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水泳選手からオペラ歌手へ。異例の経歴を持つ今井俊輔が語る『ファルスタッフ』の魅力

ぴあ

今井俊輔

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シェイクスピアの『ウインザーの陽気な女房たち』を題材に、ヴェルディが遺した最後のオペラ『ファルスタッフ』が2021年7月16日(金)から東京文化会館大ホールにて開幕する。どんな舞台になるのか、今回、タイトルロールのファルスタッフ役を演じる今井俊輔に話を聞いた。

老いた騎士で、酒好きで女好きなファルスタッフではあるが、今井は「大変名誉のある役で、演じがいがある」。今井自身、イタリアの師匠に「『ファルスタッフ』と『マクベス』をやったら、次は何をやるの?もうあなたのキャリアはフィニッシュよ!」と冗談めかしく言われたそうだ。「頭も体も宇宙のような」ファルスタッフを今井がどう演じるか。同じバリトンのフォード役との競演もオペラとしては珍しい聴きどころで、期待したい。

作品については「演劇的要素に富んでいて、リアリティがある演出。オペラ初心者でも見やすいと思う」。また、ヴェルディアーノ(ヴェルディ歌い)として活躍してきた今井としては「ヴェルディがそれまで自分で作ってきた音楽を壊したり、揶揄したりしている部分が面白い」という。

新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として、マスクをしながらの稽古。「声の響きが全然違うので、苦しい」というが、「高地トレーニングをしているような感じがして、嫌いではない」と笑う。稽古の進行も順調だといい、「10秒ぐらいの場面を30分ぐらいかけることも。本当に細かくつくっている」。

もともと水泳のインストラクターやライフセーバーをしていた今井だが、20代のときに友人に誘われて、マーラーの千人交響曲を聴く機会があり、大感動。そこから音楽の道を志すという、オペラ歌手としてはかなり変わった経歴の持ち主だ。発声についても「動かすはずのない筋肉をどう動かすか考えている」と語るように、彼にとってはスポーツに近い感覚なのかもしれない。最近では、本業での活躍もさることながら、YouTubeで動画配信をするなどして、オペラのファン層を広げる活動を続けている。

最後に観客へのメッセージとして、「コロナ禍だからこそ、この迫力とアンサンブルを楽しんで、心を揺さぶっていただきたい。作品の最後に『この世は全て冗談』というセリフがあるが、その言葉の通り、あまり構えずに、楽しく見てほしい」と語った。

指揮は、レオナルド・シーニ。今井が出演するのは7月16日(金)、18日(日)。同じくファルスタッフ役の黒田博が出演するのは、17日(土)、19日(月)。チケット発売中。

東京二期会オペラ劇場『ファルスタッフ』
2021年7月16日(金)〜7月19日(月)
会場:東京文化会館 大ホール
チケット情報
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2029531&rlsCd=001

取材・文・撮影:五月女菜穂

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