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origami PRODUCTIONSアーティストが一堂に会したスペシャルな一夜 “セッションの素晴らしさ”を感じた配信ライブレポート

リアルサウンド

20/10/30(金) 12:00

 ライブ配信プロジェクト・LIVE LOVERSとBillboard Liveがタッグを組んだオンラインライブ『origami PRODUCTIONS ONLINE SESSIONS ~LIVE LOVERS~ from Billboard Live supported by CASIO』が10月22日にBillboard Live TOKYOから生配信された。origami PRODUCTIONSのアーティストが一堂に会するのは、昨年11月に渋谷 CLUB QUATTROで開催された『origami SAI』以来。スペシャルなコラボレーションを多数交えながら、素晴らしいステージが作り上げられた。

 トップバッターのNenashiは、イスラエルのシンガーソングライターであるJ・ラモッタ・すずめとコラボした最新曲「Gonna Be Good」からスタート。『origami SAI』のときはステージ前方に貼られた紗幕に映像を投影しながらのライブだったが、この日は画面に直接映像を投影する形式。初めて本人が出演した「Gonna Be Good」のミュージックビデオ同様、ラクダ柄のバンダナで顔を隠したNenashiと、フードを深くかぶったサポートメンバーが横に並び、生のトランペットなどを織り交ぜながら楽曲を披露していった。MCにサンプラーを使ったり、いまだに謎の側面が多いが、少なくともこの日は歌っているNenashiの姿がはっきりと見えたし、徐々に情報が明るみになっていく感じにワクワクする。

 スピーディーな転換を挟んですぐに始まったKan Sanoのライブでは、「My Girl」の途中でベースを演奏したり、「Stars In Your Eyes」のサビで画面の向こうに手を振ったりと、エンターテイナーとしての顔を持つKan Sanoらしいステージを展開。ベースの森川祐樹(Mime)とドラムのSo Kanno(BREIMEN)に代わり、Michael Kanekoが登場して披露されたのは、『k is s』の収録曲「Reasons」。2人きりの演奏ながら、Kan Sanoのエレピソロを織り交ぜるなど、やはりセッション感が素晴らしかった。

 そのままMichael Kanekoがステージに残り、ドラムの御木惇史、キーボードの近藤邦彦(Mime)、ベースにはゲストとしてShingo Suzukiが参加したバンドセットで「Voices」を演奏。UKロック調のスケール感ある曲調がMichael Kanekoの声質とフィットしている。さらに、軽快なカッティングをフィーチャーした「Breakdown」では、オリジナルのDaichi Yamamotoに代わって、歌詞を共作したHiro-a-keyがラップで参加。フリースタイルも交えながらステージを盛り上げて、中盤のハイライトとなった。

 愛器であるRozeoのセミアコを持って一人で登場した関口シンゴは、まず「North Wing」で艶やかな音色を鳴らし、続く「Tender Rose」ではルーパーを用いての一人セッションで、巧みなソロを聴かせる。「やっぱり僕も誰かとセッションがしたい」という関口のリクエストに応えるかのように登場したmabanuaとは、後藤正文作詞の「Heartbreak at Dawn」を2人で演奏。爪弾かれるアコギに関口が色を添え、mabanuaの温かみのある歌声と合わせて実にリラックスした、心地いい空間が広がっていた。

 関口とmabanuaに、Shingo Suzukiとキーボードの村岡夏彦が加わって、トリを務めるのはやはりOvall。至高のグルーブを聴かせる名曲「Take U To Somewhere」に続いては、最新作『Ovall』収録曲の中で最もセッションの熱気を感じさせる「Dark Gold」を披露。オリジナルはロイ・ハーグローヴへのリスペクトでトランペットをフィーチャーしているが、この日は関口のソロや村岡のオルガンソロを交え、アシッドジャズやネオソウルの要素も織り込んだまさにOvallらしい素晴らしい演奏を聴かせてくれた。

 ラストはこの日の出演者が全員集まって、InterFM897の企画でSTAY HOME期間中にリレー形式で作られた楽曲をライブバージョンで初披露。これがコロナ禍の憂鬱を吹き飛ばすかのようなパーティーチューンで、すぐにでも音源化を期待したい。そして、締め括りは昨年の『origami SAI』同様、『laidbook01 The BEGINNING ISSUE』に収録されているorigami PRODUCTIONSの原点とも言うべき一曲「I Only Want You」が演奏され、特別な一夜が幕を閉じた。

 途中でShingo Suzukiが話していたように、オンラインライブにはオンラインライブならではの楽しみ方があるし、曲作りもリモートで行うことはできる。しかし、そんなタイミングだからこそ、ミュージシャンが顔を合わせてセッションをすることによって生まれる熱気と、それを同じ空間で体験することの重要性についても、今一度再認識するべきだと言えよう。例えば、King Gnu/millennium paradeや、その周辺のアーティストにセッションカルチャーを通過したプレイヤーが数多くいるのは事実で、それはorigami PRODUCTIONSの面々が受け継いできたカルチャーが花開いたものだと言っても決して過言ではないはず。そんなことを感じさせるような、意味のある一夜だったように思う。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

■セットリスト
『origami PRODUCTIONS ONLINE SESSIONS ~LIVE LOVERS~
from Billboard Live supported by CASIO』
10月22日(木)Billboard Live TOKYO

1. Gonna Be Good
2. Be (Vis ta Vie)
3. Satellite Lovers
4. My Girl
5. Stars In Your Eyes
6. Reasons
7. Voices
8. Breakdown
9. North Wing
10. Tender Rose
11. Heartbreak at Dawn
12. Take U To Somewhere
13. Dark Gold
14. untitled
15. I Only Want You

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