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[ALEXANDROS]、GLIM SPANKY……“世界のマーケット”にも通用するアーティストの新作

リアルサウンド

18/11/20(火) 8:00

 ロックバンド、アイドル、ヒップホップなどのジャンルにおいて、“これは世界のマーケットで戦える”という手応えのある新作をピックアップ。“日本発”というアイデンティティを維持したまま、国境を超えて魅力を伝えるセンスと技術を備えた楽曲の数々をぜひ堪能してほしい。

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 「Mosquito Bite」(映画『BLEACH』主題歌)、木村拓哉がMVに出演した「アルペジオ」(PlayStation(R)4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』主題歌)などを含む[ALEXANDROS]の7thアルバム『Sleepless in Brooklyn』は、タイトル通り、ニューヨーク・ブルックリンで制作された。メンバー全員で半年間の共同生活を送り、現地のエンジニアとともに新たな音像を追求。「LAST MINUTE」「PARTY IS OVER」といったダンストラックにおける豊かなサウンドメイク(特にドラムのキック、ベースのふくよかな重低音が素晴らしい)は、日本を離れなければ到達できなかったと思う。メロディ、歌詞の両面において自らのアイデンティティをより強く反映した川上洋平のソングライティングも際立っている。

 5月に初の日本武道館ワンマンライブを成功させ、『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』ではGREEN STAGEで堂々としたパフォーマンスを披露。“60~70年代の音楽を現代的なロックミュージックに昇華する”というコンセプトを貫きながら確実にブレイクへの道を辿っているGLIM SPANKYの4thアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』が到着。リード曲「TV Show」、タイトルチューン「Looking For The Magic」は、メンバーの強い希望でL.A.でレコーディングされた。ジャック・ホワイト(The White Stripes)のサポートメンバーが参加し、レコーディングエンジニアにKennie Takahashi(The Black Keys「EL CAMINO」で第55回グラミー賞最優秀ロックアルバム賞を受賞)を迎えたことで、未来のサイケデリックサウンドと称すべき、斬新かつオーセンティックな音響を実現している。

 卓越した演奏力を駆使したバンドサウンド。けん玉、LEDグローブ(光る手袋)などを使ったエンタメ性に溢れたステージング。ロック、ポップス、アニソンなどを網羅した音楽勢によって世界中でライブサーキットを続けているGacharic Spinの新作『Go Luck!』は、キャリア初のカバー作品。獰猛なグルーヴのなかでスラップベース、爆音ギターが高らかに鳴り響く「ゴーストルール」(DECO*27 feat. 初音ミク)、原曲のファンクネスをロッキンスタイルで増幅させた「Shake Hip!」(米米CLUB)、重厚なアンサンブルとともにファンタジックな世界観、シリアスなメッセージ性を強調した「RPG」(SEKAI NO OWARI)など5曲を収録。ボカロ曲、J−POP、ロックバンドといった日本のカルチャーを象徴する選曲と独創的なアレンジメントをたっぷり楽しめる。

 2018年5月にイギリス・ブライトンの国際音楽フェス 『THE GREAT ESCAPE FESTIVAL2018』に日本代表として出演するなど、海外での活動を継続して行っているMaison book girlの2ndフルアルバム『yume』。楽曲とインタールードを交互に並べる構成の妙、夢と現実、生々しさと無機質が絡み合うストーリー性など、アルバム全体のコンセプトワークは前作以上に濃密。エレクトロニカとノイズと現代音楽を橋渡しするようなサウンドメイク、変拍子、ポリリズム、不協和音を反映させたアレンジをポップスとして成立させるプロダクションもさらに進化している。先鋭的なジャケットのアートワークなど、CDというパッケージの可能性を追求するスタンスを含め、日本のポップカルチャーの特徴を集約したグループだと思う。

 岡崎体育、SEEDA、SALUなどが絶賛する埼玉県出身のヒップホップグループ・SUSHIBOYS。前作『WASABI』から約半年のインターバルで届けられた新作ミニアルバム『350』は、スーパーマーケットを舞台にした「Shopping Cart Racer」、日本が誇る調味料をテーマにした「味の素」、カードゲームを巡る戦いを描いた「遊戯王」など6曲+ボーナストラック「とりま」1曲を収録。日本の(ぜんぜんクールじゃないほうの)カルチャーを、ドープかつオリエンタルなトラックメイク、徹底的に洗練されたフロウによって凄まじくカッコいいヒップホップへとつなげるセンス/技術は大きく向上。日本のヒップホップを代表する存在になってほしいと願わずにはいられない。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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