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(C)KADOKAWA1984 (C)東映 (C)1984 ハネシネマ (C)光和インターナショナル/松竹

第3回:編集部おススメ➁「森田芳光70祭~伝えたい、モリタを~」

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今年の「ぴあフィルムフェスティバル」で編集部がおススメするふたつ目は、「森田芳光70祭~伝えたい、モリタを~」。今年は森田芳光監督のブルーレイボックスや書籍の発売に加え、ゆかりの劇場でのマラソン上映などさまざまな企画が目白押しだが、PFFでも今回、35㎜フィルム上映+森田ファンを公言するゲスト5名によるトーク付き特別上映を実施!

自身も森田ファンであるぴあ水先案内人・相田冬二さんも「楽しみ!」と期待する彼らのトークは、是非会場でお楽しみください!

誰にも真似のできない、“追いかけられる”存在の森田芳光監督

森田芳光監督 写真:小櫃亘弘

森田芳光が、最初の名声を確立したのが、1978年のPFFでのことだった。『ライブ・イン・茅ヶ崎』。音楽で言えばヒップホップ、映像で言えばマッシュアップ的な感性に満ちあふれたその自主制作映画は、時代を先行しすぎるほど先行した決定的な作品だった。言うまでもなく、当時はヒップホップもマッシュアップも存在していない。誰にも似ていないモリタの作品は、いつだって、後から“追いかけられる”存在だ。

あれから43年。PFFで森田芳光が特集上映されることを、まずは喜びたい。なぜなら、彼の作品は43年前そうだったように、いまも新しくみずみずしいからである。21世紀になろうが、令和になろうが、風化するものなど何もない。この真実が立証される機会とも言えるだろう。

『ライブ・イン・茅ヶ崎』から間もなく撮られた貴重な記録『劇的ドキュメントレポート’78〜‘79』が上映される(※こちらのみ渋谷ユーロスペースにて9月8日(水)に上映)のは、まさにPFFならでは。東京人としてのモリタのまなざしが感じとれるドキュメンタリーで、演劇界を代表する面々の若き日の姿とあいまって、そのヴィヴィッドな視点がまばゆい。

今年のPFFで何よりも興味深い、モリタを語る試み

だが、本企画が興味深いのは、『ライブ・イン・茅ヶ崎』の時点では、まだ生まれたばかりか、せいぜい3歳児、中には生まれてさえいなかった映画人たちが、モリタを語る試みこそにある。

たとえば1985年生まれの松居大悟監督は『メイン・テーマ』に何を見るのか。松居作品に一貫して流れている純情と、どこにも辿り着かなかった夜を描く『メイン・テーマ』の純情とが、いかなるシンクロニシティを展開するのか。

(C)KADOKAWA1984

あるいは、1975年生まれの冨永昌敬監督と『ときめきに死す』というカップリングには喝采を叫ばずにはいられない。なぜなら、冨永の洗練された映画文体と、モリタの車がゆっくりと移動するかのような流線形の映画的スピードは、きっと極上のマリアージュを形成するであろうから。フィルモグラフィ中、最もカルトな人気を誇る『ときめきに死す』を、『亀虫』の映画作家がどのように読み解くのか、本当に楽しみだ。

(C)1984 ハネシネマ

共に1977年生まれの監督、石川慶と脚本家、向井康介が『39 -刑法第三十九条-』を批評するのも面白い。いずれも精緻な感性みなぎる両者が、モリタが初めてジャンル映画に本格的に取り組んだ稀有な一作を分析することで、きっと再発見がもたらされるだろう。

(C)光和インターナショナル/松竹

やはり1977年生まれの沖田修一監督が、モリタの代表作のひとつ『それから』に挑む。沖田には『横道世之介』『おらおらでひとりいぐも』といった、文学への卓越したアプローチがある。モリタが夏目漱石と奇跡の接近遭遇を果たした『それから』を語るにはふさわしい才能と言えるだろう。

(C)東映

誰にも真似のできない映画だけを創りつづけた森田芳光は、いま、最前線の映画人たちに何を付与しているのか。孤高のモリタ遺伝子の行方とともに、しっかり噛みしめたい。

文:相田冬二

森田芳光70祭~伝えたい、モリタを~

https://pff.jp/43rd/lineup/morita70.html

■上映作品

『ときめきに死す』 9/12(日)12:00~ トーク:冨永昌敬(映画監督)

『それから』 9/12(日)16:00~ トーク:沖田修一(映画監督)

『39 -刑法第三十九条-』 9/19(日)12:30~ トーク:石川慶(映画監督)&向井康介(脚本家)

『メイン・テーマ』 9/19(日)17:00~ トーク:松居大悟(映画監督)

※更に、渋谷ユーロスペースで、森田監督が演劇人たちを生々しく記録した『劇的ドキュメントレポート’78〜‘79』を9/8(水)に上映します!

■関連情報

生誕70周年記念プロジェクト 森田芳光70祭

【ぴあからお知らせ】

スペインの映画祭で喝采を浴びた『おばけ』が、
国立映画アーカイブに帰ってくる!

『おばけ』

PFFアワード2019グランプリ受賞作品『おばけ』が、スペインで開催された国際映画祭、フィルマドリッド(FILMADRID)のコンペティション部門にて最高賞受賞という快挙を達成! これを記念して、PFF2021では映画祭初日に本作を上映します!

今回、オンライン配信は行わず、スクリーンでの上映にこだわり続けた、中尾監督の想いが詰まった作品をどうぞお見逃しなく!

https://pff.jp/43rd/lineup/obake.html

■上映日時:9月11日(土)18:20~

■会場:国立映画アーカイブ(京橋)

『おばけ』

新鋭・中尾広道監督が、自身の自主制作映画作りをベースにして作り上げ、2019年のPFFアワードで最終審査員の満場一致でグランプリの栄冠を射止めたインディーズ作品。映画制作に入れ込む男と彼を見守る星くずの姿を通して、創作と“生”の分かちがたい結びつきを映し出す。星の声を芸人の金属バットが演じているほか、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)の楽曲「HAPPY SONG」がエンディングテーマとして使用されている。

映画祭チケットは、チケットぴあにて発売中!

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、定員の50%の座席数を販売いたします。

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