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『IDOL舞SHOW』X−UCのフレッシュな魅力 個性豊かなメンバーが躍動した、初の無観客配信ライブを振り返る

リアルサウンド

20/8/6(木) 16:00

 X−UCが7月12日、生配信イベント『ぱぴえましえ、X-UCです! 無礼講でGo! Party Night』を開催した。

X−UC

 X−UCは、『IDOL舞SHOW』より誕生した10名組声優アイドルユニット。彼女たちは、今年春に2ndシングル『Papier Mache IDOL』発売とライブイベント開催を予定していたが、どちらも昨今の情勢を踏まえて延期に。今回の生配信イベントは、同シングルの発売日が10月7日に決定したことを受けて、メンバー全員が揃う初のステージとして実現された。

 リハーサル時のインタビューでは、石飛恵里花(清見みさ緒役)が「画面の向こう側にも、10人の楽しさとかワチャワチャ感が伝わったら良いなと思います」と意気込みを語っていたが、その言葉に違うことなく、当日はメンバー全員が奔放なまでに豊かな個性を発揮すると同時に、アイドルとしての“訴え”を歌ったという楽曲などで、力強いパフォーマンスを披露してくれた(参考:『IDOL舞SHOW』諏訪ななか・豊田萌絵ら擁するX−UCに聞く、総勢10人で魅せるパフォーマンスの魅力と初無観客ライブへの思い)。

 イベント前半のプログラムは、鷲崎健を司会に迎えたトークコーナー。そのハイライトは様々ながら、全体を通して特に目立ったのが、リーダーを務める豊田萌絵(星月小春役)と、石飛の先輩メンバー2名によるユニットへの献身ぶりである。というのも、数多のラジオや声優バラエティ番組に出演する鷲崎でも、X−UCの顔ぶれを見てピンときたのは約半数だったとのこと。それもそのはず、彼女たちのほとんどは10代の新人声優で、『IDOL舞SHOW』がデビュー作というメンバーもいるくらいだ。

 そんな伸び代満載な面々の魅力を、鷲崎と視聴者に対して次々に伝えようとしてだろう。20代の自分たちが楽屋で“お姉さん組”と呼ばれているというエピソードなどを披露しながら、メンバー全員のキャラクターを把握する豊田が、その時々の適任に話を振るという“裏の回し役”としての細かな気配りを見せたほか、石飛もまた、時に体当たりな姿勢とトークで笑いをさらっていく。大人数ユニットは全員に話を回すことが課題になりがちだが、2人それぞれのトーク術によって、メンバー全員が織りなす華やかさやフレッシュぶりをスタジオに充満させてくれていたのには、ただただ脱帽せざるを得なかった。

 実際に、豊田はシングル表題曲「Papier Mache IDOL」の紹介を挙手性で求められた際にも、「これ全員手を上げる流れだよ!」とナイスアシスト。ここでは、長谷川玲奈(掛川こころ役)が指名を受けて、「かわいい女の子たちが、ネットなどについての“訴え”をしている曲」と解説。続けて、「いつも高いキーで歌っているんですけど、この楽曲は“闇を見せていいよ”ってディレクションをいただきまして」と、自身演じるキャラクターらしからぬ、真に迫った歌声を求められたとも振り返ってくれた。

 またサウンド面では、花谷麻妃(猿野さくら役)が「疾走感が溢れていて、言葉がどんどん出てくるかっこいい曲」とコメント。“はりぼてのアイドル”をタイトルに掲げた「Papier Mache IDOL」は、SNSが席巻する現代社会に抗いながら、本当の自分を表現するべく勇敢な一歩を踏み出そうと歌う楽曲だが、〈綺麗に見せるのが当然の行い 脆く薄いスマート世代〉といった歌詞も、迫力のあるハイテンポなトラックにのせて、本心を吐露するように早口で歌い上げるからこそ、その説得力も一層に増して聞こえてくる。

 イベント中盤のコーナー企画では、「メンバーのポジティブな側面を掘り下げよう」というテーマに。ここでは、鈴木杏奈(百合ヶ丘みさき役)が花谷の趣味に触れたのだが、花谷の口から出てきたのは、「花札とゲームと“シリアルキラー”の心理調べと、ギターと自衛隊と洗車が好きです!」という多趣味ぶり全開のラインナップ。彼女のユニーク具合はユニット随一のようだった。

 また、「遊園地デートのお化け屋敷で彼氏が怯えていたらどんな一言を掛ける?」という一言萌え台詞を考えるテーマでは、「私の顔見てれば、大丈夫でしょ?」と、ウインク付きで答えたのが“石飛プロ”。そんな彼女の回答を“フリ”にさえしてしまうのが、北原侑奈(霧野しおり役)の「私も怖いから、守ってほしいな」という、模範回答といえる恥じらいながらの一撃だった。これにはスタジオの全員が「かわいすぎる!」と手放しで大絶賛し、鷲崎も「今日、アクキー(アクリルキーホルダー)発売してたら絶対に買うもん」と、イベント後のファン“あるある”に喩えて褒め称えていた。

 イベント終盤にはライブパートとして、「カレント・ザナドゥ」と初披露となる「Papier Mache IDOL」を歌唱。なかでも後者は、前述したメンバーの解説通り、アイドルだからこそ強く感じる苦しみを歌うような、切迫した雰囲気の楽曲だ。しかしながら、メンバーが入れ替わり立ち代わりにフォーメーションを切り替え、客席に背を向けたところから始まる大サビのソロパートでは、一人ひとりがキュートにくるりと振り返る場面など、こういった曲調だからこそ、アイドルとしての愛らしい姿がむしろ強調されていたとも感じられる。

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 最後の挨拶では、酒井美沙乃(安奈あき役)が「今回は配信という形になりましたけど、生のX−UCは5億倍すごいので、ぜひ観にきてくださいね!」と、今後への期待感を高めてくれる。また、諏訪ななか(羽美野りさ役)も「10人も居るユニットなので、ぜひ推しを1人でも2人でも10人でもいいので見つけていただけたら」と、思わず“箱推し”になってしまいそうになる温かいコメントで締め括ってくれた。

 今回の生配信イベントから伝わった通り、個性豊かなメンバーと力強い楽曲揃いのX−UC。彼女たちであれば、『IDOL舞SHOW』で描かれるアイドル戦国時代を駆け抜けて、見事なまでの“天下取り”を成し遂げてくれるに違いない。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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