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長谷川博己以外に適任者なし! 『まんぷく』愛されキャラ、立花萬平の魅力

リアルサウンド

19/1/6(日) 6:00

 『まんぷく』(NHK)の主人公・福子(安藤サクラ)の夫・萬平(長谷川博己)の周りには、いつだって彼を支えてくれる人たちでいっぱいだ。彼が発明に汗を流すとき、あるいは、憲兵や進駐軍に捕らえられたときのシーンでよく描かれたように、多くの登場人物が萬平を応援し、味方になってきた。それはきっと、萬平という人間の中に、信頼するに足る何かを見出していたからに他ならない。立花萬平が持つ人間的魅力はどこに見え隠れするのだろうか?

参考:『まんぷく』第80話では、福子(安藤サクラ)が親友・敏子(松井玲奈)と久々の再会を果たす

●発明家としての萬平

 “人の役に立つ”こと。それは萬平の発明のポリシーであると同時に、彼の生き方の指針でもある。自分が作り出したものが、1人でも多くの人の役に立つということ。ここにこそ、萬平が愛される理由のひとつが隠されているようだ。もちろん、研究や開発といったこと自体を好む一面もあるのだろう。しかし多くの場合、萬平の視線の先には、その発明の成果が届けられる人々の姿がある。ハンコであれ、ダネイホンであれ、決して利益の追求ばかりを目的にした発明ではないのだ。

 三田村会長(橋爪功)も萬平の姿勢を評価してきた1人である。第54話にこんなシーンがあった。萬平が世良(桐谷健太)にダネイホンを全国の病院に売るように頼んだ際、世良は儲からないとして、それをはねのけようとした。しかし、三田村はそんな世良を「それは違うぞ、世良君」と諭した。三田村は、裁判官の同級生が餓死で亡くなったエピソードを話す。正義感から、闇業者の売る食料を一切よしとしなかったからだ。そして三田村は、ダネイホンを作った萬平は“意義のあるものを作った”と言ったのだった。

 儲かるものというよりも、“役に立つもの”、あるいは“意義のあるもの”を世に生み出して、みんなに幸せを届けることに意味がある。『まんぷく』が観る者に教えてくれることのひとつである。

●家族の中の萬平

 第64話で、ダネイホンがどんどん売れていく状況を受けて、福子は「萬平さんの夢が叶ってきましたね」と言う。しかし、萬平は福子のその言葉をこう訂正する。

「僕の夢じゃない。僕と福子の夢だ」

 萬平のこの言葉が表すように、福子と萬平はいわば二人三脚で歩んできた。確かに、ダネイホンの開発に没頭し過ぎる萬平に、福子がうんざりしてしまうときもあったものだ。しかし、萬平と福子で目指している方向が違うわけではない。“僕と福子の夢”と言っているように、萬平も萬平なりに福子のことをかけがえのないパートナーとして認識しているはずなのだ。

 萬平と福子とのやり取りだけでなく、鈴(松坂慶子)との掛け合いも面白い。思えば、なんだかんだ言って福子と同じように萬平の進む道についてきた鈴。どんどん新たな方向へと進む萬平に不平を溢したり、源義経と繋がりがあるか否かで揉めたりもしてきた。時折、萬平も鈴に辟易してしまうことはあったが、萬平はこれまでかなり上手く鈴と接してきたと言えよう。

 福子、あるいは源と幸の2人の子どもたちといった家族との触れ合いの中で、萬平という人間が持つ温かさがよく現れる。特に、たびたび描かれてきた家族と一緒に布団に横たわるシーンで、萬平は家族を思う温かい表情でいることが多い。福子と我が子をこよなく愛する萬平が最もよく見える。

 無謀なところはありはするものの、萬平がこれだけ魅力的で愛されるキャラクターとなったのは、演じる長谷川博己の力が何よりも大きいところだろう。近作のスペシャルドラマ『都庁爆破!』(TBS系)や映画『シン・ゴジラ』で演じたキャラクターにはなかった“緩さ”を見せつつ、大人の色気も時折放つ。ある種の幼さと男としての器の大きさを併せ持つ萬平。長谷川博己ほどの適任者はほかにいなかったように思う。

 昨年10月にスタートし、ついに後半戦が始まった『まんぷく』。放送開始から3カ月が経った今も、福子や萬平たちがどんな道を歩んでいくのだろうかとワクワクするのは、ひとえに福子たちが次々と新たなチャレンジをしているからに他ならない。今年も『まんぷく』が楽しみだ。(國重駿平)

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