らの重ねてきたキャリアを追体験しているような気分に襲われた。

 そして先述の囲み取材で輝から「演出面でのポイントは照明とダンスのリンク」というアナウンスがあったのだが、たとえば「Fall In Love」でのマイクスタンドを倒す角度と照明の角度がリンクしたりと、ライブの随所に‟光を統べる”ような演出が散りばめられていたのも、2019年現在のLeadらしいこだわりだとも感じた。

 後半のMCではこの夏を振り返り、「11年ぶりに台湾に行きまして。今年のツアーはUpturn史上最高の盛り上がりだったけど、それは台湾での経験が大きかったと思う。w-inds.のライブがかっこよすぎて、ちょっと腹立ったんだよね(笑)。あれは刺激になった」という敬多の言葉に、「僕らもムカつかれるぐらいにならないとね?」(伸也)とうなずきあっていた3人。そんなやり取りののちに「今日を騒ぎ切らないと夏が終わらない!」(輝)と繰り出してきたのが、彼らのサマーチューン最新型である「Summer Vacation」。同曲は3人だけでパフォーマンスしたのだが、目まぐるしいフォーメーションチェンジやシンクロ感重視の振りの難易度の高さもありつつ、自由にたゆたうようでいて完成されたそのステージングはまさに‟絵になる”としか言いようがなかった。そして歌詞やサウンド、ダンスからもポップ感がはじけるような「雫~Sizk~」で本編を締めくくった。

 アンコールは輝が作曲、輝&伸也が作詞した「ANTHEM」からスタート。敬多が歌い挙げる〈上昇気流 風の背中に乗せ 君の声を聴かせて〉に観客が自然な歓声で応える流れなども、やはりLeadersというピースがはまることで完成するパズルとして作り上げられた楽曲なのだろう。伸也が手掛けたラップのリリックも〈流行りを追った末 何を制する?〉〈他じゃないもの 鳴らし続けていく鼓動〉と、現在のクリエーションに関する彼らのスタンスを象徴するようなワードが散りばめられており、強く印象に残った。躍動感あふれる同曲では中野サンプラザの床が揺れ、この日一番の盛り上がりを見せていた。そして“3人とLeadersが集まればどこでもパラダイスになる”という思いを込めて輝が作詞した「Paradise City」で、同ツアーは幕を閉じた。

 「これからもチーム一丸となってみんなの心を動かせるような音楽、パフォーマンスを作っていけたら。自分たちには伸びしろしかないと思っているけど、自分たちが夢を叶えるそばには、常にみんなにいてほしい」(輝)と、Leadersに真摯な言葉を贈っていた3人。MCでは早くも2021年に迎える20周年イヤーのカウントダウンが始まっていることを匂わせていたが、節目の年に向けてどのような動きを見せてくれるのか期待したい。(古知屋ジュン)

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