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ヒプノシスマイク、「Survival of the Illest」から感じる新章への期待 各ディビジョンの個性光るパーティーチューンを聴き解く

リアルサウンド

20/7/24(金) 6:00

 7月17日、大人気ラップソングプロジェクト・ヒプノシスマイク(以下ヒプマイ)の新曲「Survival of the Illest」が配信でリリースされた。同日にYouTubeでもフルバージョンのMVが公開され、数日で100万再生を記録。絶賛の声が集まっている。

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 この楽曲は、今年3月にリリースされたスマートフォン向けアプリゲーム『ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-』のオープニングテーマ。アプリに登場する【Buster Bros!!!】【MAD TRIGGER CREW】【Fling Posse】【麻天狼】の4ディビジョン、総勢12名による楽曲だ。3月、アプリリリース直後にABEMAで放送されたスタジオライブでもいち早く披露され、話題になった一曲である。

 ヒプマイにおいては音楽が物語を、物語が音楽を相互的に補完しあっているが、この曲でもそれは顕著だ。アプリ『ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-』では、各ディビジョンごとにシナリオが用意されている。この「Survival of the Illest」の曲構成も、それぞれのシナリオのオープニングに対応するよう、ディビジョンごとにパートが分かれているのが特徴的。各パートのアレンジにも、それぞれのディビジョンのカラーがあらわれている。これまでの楽曲にあったような個性豊かな自己アピールや、バトル要素の強いリリックは健在。ゲームからヒプマイに触れた人も、この楽曲を聞き込めばそれぞれのキャラクターの個性や、ディビジョンの色が理解できるだろう。

 ゲームの中心に据えられている“オルタナティブ・ラップ・バトル“の特徴であるエンタメ要素の強さが、この曲にも反映されているのも興味深い。〈さあご一緒に〉〈Rhyme and Beat Flow and You 欠かせない And you〉〈Witness〉と、第三者の存在を強く感じさせる言葉がちりばめられているのは、プレイヤーの存在によって物語が進行するゲームの楽曲という特性からだろう。ヒプノシスマイク流のパーティーチューンとも言える、絶妙なカジュアルさを演出するのに一役買っているように思う。

 だが続く〈City‘s on fire〉というフレーズは、「熱狂している」という比喩表現にもとれるが、シンプルに「燃えている」という意味にもとれる。さらに〈誰が一番Wicked これはもう事件 必見〉と続くあたり、どこかダークなムードが漂っている。この二面性もヒプマイらしい。

 サウンド面では、トレンドを折り込みながらも、声優陣の声の良さやキレの良いラップを最大限に活かしたアレンジがなされており、「声優とヒップホップ」というコンセプトを際立たせている。トリッキーな連符を多用したフロウがよく映える、印象的なベースラインが曲の中心となり、各ディビジョンの個性をまとめ上げている。音数はシンプルながら厚みを感じさせる心地良いトラックだが、一方でサイレン音や銃声、爆発音のようなアレンジなど、作品の世界観やストーリーとリンクした物騒な音も盛り込まれている。リリックと共に、これから始まる物語への期待や深読みを煽るギミックも心憎い。つまり「Survival of the Illest」は、“期待“をさせるパワーのある、オープニングテーマとしては理想的とも言える魅力を持った楽曲なのだ。

 コンテンツのファンのみならず、音楽ファンをも魅了してきたヒプノシスマイク。今後も音楽とキャラクターが紡ぐ物語と、その新たな可能性に注目していきたい。(草野英絵)

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