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賀来賢人、ディーン・フジオカ、松山ケンイチ、“無精髭”を最高のアイテムにする俳優たち

リアルサウンド

19/10/27(日) 6:10

 女優が役柄によってメイクを変えて清楚であどけない表情を見せたり、妖艶な印象を与えたりするように、大人の男の色気を強く意識した役柄を演じる俳優にとって、“髭”は重要なアイテムである。そんなことをドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)で主演を務める賀来賢人を見ていると改めて感じる。

 本作は、警視庁捜査1課の碓氷薫(広末涼子)が殺害され、その部下であり記憶喪失の遊佐清春(賀来賢人)が山小屋で目覚めるところから始まった。清春の手には拳銃があり、その傍らにすでに事切れた状態の彼女が横たわっていた。

 物語はドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の半年後の設定となっており、清春は元・半グレ集団ベルムズの“リーダーK”喜志(栄信)に指示を出し、自ら証拠を隠滅。碓氷班長を殺害した真犯人を探し始めると同時に、彼女が追っていた「10億円強奪事件」の謎にも迫っていく。サブタイトルに「刑事Yの反乱」とあるが、1人の刑事が巨大な組織を相手に反乱を起こしていくミステリーで、主人公の清春を含め、登場する刑事全員が曲者で容疑者でもある。

 SNSなどでも話題になっているが、コメディ色が強かった賀来賢人が一変して大人の男の色気漂うハードボイルドな男を演じているギャップが鮮やかだ。映画化も決定するなど話題になったドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)で演じた金髪ヤンキー三橋貴志役とは真逆の、違う意味で危険な香りのする今回の刑事役。程よく割れた腹筋もセクシーだが、簡単に手の内を明かしそうにないミステリアスな表情に無精髭がとてもよく似合う。

 ただ、日本人男性にとって自分に似合う髭を見つけること自体、難しいことかもしれない。理由は3つある。

(1)職業や立場によっては髭を剃らなければならない
(2)一般的な女性受けを狙い、モテたいなら髭を剃ったほうが無難
(3)かっこよく自分に似合う髭をキープするのは意外と手間がかかって面倒

 仕事によっては清潔感を重視し、毎日髭を剃ること、髪を短く整えることなどが義務のようになっている場合も多い。それゆえ、あえて貫禄を出したいときや威厳があるように見せたいときには髭が重宝する。ある意味、髭は男性にとって常識の枠を超えることの象徴ともいえる。

 常識の枠を超えるといえば、ディーン・フジオカが挑む役も常に予想の上をいく。ドラマ『シャーロック』(フジテレビ系)では、東京を舞台に、犯罪捜査専門のコンサルタントとして警察やクライアントの依頼を受けて事件を解決する誉獅子雄を演じている。

 ディーン・フジオカといえば、『モンテ・クリスト伯ー華麗なる復讐ー』(フジテレビ系/2018年放送)では主人公のモンテ・クリスト・真海を演じ、『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』(フジテレビ系/2019年放送)でもやはり主人公の馬場純を演じた。海外の文学作品を大胆にアレンジ、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンを現代の日本人にしたら馬場純になるとは……。固定概念を覆す、枠にはまらない存在がまぶしく感じる。

 放送中の『シャーロック』にしても、犯罪捜査コンサルタントという胡散臭い肩書きと、ロングコートに無精髭。天才的推理力と鋭すぎる観察眼で異彩を放っている。現代の東京でシャーロック・ホームズを演じるという設定を最大限に生かし、こんな風変わりでつかみにくい男をスマートに演じられる俳優はディーン・フジオカ以外に誰がいるだろう。その個性をより際立たせるのに、無精髭は最高のアイテムとなっている。

 また、現代の東京を舞台に誰もが知る意外な人物を演じているといえば、実写版『聖☆おにいさん』で神の子イエス役の松山ケンイチの髭もまた魅力的。目覚めた人ブッダ(染谷将太)と東京・立川のアパートをシェアして、のんびり過ごすイエス(松山ケンイチ)の会話にはほっこりするし、下界でのバカンスの様子をずっと眺めていたい気がする。

 Tシャツでカジュアルな服装のイエスはコンビニで遭遇した女子高生に「超ジョニー・デップに似てる」と言われて喜んでいたが、確かにジョニー・デップも松山ケンイチも髭によって個性をより際立たせている。ジョニー・デップに似ているイエスを演じる松山ケンイチ……ボーダレスすぎやしませんか。

 11月3日から始まるドラマ『歪んだ波紋』(NHK BSプレミアム)で松山ケンイチはこれまた髭の似合う俳優、松田龍平と共演する。常識の枠にとらわれることなく、自由に個性を発揮していく髭の似合う俳優たち。女性だけでなく、男も惚れるという表現が相応しくもあり、注目すべき存在であることは間違いない。(池沢奈々見)

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