Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

松本白鸚『ラ・マンチャの男』ファイナル公演に「感無量」 弟・中村吉右衛門さんへの思いも語る

ぴあ

ミュージカル『ラ・マンチャの男』製作発表記念会見に登壇した松本白鸚と松たか子

続きを読む

日生劇場2022年2月公演ミュージカル『ラ・マンチャの男』の製作発表記念会見が12月16日、都内で行われ、主演を務める松本白鸚、共演する松たか子が出席した。

1969年の日本初演から半世紀以上、今日までに白鸚が単独主演として1307回の上演回数を誇る不朽の名作。白鸚が主人公のドン・キホーテを演じるのは、今回がファイナルとなり「本当に感無量でございます。このように50年以上上演できたことは、人間として俳優として幸せ者でございます。無事に千秋楽を迎えられるように、一生懸命に務めたい」と“終焉の時”への思いを語った。

2012年8月帝劇公演より 写真提供/東宝演劇部

聖書に次いで世界的に読まれているスペインの国民的小説「ドン・キホーテ」を原作としたミュージカル『ラ・マンチャの男』。1965年にブロードウェイで初演され、トニー賞ではミュージカル作品賞を含む計5部門を受賞。日本初演の翌年には、白鸚(当時は市川染五郎)がブロードウェイからの招待を受けて、マーチンベック劇場にて全編英語で現地の役者と渡り合い、計60ステージに立った経験もある。

長年演じられた理由を問われ「何よりお客様がいたからこそ。そのことが奇跡だと思っております」と振り返る白鸚は、「負けると分かっていても、夢のあるべき姿のために戦う心を失ってはいけない。そのテーマと俳優・白鸚の生き方が一緒になっちゃったんですね」と分身ともいえるセルバンテス/ドン・キホーテに対する情熱を明かした。

劇中の代表曲である「見果てぬ夢」に話題が及ぶと、「思い出がいっぱい。菊田一夫さんや私の父に向けて、レクイエムとして歌ってきた。残念ながら、レクイエムを送る人が増えてしまった」と11月28日に77歳で亡くなった弟で歌舞伎俳優の中村吉右衛門さんに言及。「別れというものは、いつでも悲しいものです。たった一人の弟でしたから。でも、いつまでも悲しみに浸っていてはいけない。それを乗り越え、跳ね返して『見果てぬ夢』を歌いたい」と決意を新たにした。

松は2012年公演以来となる、ドン・キホーテが姫と慕うアルドンザ役で、父・白鸚と久しぶりの舞台共演に臨むことに。「私のような“まだまだ”な人間から見ると、同じ役を演じ続けることは、恐怖でしかない。できれば、私はそういう役には出会いたくない。尊敬しかないですね」と俳優として最敬礼。吉右衛門さんに対しては「叔父の舞台がもう見られないのは、心から残念に思います。舞台に立ち続けることでしか、お返しできない」と追悼した。

遍歴の騎士ドン・キホーテが、悪を滅ぼさんがため、従僕のサンチョを連れて旅だった先で直面する“夢と真実”とは? 現実世界と劇中劇の世界が交錯する重厚な物語が、ドラマティックな音楽とともに繰り広げられていく。脇を固めるサンチョ役の駒田一、牢名主役の上條恒彦に加え、新たなキャストとしてアントニア役に実咲凜音、カラスコ役には吉原光夫を迎え、松本白鸚による『ラ・マンチャの男』集大成が2022年2月、いよいよ幕開ける。

『ラ・マンチャの男』千秋楽以降については「もぬけの殻でしょうね。何かを考える気持ちも起こらないかも。4月の歌舞伎座公演も決まっておりまして、毎日毎日やりこなすので精いっぱい」とさらなる邁進を誓い、「悲しみを希望に、苦しみを勇気に変え、お客様に夢を届けるのが俳優の仕事だと思います。体は動かなくなりましたが、このメッセージだけは伝えたい」と闘志を燃やした。

取材・文・写真=内田涼

【公演概要】
ミュージカル『ラ・マンチャの男』
2022年2月6日(日)~2022年2月28日(月)大千穐楽
会場:日生劇場(東京都千代田区有楽町1-1-1)

脚本:デール・ワッサーマン
作詞:ジョオ・ダリオン
音楽:ミッチ・リー
訳:森岩雄、高田蓉子
訳詞:福井崚
振付・演出:エディ・ロール(日本初演)
演出:松本白鸚

出演:
セルバンテス/ドン・キホーテ:松本白鸚
アルドンザ:松たか子

サンチョ:駒田一
アントニア:実咲凜音
神父:石鍋多加史
家政婦:荒井洸子
床屋:祖父江進
ペドロ:大塚雅夫
マリア:白木美貴子
カラスコ:吉原光夫
牢名主:上條恒彦

アプリで読む