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JO1「OH-EH-OH」も手掛けたPENTAGON フイ、“作曲ドル”としての実力と功績 カラーを考えて制作するスタイルが魅力に

リアルサウンド

20/8/29(土) 10:00

 サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から生まれたボーイズグループ・JO1。来る8月26日にリリースされる2ndシングル『STARGAZER』をリリースするにあたり、タイトル曲「OH-EH-OH」が8月1日に放送された『HEY! HEY! NEO! MUSIC CHAMP』で初披露され話題になったのは記憶に新しい。彼らのパフォーマンスはもちろんなのだが、それだけではなくこの曲の制作者の一人にもスポットが当たった。

JO1|『OH-EH-OH』MV SHORT Ver.

 その人物が、韓国のボーイズグループ・PENTAGONのリーダーでメインボーカルを務めるフイ(HUI)だ。放送された直後から「作詞作曲にHUIってあるけど、PENTAGONのフイくん?」「フイっぽいなと思ったら、本当にHUIって名前があった」など、SNSではK-POPファンを中心に大きく盛り上がっていた。

 今回は、「作曲ドル(作曲家+アイドル)」としてのPENTAGON・フイについて考察してみたい。

「Never」から始まった「作曲ドル」フイ

[MV] PENTAGON(펜타곤) _ Gorilla

 フイはPENTAGONのメンバーとして2016年10月10日に韓国デビューをした、1993年生まれの現在27歳(韓国年齢では28歳)だ。今までグループとしては韓国でトータル10枚のミニアルバムとフルアルバムをリリースしている。2017年3月にミニアルバム『GORILLA』で日本デビューをし、これまで日本でも精力的に活動を行っている。来る9月23日には日本での活動を総括した初のフルアルバム『UNIVERSE : THE HISTORY』をリリースする予定だ。

[PRODUCE101 シーズン2] 国民の息子「NEVER」@コンセプト評価

 そんなPENTAGONのメンバーとして活動をしているフイが「作曲家」として注目されたのは、イドン、キム・ヒョナとともに『PRODUCE 101 シーズン2』でコンセプト評価曲「NEVER」を手掛けたことだった。この曲が番組で披露された後、韓国の音源サイトで1位になるという快挙を成し遂げ、一気に「作曲家フイ」の名前が知れ渡ることになった。

Wanna One (워너원) – 에너제틱 (Energetic) MV

 同番組から生まれたグループ・Wanna Oneのデビュー曲「Energetic」を手掛け、さらにその名前を一般層に知らせることになる。この曲は空前のヒットとなり、アメリカのビルボード誌の評論家たちも「最高のK-POPの歌」1位に挙げ、「『Energetic』はWANNA ONEのメンバーたちの個性を証明した曲であり、次世代のスーパースターへの道を確実にした曲」とし「ただのヒット曲だけではなく、K-POPの歴史で重要な意味を持った」と共作者であるプロデュースチーム・Flow Blowと共に評されるほどだった(参照:billboard)。

[MV] PENTAGON(펜타곤) _ Shine(빛나리)

 その後、「Like This」や「RUNAWAY」など、自身のグループを中心に様々な曲を生み出していくことになるが、作曲家としての名前が知られていく反面、なかなかグループとしての知名度が上がらない事実もあった。そんな中で生まれたのが「SHINE」だ。これまでのアグレッシブで少しダークな印象のあったPENTAGONとは正反対のコミカルで明るいサウンドの「SHINE」は、PENTAGONにとって初めての音源サイトへのチャートインを果たすことになる。「朝に食べるりんごのような曲にしたかった(参照)」というこの曲は、フイの願った通り、多くの人の耳に触れる曲になったのだ。まさにPENTAGONにとっての「運命の曲」となった。

 フイの名前がクレジットにある楽曲(作詞や編曲のみも含む)は、音源サイトで公開されているものだけで、合計48曲にもなる。2016年にデビューしてからたった4年の間にPENTAGONから他者への提供曲まで、これだけの曲に関わってきたのだ。アイドル活動をしながらということを考えたら、すごい生産力だろう。

「その人のカラーを考えて作る」フイの作曲スタイル

[MV] PENTAGON(펜타곤) _ When I Was In Love(설렘이라는 건)
펜타곤(PENTAGON) – ‘바스키아(Basquiat)’ Performance Video

 フイの作曲家としての強みは「どんなスタイルの曲も作れること」だろう。実際、PENTAGONの楽曲の中でも「You Are」「When I Was In Love」のようなエモーショナルバラード曲から、「SHINE」「Naughty boy」のようなコミカルでキュートな曲、叙情的な切なさが漂う「Like This」「RUNAWAY」、そしてハードでアグレッシブな「Dr.BeBe」「Basquiat」まで、彼が作り上げてきた楽曲のスタイルは多種多様だ。しかし、そのどの曲にも一貫してしっかりしたフイのカラーがある。それは他のアーティストに提供した曲も同様だ。

[ENG sub] PRODUCE X 101 [단독/최종회] 소년미(少年美) 최종 데뷔 평가 무대 190719 EP.12

 「他のアーティストの曲は、その人だけのために書いているので、もったいないと思ったことはない」(参照:news1KOREA)と韓国のインタビューで語っているフイ。「誰かが曲を依頼したら、その人に似合いそうなストーリーやドラマを描く」(参照:ARENA)という彼のスタイルは、曲のストーリーを大切にするのだという。例えば、『PRODUCE X 101』のコンセプト評価で披露された「少年美」では、「幼いけどセクシーになれる」にポイントを置き、純粋だがどこか色気のあるイメージの少年に合わせてストーリーを作っていった。

 そして作曲の過程では「その人をよく知る作業」を行うという。アルバムジャケットや、雑誌の写真を見たりしながら、「その人に合うテーマ」を探る。この作業により、ぴったり合う楽曲が生まれてくるのだ。

[SHINHWA – Don’t Leave Me] Comeback Stage | M COUNTDOWN 180830 EP.585

 たとえば、結成22年を迎える神話(SHINHWA)には、彼らの持つアダルトな雰囲気を生かすバラード曲「Don’t Leave Me」、Wanna One出身のオン・ソンウには彼のキャラクターに合わせた爽やかな楽曲「Heart Sign」を、独特な世界観を持つガールズグループ・BVNDITにはガールクラッシュを感じさせるパワフルな曲「Dramatic」を、といった具合だ。

 フイと多くの共作を行ってきたロデュースチーム・Flow Blowのメンバーは以前「彼の作るガイド音源(歌を録音をする際にガイドに流す音源)が素晴らしい」と語っていた(参照:NAVER)。フイはV LIVEなどで度々ガイド音源を披露しているが、主にフイ本人が仮歌を入れたその音源は、アレンジやボーカルディレクションを含め、ほぼ世界観が仕上がったものだ。このガイド音源を元に録音作業が進むため、フイが作り上げた世界観はほぼそのまま生かされ、音源が仕上がるのだろう。

 フイの楽曲の一番の特徴は「2つあるサビ」だ。彼が手掛けてきたほとんどの曲にサビになりうるメロディが2つ存在している。曲のメインとなるメロディが2つあることで曲を一層盛り上げていくのだ。

 そして、彼の作る曲はその時の流行だけを意識したものではないこともポイントだ。もちろん流行のサウンドは取り入れている部分もあるが、あまり意識しているわけではないようだ。流行のサウンドにとらわれるあまり、毎シーズン似たような楽曲に偏りがちなK-POPシーンにおいて、トレンドに流されることなく独自の世界観を作れているのは貴重だろう。

JO1らしさを引き出した「OH-EH-OH」

 JO1の「OH-EH-OH」は、耳に残るイントロのコーラスが印象的だ。多くのファンは、PENTAGONの「SHA-LA-LA」のようにサビに向かって一気に盛り上がる特徴的な曲展開と、PENTAGONを彷彿させるラップパートで「これはフイが作曲したのかも」と感じたようだ。聴いただけでわかるフイの世界観があるのだろう。

 「提供する相手に合わせて曲を作るスタイル」であるフイが提供したこの曲は、K-POP要素がありながらもメロディを重視しているJ-POPらしさをしっかり感じられる曲になっている。歌詞も力強く夢に向かう姿や友情をテーマにしており、JO1の今回のコンセプトに合わせた楽曲に仕上がっている。

 「Never」から始まり、“プデュ”には何度か関わりヒット曲を生み出してきた彼だが、今回の「OH-EH-OH」で日本版“プデュ”から生まれたJO1にも曲提供をしたことは、多くのファンを喜ばせた。それに加えてメンバーの川尻蓮がPENTAGONの日本ツアーでバックダンサーを務めた経験があるというドラマティックな展開に多くのファンが心をときめかせた。

 川尻は先日行われたショーケースで、フイが「OH-EH-OH」の作曲手掛けたことついて「こんなご褒美が待ってるとは思わなかった」と語っていたが、この曲でJO1もフイに新たなシナジー効果を生み、また違った形の「ご褒美」に繋がるかもしれない。

 今、フイは彼にとっての初のミュージカル『狂炎ソナタ』に挑戦している。9月まで公演が続き、9月公演は日本でのオンライン配信を行う。「自分と似ている部分がある」という悲運の天才作曲家・Jを演じることで、新たな世界を広げるだろう。そして、また素晴らしい楽曲を作り上げてくれることを期待したい。

※記事初出時、一部情報に誤りがございました。訂正の上、お詫びいたします。

■西門香央里
東京在住のフォトライター。K-POP、韓国トレンド、旅行、グルメ、カルチャーなどを中心にWebメディアなどで活動中。年3~4回の渡韓でエネルギーを蓄えている。いつまでも年齢不詳でありたい通年おかっぱの人。座右の銘は「努力は裏切らない」。
寄稿媒体:いまトピ、エキサイト、TABIZINE、SHELBEE…等

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