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King Gnu 井口理、『ANN』で発揮されたボーカリストとしての個性 ポルノグラフィティ&aiko特集回から考える

リアルサウンド

20/3/24(火) 6:00

 毎週木曜深夜3時から放送されている『King Gnu井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)。3月12日放送回では、「勝手に!ポルノグラフィティ 21st Anniversary Radio」と題し、今年デビュー21周年を迎えたポルノグラフィティを特集した。同番組では昨年6月に「20周年を勝手に祝う」企画をオンエア済み。その時の大きな反響があったことから今回の企画が実現したそうだ。

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 自らを「ポルノ直撃世代」と呼び、「何度生まれ変わってもポルノグラフィティを避けて通れない」「ポルノグラフィティを避けて青春を送る方法はただひとつ。この世に生まれないこと、これのみですね」と豪語する井口理は、「ハネウマライダー」のMVで岡野昭仁が着ていた衣装を模した姿で登場。ポルノグラフィティの曲を歌唱(カラオケ)したり、自らセレクトしたポルノグラフィティの曲をオンエアしたり、「因島(ポルノグラフィティメンバーの出身地)にまつわるメール」という無茶ぶりに近いテーマでリスナーからのおたよりを募集したりと、まさにポルノグラフィティ尽くしの放送回となった。さらに番組の後半では岡野がサプライズゲストとして登場。特に「アゲハ蝶」を2人でハモりながら歌唱した場面で盛り上がりは最高潮に達したのだった。

 番組内で岡野も言及していたように、『井口理のANN0』といえば、aikoがゲスト出演した2月20日放送回も記憶に新しい。ポルノグラフィティもaikoも井口にとっては「以前から聴いていた憧れの存在」にあたるアーティストであり、両者に対する深いリスペクトが表れていたからこそポルノグラフィティ特集回、aiko特集回は共に話題になったのではないだろうか。例えば、ポルノグラフィティ特集回で井口は、「ミュージック・アワー」のサビの振り付け(通称:変な踊り)をやりながら歌っていただけでなく、「アゲハ蝶」では岡野のボーカルの癖(主に発音時のアタックの付け方)に倣った歌い方をしていた。aikoとともに「カブトムシ」を歌唱した時は、音程をずり上げるタイミング(歌詞で言うと〈琥珀の弓張り月〉の箇所)もaikoにバッチリ合わせながらハモっていた。どちらも、井口がポルノグラフィティ、aikoの曲をよく聴き込んでいることが伝わってくる場面だった。

 過去のインタビューによると、井口のルーツはいわゆる歌謡曲であり、歌謡曲と他ジャンルの接続を試みながら「日本の一般リスナーにもリーチする音楽を鳴らすこと」をコンセプトにKing Gnuを立ち上げた常田大希は、井口の歌声にポテンシャルを感じ、声を掛けたのだそう(参照:https://spincoaster.com/rootscoaster-vol-137-king-gnu、https://ototoy.jp/feature/2019011601)。例えば、彼らの代表曲「白日」は楽器隊だけを追ってみるとかなりファンキーな曲だが、それでも世間一般的に「バラード」と称されることが多いのは、井口のボーカルの印象が強いからだろう。

 日本のリスナーは“歌”を重視して音楽を聴く傾向にある。その特性を逆手に取りながら、どれだけ尖った音楽を鳴らせるか、その上でどれだけ広いフィールドへと出ていけるか、という部分に挑戦しているのがKing Gnuというバンドなのだと思う。そんなこのバンドにおけるボーカリスト・井口理の役割の大きさ――というよりは、4人の個性が拮抗するKing Gnuというバンドの面白さを改めて実感させられた。(蜂須賀ちなみ)

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