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海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔

ジョン・トラボルタ

連載

第37回

20/8/25(火)

── 今回はジョン・トラボルタです。ハリウッドスターをストーカーするサイコな男を演じた『ファナティック ハリウッドの狂愛者』が9月4日(金)に公開になりますね。

『ファナティック ハリウッドの狂愛者』

渡辺 ハリウッドのマンズチャイニーズシアターの前でストリートパフォーマンスをやって日銭を稼いでいる映画おたくの男が、大好きな男性スターをストーキングする話です。この手の映画はこれまでもたくさん作られていますが、トラボルタのストーカーぶりがかなり気持ち悪く、私はドン退いてしまった。ストーキングのやり方や、エスカレートしていくプロセスは定番的なんですが、ひたすらトラボルタが気持ち悪い。怖いというより気持ち悪い。

── ということは、すごく上手に演じているということですか?

渡辺 本作でゴールデンラズベリー賞の主演男優賞をもらっているんですが、役作りはちゃんと頑張っていると思いましたよ。

『ファナティック ハリウッドの狂愛者』

そもそもトラボルタってコスプレ好きというか、外見から入る役者なんですよ。「このキャラクターだったら、こういう外見がいいだろう」と自分で考えるタイプだと言ってましたから。

2度目のブレイクになった『パルプ・フィクション』(94)のときのあの長髪スタイル。あれは本人のアイデアだったんです。曰く「オレの考えでは、ヘロイン中毒のヴィンセントは、あのロングのヘアスタイルだったんだ。だけど最初はクエンティン(・タランティーノ)もまったくノリ気じゃなかった。「ちょっとどうかと思うよ」って感じでさ。でも、オレは食い下がって「一度でいいから、ロングヘアでカメラテストをしてくれ」と頼んでやってもらったんだ。するとクエンティンも、周囲にいた関係者もすべて即座に納得してくれた」。

なぜロン毛かというと「ヘロイン中毒者だぜ。いつもきれいに切りそろえていたらおかしいだろ? そういう人間はまずヘロインのことを考える。ヘアスタイルなんて二の次三の次さ」って。とっても正しいですが、似合っていたせいもあってか、「二の次三の次」という感じではなかったですけどね(笑)。

1994年5月、『パルプ・フィクション』のタランティーノ&キャスト陣とカンヌに結集。作品は見事パルムドールを受賞。

── 今回のルックスはすごいですよね。やはりヘアスタイルが特徴的ですね。

渡辺 ヘアスタイルも眼鏡も佇まいも相当気持ち悪くて、トラボルタには見えないくらい(笑)。

外見でいうなら、やはり『バトルフィールド・アース』(00)ですよ。人類を征服しようとする邪悪な宇宙人を演じていて、禿げあった額と盛り上がった頭、顔は汚れまくり、鼻には管が通り、歯はボロボロ。本当にすごい形相。このときも本人は「すごくクールで、オレは大満足している。キャラクターの邪悪さがよく表現されていると思ったね」と喜んでさえいました。これでもゴールデンラズベリー賞の主演男優賞をもらっていましたけどね。考えてみれば、同賞をもらった2本の映画、どちらとも本人が製作もしていました(笑)。

この『バトルフィールド・アース』の原作が、トラボルタが篤く信仰する新興宗教サイエントロジーの創始者ロン・ハバードの代表作なので、彼にとっては念願の企画だった。1982年に映画化権を買い、それから18年後の2000年にやっと製作にこぎつけた労作でもあるんです。企画があがった当初は人間キャラクターを演じる予定だったけれど「年取ってしまったので、年齢の関係ないエイリアンの方を演じた」と言っていましたね。

当時の映画ファンに衝撃を与えた『バトルフィールド・アース』での姿。

── サイエントロジーはハリウッドの人に信者が多いですよね。

渡辺 有名なところではトム・クルーズとかね。浮き沈みの激しいハリウッドを乗りきるための精神的支えになるんじゃないですかね? トラボルタも『サタデーナイト・フィーバー』(77)で大ブレイクし、その続編『ステイン・アライブ』(83)が大コケ。それから9年後に出演した『パルプ・フィクション』で再びブレイクした。

その後、『ヘアスプレー』(07)では特殊メイクでおデブな女性になりきり、歌って踊っていました。ミュージカルもお手のもの。「実は『シカゴ』(02)も早い段階で声がかかっていたのに、いろいろと誤解や入れ違いがあって、実現できなかった」と、かなり悔やんでいましたからね。このとき、オファーされたのはリチャード・ギアが演じていた弁護士役だったようです。

「『巴里のアメリカ人』(51)と『野郎どもと女たち』(55)をリメイクしたい。パル・ジョーイのようなアレンジで、スコセッシ的演出だと面白いんじゃないかな」と言っていて、まだまだミュージカルに意欲を見せていましたね。とはいえ、もう66歳なのでさすがに無理かも。現在はちょっと元気がないけど、おそらくまた再起するんじゃないですか。

── このまま埋もれない?

渡辺 今回、この原稿を書くために、過去のインタビューを読み直したんですが、信仰している宗教の教えもあってなのか、とても前向きで、役作りを一生懸命やる人ということにあらためて気づいたからです。

リュック・ベッソン製作の『パリより愛をこめて』(10)のときも、スキンヘッドで口の周りには黒々としたヒゲ、耳には大ぶりのピアスという、印象的なルックスだった。当人は「役作りはディテールに凝ってこそ活きる」と言っていました。このルックスも本人のアイデアで、おそらく新作の『ファナティック』も彼のアイデアなのでは? トラボルタの役作りが一番の見どころになっていますからね。それこそ『パルプ・フィクション』のヴィンセントのような強烈なキャラクターに出会えれば、また復帰するだろうと思ったんです。

『パリより愛をこめて』ではスキンヘッドに。現在の素の姿もほぼこんな感じです。

── トラボルタは飛行機マニアとしても知られてますよね?

渡辺 滑走路と駐機場つきのフロリダの豪邸には飛行機がたくさん並んでいて、その中にはカンタス航空の旅客機まである。旅客機を操縦するパイロットのライセンスを持っていて、実際にカンタス航空のパイロットとして操縦したことがあるし、そのパイロットの制服も持っている。ハイチの大地震のときは、この飛行機に食料や医療品等を積み込んで現地に飛び、ボランティア活動したことがニュースになっていた。調べてみたら、このカンタス機は2017年にオーストラリアの航空博物館に寄付したようです。複数機持っているから手放したのかもしれませんね。

── すごくお金のかかる趣味ですね。

渡辺 飛行機を好きになったきっかけを聞いたことがあるんですが、こういう答えが返ってきました。

「最初に惹かれたのは機体のデザインの美しさ。あの大きな機体が空を滑る優美な姿に、子供のオレは夢中になったんだ。あの機体の中はどんなだろう? どうやって飛ぶんだろう? どんな人が乗っているんだろう? 毎日毎日、そんなことばかり考えていた。まさに朝から晩まで飛行機のことで頭がいっぱい! 初めて飛行機に乗ったのは8歳のとき。ニューヨークからフィラデルフィアの短時間飛行をプレゼントしてもらったんだ。乗った飛行機は、想像していた以上に素晴らしかった。それからだよ、オレと飛行機の本格的な“恋愛”が始まったのは」って。本当にアツく語ってくれました(笑)。

2002年、オーストラリアにて。カンタス航空の親善大使でもあったトラボルタの凛々しすぎるパイロット姿。

ついでに、もっとも好きな飛行機映画も聞いたんですよ。即答で『大空港』(70)を挙げていました。「オレの飛行機愛を満たしてくれる最高の飛行機映画だ」そうです。それに『閉ざされた森』(03)のときは「最近、観た映画でもっとも気に入っているのは『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)だと言っていて、考えてみればこのスピルバーグ映画も、レオナルド・ディカプリオがパンナムのパイロットに化ける詐欺師の話ですからね。

男子の場合、飛行機なら戦闘機にも興味を示しそうだけど、彼の場合は旅客機。徹底して旅客機みたいなんです。もしかしたら、あのパイロットの制服にも強い憧れがあったのかも。コスプレ好きですしね(笑)。

でも最近は、おしどり夫婦としても有名だった奥さんのケリー・プレストンをガンで亡くしてしまった。まだ57歳だったというから、トラボルタも相当つらいでしょうね。それを乗り越えるためにも頑張ってほしいですよ!

※次回は9/8(火)に掲載予定です。

文:渡辺麻紀
Photo:AFLO
(C)BILL KENWRIGHT LTD, 2019



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