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KOKOKO!、Ondo Fudd、Datach’i……小野島大が選ぶエレクトロニックな新譜9選

リアルサウンド

19/8/18(日) 8:00

  2カ月のご無沙汰でした。今月もエレクトロニックな新譜を取り上げます。

 まずはコンゴ・キンシャサの5人組KOKOKO!の『Fongola』(Transgressive Records / Big Nothing)。フランス人プロデューサーのデブリュイと現地のミュージシャンによって結成されたバンドで、これが1stアルバムです。コンゴ版ローファイトライバルエレクトロパンクともいうべきラフでロウでイビツな音楽性が非常に刺激的です。路上で拾った鉄板、空缶、エンジン部品、プラスチックなどで作った手製の楽器を使い、これまた手作りの簡易スタジオで録音されたという、いわば「コンゴのEinstürzende Neubauten」。しかし「洗練」とは無縁な荒々しいサウンドからは、ストリート発の黒光りするエネルギーや凄まじいバイタリティが感じられます。MVも抜群に面白い。ぜひライブを観てみたいですね。

KOKOKO! – Azo Toke (Official Video)
KOKOKO! – Tongos’a (Official Music Video)
KOKOKO! (Live) | Boiler Room: London

 シカゴハウスのベテラン、グレン・アンダーグラウンドと、ブー・ウィリアムスによるユニット、The Strictly Jaz Unitの『The Tempest』(Strictly Jaz Unit Muzic)。1997年以来、なんと22年ぶりの3作目です。ベテランらしい練りに練られた完成度の高いディープハウス。といって枯れた感じもなく、非常に躍動感のあるダンストラック集となっています。素晴らしい。

The Strictly Jaz Unit – Time Of Speed, Not Day
The Strictly Jaz Unit – Near The End

 UKのプロデューサー、コール・スーパーのユニット、Ondo Fuddの5曲入りミニアルバム『Eyes Glide Through The Oxide』が、ロンドンのアンダーグラウンドテクノの牙城<The Trilogy Tapes>からリリース。メロディアスで繊細な上モノと、ローの効いた四つ打ちのリズムのバランスが効果的なロウ〜ディープ〜テックハウス。非常に蠱惑的なダンスミュージックです。

 ルーク・スレーター(L)、スティーヴ・ビックネル(S)、ファンクションことデヴィッド・サマー(D)というテクノの大御所3人が組んだLSDの1stアルバムが『Second Process』(LSD)。非常にストイックで硬質でハードなミニマルテクノが容赦なく攻め立ててくるフロアキラーな42分。記号に徹した曲名も骨太で無愛想なサウンドも、テクノファンにはこたえられない一作です。

 

LSD (Luke Slater, Steve Bicknell and Function) (live) at Reaktor ADE, Amsterdam Dance Event 2017

 ロシアのテクノ女帝ニーナ・クラヴィッツのレーベル<трип>から、ロシアの男女テクノデュオ・PTUの3作目『Am I Who I Am』。エクスペリメンタルな変則ミニマルテクノ。ローのアタックと硬質なビートが刺激的な、狂気を孕んだクールなエレクトロニカはオリジナリティに溢れています。フロアの沸騰が目に見えるようで、ロシアのテクノシーン、なかなか面白いことになってますね。

 韓国の女性DJ、ペギー・グーが人気ミックスシリーズ『DJ-KICKS』(!K7)に登場。Aphex TwinやDMX Krew、Kode9といったベテランから新鋭まで、新旧織り交ぜたテクノ〜エレクトロが次々と飛び出してくる多彩な選曲、起伏に富んだ展開は文句なく楽しめます。

 イギリス・ウェールズのプロデューサー、Leifの4年ぶり新作『Loom Dream』。The xxやFKA twigsを輩出したUKブリストルの<Young Turks>傘下の<Whities>からのリリースです。フィールドレコーディングによる自然音に、ベースミュージック以降の音響感覚を溶かし込んだ美しく繊細で、どこか静かに狂っているエクスペリメンタル〜アンビエントハウス。いつまでも浸っていたい上質なチルアウトミュージックです。

Leif – Loom Dream – Side A (Yarrow, Borage, Myrtus)
Leif – Loom Dream – Side B (Mimosa, Rosa, Pteridium)

 NYブルックリン在住のジョセフ・フレイオリのプロジェクトがDatach’i。名門<Planet Mu>傘下の<Timesig>からの新作が『Bones』です。亡くなった父親のギターをサンプリングしてモジュラーシンセに取り込んで作ったという、非常にエモーショナルでディープなエレクトロニカ。ノスタルジックなメロディと美しく温かみのあるシンセの音色のバランスが素晴らしい。

Datach’i – Saugerties Road (Official Video)
Datach’i – 4×1 (Official Video)

 最後に日本人クリエイターの作品を。フィールドレコーディングを駆使したサウンドプロダクションが特徴のYosi Horikawaの『Spaces』(Borrowed Scenery)。サンプリングした自然音を民俗音楽、ヒップホップ、テクノ/IDM、ベースなど様々なサウンドスタイルに昇華させています。理知的なサウンド構築ですが、同時にオーガニックなチルアウトミュージックとしても楽しめる佳作。bandcamp Yosi Horikawa

 ではまた次回。

■小野島大
音楽評論家。 『ミュージック・マガジン』『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』『MUSICA』『ナタリー』『週刊SPA』『CDジャーナル』などに執筆。Real Soundにて新譜キュレーション記事を連載中。facebookTwitter

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