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KAT-TUN、15周年アニバーサリーシングル「Roar」に重なる3人の姿 前向きな方向へ導く三者三様のスタイル

リアルサウンド

21/3/10(水) 6:00

 KAT-TUNのデビュー15周年アニバーサリーシングル『Roar』が3月10日にリリースされた。

 表題曲「Roar」は亀梨和也主演の土曜ドラマ『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ系)の主題歌に起用されている。YouTubeでは一足先にOfficial Music Videoが公開され、現在までに60万回再生数を突破している(3月9日現在)。

KAT-TUN – Roar [Official Music Video]

 約3年ぶりの新曲、通算28作目となるシングルは通常盤、初回限定盤DVD/Blu-ray、期間限定盤1、2、3、の全部で6形態。そして発売日よりグループとしては初となる表題曲および配信限定カップリング曲のダウンロード、ストリーミングが予定されている。ジャニーズとしては嵐、堂本剛(ENDRECHERI)に続く3組目の試みとなる。

 また、ソロ曲のMVは期間限定盤を購入し、専用サイトにシリアルコードを入力するとストリーミング配信にて視聴できる。特典映像には「Roar」のMV、メイキング映像に加えて、「KAT-TUNデビュー15周年記念スペシャルインタビュー」と、15周年らしい派手な展開だ。

酸いも甘いも噛み分けた大人だから歌える「Roar」の世界観

 薄曇りの空、遊園地の跡地、寂し気な雰囲気のなか鍵盤が奏でる繊細な高音ーー。かつては賑わっていた時代もあったのだろう、もう回ることのないメリーゴーラウンドの欠片にかつての面影が残る。集められたままの残骸、塗装がはがれた鉄柱、海辺に打ち上げられた流木……魂が宿っていない抜け殻の心情を表しているかのよう。

 〈届かない 蜃気楼に手を伸ばして〉という歌い出しは亀梨和也。歌詞を丁寧になぞるようにして声を重ねた。寂しげな雰囲気の中にも、そこはかとなく優しさが滲む。続いて中丸雄一が冷静さと悲しみを合わせ含んだような絶妙なニュアンスで続ける。上田竜也もまた繊細さの中にも温かみを感じる歌声を重ねた。

 KAT-TUNは黒い衣装がよく似合う。素材によって質感や色の深みが異なる、実は奥が深い黒をさらりと着こなす。複雑な心境を包み込むかのようにもみえるし、確固たる意志を感じる戦闘服のようでもあり、しなやかさも上品さも併せ持つ。黒に飲まれることなく、どこか爽やかで内面から押し上げるような魅力を感じる。

 「Roar」とは咆哮、猛獣が吠えたける様子を表す。曲のラストはこう結ぶ。

〈願ったって 願ったって 変わりゆく運命ならば 守るべきものは何か?〉

 若い頃とは違って、抗うでもなく運命と捉える。受け入れる度量の広さを持ち、そして大切なことはなにかを考える。寂しく静かな始まりだが、曲の終わりには、どこか前向きで、月夜に向って吠えるような強さがある。酸いも甘いも噛み分けた大人だから歌える印象だ。

 デビュー15周年を迎えたKAT-TUN。メンバー全員が30代半ばになった。グループとしてソロとして、舞台に映画、ドラマ、バラエティ……亀梨、上田、中丸の3人は本当に様々な経験を積んできただろう。ファンから見た彼らの姿はほんの一コマにしか過ぎないかもしれない。実はもっと沢山の困難に直面し、人知れず乗り越えてきたのではないか。彼らの軌跡、それでもたくましく強く前を向く姿を、「Roar」の世界観と重ねてしまう。

 15周年をお祝いできるコンサートを予定していたが、感染拡大防止のために公演は延期に。3月22日にライブ配信が決定している。

 なにがあっても、前向きな方向へと導いてくれる彼ら。今回も同様に、かわいらしいアップ画像を投稿して和ませてくれた亀梨、「配信ライブに向けて」と落ち着いて情報を伝えてくれる中丸、ファンを思っていつも強く優しい言葉をかけてくれる上田。三者三様のスタイルはソロ曲にも色濃く出ているが、あたたかい心を持ち続けている。

 KAT-TUNデビュー15周年、スペシャルイヤーがいよいよ幕を開ける。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

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