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Royal Scandalは誰もが輝ける場所を提供するユニットだ 『WONDER TOUR』東京公演を観て

リアルサウンド

20/1/12(日) 8:00

 2014年の結成以降、童話をモチーフに音楽と映像によるシリーズ作品を展開してきた、luz、奏音69、RAHWIAの3人によるクリエイターユニット・Royal Scandal。彼らが満を持して2019年12月18日にリリースした1stメジャーアルバム『Q&A -Queen and Alice-』は、これまでの作品に新たなストーリーが織り込まれた、いわば集大成のような仕上がり。12月からは、アルバムリリースに伴った全国ツアー『WONDER TOUR 2019 -QUEEN & ALICE-』を開催。今回は、そのうちの12月27日Zepp Tokyo公演【夜の部】の模様をレポートする。

 「Wondertale」のイントロを背景に流れたナレーションは、luz、奏音69、RAHWIAが“とある不思議の国にいる魔法使い”という設定のもとで進行。3人の手によって、いよいよRoyal Scandalの『Q&A -Queen and Alice-』が完成させられるかと思いきや、急に現れた童話の魔女が、そのなかに登場するプリンセスの名前をどこかに隠してしまう。そこで、3人は完成に欠かせないプリンセスの名前を探しに、ゲストである“あなた”を招いて旅へ出ることにーー。

 ステージには、時計や、舞踏会の入口を再現した舞台セットが置かれている。鳴り出した鐘の音色から、「午前0時、さあ、お立ちください」との語りが続くと、立ち上がるゲストたち。開幕を告げたのは、オペラチックな「ワンスアポンアタイム」。これまで暗闇だったステージに光が交わり、豪華絢爛たる衣装を纏ったRoyal Scandalが登場した。直立不動の姿勢で、艶やかな歌声を奏でるluzが保っているのは、紛れもなく王の風格である。〈♠ポデル=♥アモル=♣フェリス=♦リケサ〉のフレーズでは、瞬時に照明のカラーが移り変わることで、これから始まるストーリーの豪儀を訴えていく。

 間を置かずに続いた「ロイヤルフラッシュ」は、これまでのRoyal Scandalの楽曲群にある歌詞が凝縮された、集大成の意を成すもの。ミラーボールが壁一面に映し出した、燦爛としていて幻想的な空間は、まるで舞踏会のよう。途中、奏音69もボーカルで参加した「ビタースウィート」では、ステージに設置された3つのうちの中央のお立ち台に足を掛けながら、〈“迎えに来た”〉とluzが甘美な声で囁く場面も。“ここでは誰もが輝く”とする「ハッピーアンバースデイ」を経て、静寂と暗闇が沈滞した「光」へ。

 luzがステージを後にすると、奏音69が「ネクロの花嫁」をソロでお披露目。華やかな歌声と全身で感情を表現する、エンターテインメント性あるパフォーマンスでゲストを魅了した。ここから、Royal Scandalは、ボーカルを務めるluzだけでなく、誰もが輝ける場所を提供するユニットであることが分かる。

 衣装チェンジして再び登場したluzは、MVで表現されている心情だという“絶望”を「マジックリングナイト」、“復讐”を「ビーストインザビューティ」、“嫉妬”を「REVOLVER」で体現。終盤に差し掛かった頃に奏でたのは、探していたプリンセス(歌姫)の名前がタイトルとなっている「チェルシー」。彼女の名前を思い出すことに成功すると、「あなたの心臓を捧げなさい」と言葉を投げるluzを中心に、ビックバンド風なサウンドに官能的なワードが包まれた「クイーンオブハート」でラストを飾った。

 アンコールでluzと奏音69による「ファーストレディー」を披露した後は、本公演初めてのMCに。自身がオーガナイザーである『XYZ TOUR』のことを口にしそうになる手前で、慌てて「Royal Scandal」と言い直すluzに、「いま、なんて言った?」と尋ね、「『XYZ』やんな。じゃあ私は帰りまーす!」と奏音69は、少し拗ねた様子を見せる。徹底されたパフォーマンスの裏にある、彼らの素の姿が見えるのはライブならではだ。そのこと自体が、〈視えるものだけが、真実じゃあない。(「ロイヤルフラッシュ」)〉に通じる部分ではないだろうか。様々な面を知ってこそ、真実に近づくことが可能になる。これまでの箍が一気に緩むような自然体のMCを経て、「R-18」、そしてRoyal Scandalの出会いの楽曲「チェリーハント」をもって、ライブは終幕を告げた。

 ストーリーを完成に導くには、「チェルシー」のような登場人物が欠けてはならないことを届けた一夜。ユニットのビジュアル面を手がけ、ステージに登場することのないRAHWIAの代わりに、luz、奏音69が、RAHWIAの重宝しているぬいぐるみをステージ上に置いていたのは、Royal Scandal自身のストーリーも、ひとりが欠けては完成しないことを証明しているようだった。

<セットリスト>
-OPENING-
M01 ワンスアポンアタイム
M02 ロイヤルフラッシュ
M03 ビタースウィート
M04 ハッピーアンバースデイ
M05 光
M06 ネクロの花嫁(Vocal:奏音69)
M07 Wondertale
M08 マジックリングナイト
M09 ビーストインザビューティ
M10 REVOLVER
M11 ファントムペイン
M12 チェルシー
M13 クイーンオブハート
-ENCORE-
EN1 ファーストレディー(Vocal:luz、奏音69)
EN2 R-18
EN3 チェリーハント

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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■関連リンク
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