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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

スマホやネットではわからない「闇」の世界に人は引きつけられる

毎週連載

第143回

先週まで話した佐野元春さんの話をするとさ、人によっては「え? そんな深い話、面倒くさいからいいや」「僕は『SOMEDAY』だけ聴ければいいや」みたいなことを言う人がいる。これは良くないことですね。森羅万象あらゆるものの深い世界を見るべきだし、見ようとしていかなければいけないんだよ。

怪談とかオカルトもそうだよ。今の時代だからこそ、深く掘り下げて見ていくべきことだと思う。

……なんだよ、「佐野元春さんから怪談への流れがヘンだ」って顔して。同じだよ、佐野元春さんも怪談もオカルトも。深く調べれば調べるほど、きちんと向き合えば向き合うほど、世界が広がることは絶対にあるっていう意味で言えばね。

今の世の中、スマホだのネットだのでなんでもかんでも調べられると思っているじゃん、みんな。またその一方で、スマホやネットがなかった今から30年前とかに比べて「神秘」「謎」ってことが日常からなくなってきているように感じることがある。

でもさ、「果たして霊はいるのか」「UFOはいるのか」「ネッシーは実在するのか・したのか」とかさ、いまだにきちんと明言できないことはまだまだある。「謎なんてない」「わからないことはない」なんてみんな考えているかもしれないけど、違う。こういう「なんでもわかる」「わからないものなんてない」っていう風潮が進めば進むほど、オカルトの闇とか神秘っていうのはますます濃くなり深くなっていくと思うんだ。

昔はさ、歌舞伎町はいかがわしい人もいっぱいいたし、汚さ全開だったでしょう。そういう歌舞伎町に対して「浄化作戦だ」みたいに「汚いもの」を排除していったわけだけど、その施作で確かに表面上は綺麗になったかもしれない。でもさ、臭いものにいくらフタをしてもなくならないし、むしろその中では臭いものがさらに発酵しちゃってより濃いものになってるわけ。

それと同じでさ、「わからないことなんてない」と言ってもその神秘の闇はより深くなっているわけで、むしろ今の僕はそっちのほうに興味を引かれてるんだよ。

実際オカルトってことに対して無自覚に気を引かれてる人、多いと思うよ。わかりやすく言えばさ、ここ2~3年で爆発的にヒットした漫画は『鬼滅の刃』『呪術廻戦』じゃん。この漫画のふたつに共通するものはなんでしょうか。その答えは「呪い」です。『スラムダンク』とかじゃなくて、「呪い」とかが今の旬のテーマなわけさ。そういう目には見えない、神秘的な内容、念じられたような内容の作品が求められている時代なんだよ、今。

こんな話をしてると、なかなか怪談とかオカルトの本題に辿り着けないけどさ、この続きは来週より深く紹介したいと思います。

スマホではわからない世界は、絶対に存在します。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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