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根岸吉太郎、映画『火口のふたり』を大絶賛 「柄本佑はまさに荒井晴彦が乗り移っている」

リアルサウンド

19/8/19(月) 17:10

 8月23日より全国公開される映画『火口のふたり』のトークイベントが8月16日に東京・代官山蔦屋書店で行われ、監督・脚本を務めた荒井晴彦と、『遠雷』『ひとひらの雪』などで荒井とタッグを組んだ映画監督の根岸吉太郎が登壇した。

参考:求め合う柄本佑と瀧内公美の姿が美しい 『火口のふたり』が描く、根源的な人間の生き方のかたち

 直木賞作家・白石一文の同名小説を映画化した本作は、『きみの鳥はうたえる』の柄本佑と『彼女の人生は間違いじゃない』の瀧内公美の共演で贈る、男と女の不確実な愛を描いたR18+指定作品だ。

 トーク会場の代官山蔦屋書店で展開されている『火口のふたり』パネル展が若い女性に評判ということで、「映画にも期待がかかりませんか?」と問われた荒井は、「そうかな(笑)。試写室は混んでいるんだけど、よくあるんですよ、実際はお客が入らないってことは」とバッサリ。皮肉な回答で会場を沸かせ、イベントがスタートした。

 本作について、根岸は「知り合いがたくさん集まって作っている映画なので、どうしても細かく観てしまうけど、とにかく一番は、今の時代に表現の問題だとか、いろんなことに対する忖度だったりだとか、一般の人が何を観たいと思っているかとか色々と考えるけど、全て取っ払ってこの題材を映画化したことがすごい。とにかく企画が素晴らしいね」と盟友の新作を大絶賛。登場人物が2人の本作は、原作より主人公たちの年齢が若くなっているが、荒井は「若い二人が演じてくれて、青春映画のようになって良かったよね」と語り、対して根岸は、「遅れてきた青春。自分がそうだからかもしれないけど、スタイルとして“70年代”を感じるね。ひとつひとつの掴み方、あの時代の青春にダブっている感じ。(柄本)佑はまさに荒井晴彦が乗り移っているなと思った」と、本作が“70年代”を彷彿とさせ、柄本演じる賢治に当時の荒井晴彦が重なったと語った。

 主演の柄本と瀧内について、根岸が、「佑とは三島由紀夫の近代能楽集ものをやっていた時、7年ぐらい前に一緒に仕事をしたことがある。家も近所なのでちょくちょく会います。瀧内さんには試写の後に初めて会って、荒井さんの悪口で盛り上がりましたね(笑)」と軽やかなジョークで観客を和ませた。また、本作を鑑賞した映画監督の青山真治が、「70代とは思えない瑞々しさを感じた」と絶賛したという話について、根岸は「(荒井さんは)見かけがそもそも若いよね(笑)。今回は、過去の青春、荒井晴彦が撮るべき作品、作家としての映画、ある種、自画像として登場人物に乗っかっているなと思った。アーティスト、シナリオライター、監督しての荒井晴彦の軌跡が、今回はきちんと出ていて、賛否両論あっても、そこがまた良いなと思っています」と、荒井がまた新しい境地に達したと感じたと明かす。

 話題は二人が名を馳せたロマンポルノ時代に及び、当時との違いを問われた根岸は、「特に違いは感じない。今も面白ないと興味を引く女優さんはたくさんいる。いつの時代もそうだけど、ないものねだりなんですよ。瀧内公美さんもそうだけど、素晴らしい女優は今もいますからね。瀧内さんはテレビドラマ『凪のお暇』にも出ているけど、あのドラマで演じている役柄と『火口のふたり』では全く雰囲気が違う。すごいなと思いますよ。素晴らしい女優さんだと思います」と本作の身体を張った全身全霊の芝居が評価されている直子役の瀧内に大絶賛を送った。

 トークも終盤に差しかかかると、荒井は次回作の構想について、「寿命との競争だからね。今はすぐにでも次の作品を撮りたい。昔は二本撮ってもまだ監督ではなくて、三本目でようやく監督と認められたという感じだからね。ようやくスタート。『火口のふたり』がヒットしてくれて、次もまた撮れたらいいなと思っています」と早くも次回作への熱意を見せた。一方の根岸も、「大学で教えるようになってから、いろいろと忙しくて、何回か準備して、シナリオを描いたりもしたけどなかなか軌道に乗らなかった……。でもここのところ、ようやく時間が作れるようになってきたので、ぜひ撮りたいと思っていますよ」と、10年振りの新作へ意欲を見せた。

 最後に来週に公開を控えた本作ついて、荒井が「とにかく映画館に行って観てもらいたい。それしかないね。あ、あと悪口は言わないで(笑)」と語り、再び会場を沸かせイベントは終了した。(リアルサウンド編集部)

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