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25歳で逝去した俳人・住宅顕信の生涯、映画『ずぶぬれて犬ころ』6月公開

CINRA.NET

19/3/19(火) 8:00

©戸山創作所

映画『ずぶぬれて犬ころ』が6月1日から東京・渋谷のユーロスペースほか全国で順次公開される。

横田賢一の書籍『生きいそぎの俳人 住宅顕信―25歳の終止符』をもとにした同作は、25歳で逝去した岡山出身の俳人・住宅顕信こと住宅春美の生涯を描く映画。2017年の岡山と、住宅顕信が存命していた時代の岡山が舞台となり、学校でいじめられながらも住宅の俳句に励まされる中学生の小堀明彦の姿と、中学卒業後に仏教と自由律俳句に没頭した住宅が永眠するまでの物語が交錯する。

1961年に誕生した住宅春美は、1983年に京都西本願寺で得度し、「顕信」の法名で浄土真宗本願寺派の僧侶となった。同年に1歳年下の女性と結婚したが、翌年に急性骨髄性白血病を発症。入院中に長男・春樹が誕生するも離婚し、病室で育児を行なう傍ら俳句を作り続けた。1987年に他界するまでの間に281句を残し、死後に句集『未完成』が出版された。

主人公の住宅顕信役を『21世紀の女の子』の木口健太、住宅の俳句に励まされる中学生・小堀明彦役をオーディションで選出された森安奏太が演じるほか、仁科貴らが出演。ドキュメンタリー映画『船、山にのぼる』『モバイルハウスのつくりかた』の本田孝義がメガホンを取り、初の劇映画となる『ずぶぬれて犬ころ』を完成させた。撮影は全て岡山で行なわれたという。テーマソングはあらかじめ決められた恋人たちへの“blast”。同バンドの池永正二が音楽を手掛けた。

なお同作は一般公開に先駆けて5月17日から岡山・シネマクレールで公開される。

本田孝義監督のコメント

2014年春頃、私は仕事が行き詰まり、精神的にかなり不安定になっていました。そんな頃、なぜか以前読んだことがあった住宅顕信の句「ずぶぬれて犬ころ」が私の中で蘇ってきたのです。この句は、雨に濡れた犬の姿に白血病で闘病していた住宅顕信自身の姿を重ね合わせた句だと思います。少し自虐的な感じもしますが、私はこの句から、ぼろぼろになっても生きろ、というメッセージを受け取りました。
2002年に住宅顕信及び彼の句が全国的なブームになった時に彼のことを知り、俳句も読んでいたのですが、その時はそれだけで終わりました。しかし、2014年に自分の中に住宅顕信の句が蘇ってきてから、再び彼のことが気になり始めました。未読だった住宅顕信の伝記「生きいそぎの俳人 住宅顕信―25歳の終止符」(横田賢一著、七つ森書館刊)を読みました。私自身、住宅顕信と同じ岡山県出身ということもあって、ますます彼に魅かれていき、いつしか彼のことを映画にしたいと強く思うようになりました。
私はこれまでドキュメンタリー映画を主に作ってきました。ですから、住宅顕信を描く映画も、当初はドキュメンタリー映画として企画していました。しかしながら、住宅顕信は1987年に亡くなっていますから、ドキュメンタリーとして描くには、生前の住宅顕信を知っている方々に話を聞いたりすることしか出来そうになく、映画として面白くなりそうに思えませんでした。であれば、劇映画として住宅顕信のことを描きたいと思うようになっていきました。
そうはいっても、私は大学卒業後は劇映画を作ったことがありません。全く不安がなかったと言えば嘘になりますが、どこかで、やれるという楽天的な気持ちもありました。
実際に初めて劇映画を作る過程では、奇跡としか思えないような様々な出会いがあり、多くのスタッフ、役者、撮影場所、製作支援者の方々に助けられて、なんとか映画を完成させることが出来ました。
2002年に住宅顕信のブームが起きてから、すでに時代も一回りし、地元の岡山でも住宅顕信のことを知らない人が増えています。映画『ずぶぬれて犬ころ』が、住宅顕信のこと、住宅顕信の句を知ってもらう契機になることを願っています。

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