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ライカエジソン、Brand X、ZEAL LINK…V系専門CDショップが相次いで閉店 思い出を振り返る

リアルサウンド

19/7/9(火) 7:00

 「CDが売れない」と嘆かれる昨今。それを体現するかのように、今年春から立て続けに5店舗のヴィジュアル系専門のCDショップが消えていった。

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 まず3月25日に「ライカエジソン ラフォーレ原宿店」が運営元破産のため、店舗閉鎖。4月14日には「高田馬場ZEAL LINK」が、渋谷店と店舗統合のため営業を終了。5月7日には「Brand X」が倒産のため事業停止。5月29日には「名古屋ZEAL LINK」、そして6月30日には「渋谷ZEAL LINK」が営業終了となった。どの店舗もヴィジュアル系のファンなら一度は足を運んだことのある場所であり、思い出も深い。この記事では、各ショップがどんな場所だったのかを記録しておきたい。

■ヴィジュアル系の聖地、「ライカエジソン ラフォーレ原宿店」
 ヴィジュアル系専門のCDショップと言われて第一に想起するのは、やはりライカエジソンだ。原宿店の他に東京・大阪・名古屋に店舗を持つ、専門店の中では大手のショップである。今回閉鎖された店舗があったのは、トレンドファッションの発信地である、ラフォーレ原宿の地下1階。1990年代から2000年代初頭頃まで原宿とヴィジュアル系は親和性が高かった。明治神宮橋にたむろするヴィジュアル系バンドのコスプレイヤーは、間違いなく原宿の名物だったし、ロリータやゴシック、パンクなど、ヴィジュアル系のファンが好んでいたファッションブランドが立ち並ぶのも原宿だった。

 そんな“ヴィジュアル系の聖地”である原宿に、唯一あったヴィジュアル系専門のCDショップがライカエジソン原宿店だ。今回の閉店に伴い、原宿からヴィジュアル系という文化そのものが立ち消え、過去のものになってしまったような物悲しさを覚えた。ラフォーレ原宿の地下1階に降りてライカで新譜の予約やお目当てのCDを購入し、地下1.5階でロリータやゴシック系ファッションブランドの洋服を見て回る……そんな至福の時を過ごした方も、少なくないのではないだろうか。

■名物店長が盛り立てた老舗「Brand X」
 池袋・乙女ロードの一番端に看板を出していたのは、Brand X。狭めの階段を降りた地下にある小ぢんまりとした店舗は、1988年創業の老舗だった。店内は壁や天井にまで、さまざまなバンドのサイン色紙や写真がぎっしり飾られており、中にはDIR EN GREYやthe GazettEなど、今や世界に羽ばたいているバンドのインディーズ時代の写真も見ることができた。

 Brand Xといえば、店長の“矢田さん”を思い浮かべる方がほとんどではないだろうか。店舗で行なわれるインストアイベントはもちろん、主催ライブやニコニコ生放送などの司会もこなす矢田さんは、フランクで親しみやすいキャラクターから多くのバンドマンから慕われていた。通常インストアイベントのトークの司会は、店舗スタッフかメンバーの誰かが務めるがほとんどで、慣れない役目のせいかぎこちない場面も多いが、Brand Xではその心配は要らない。矢田さんのラフなトークにはバンドマンをリラックスさせる効果があるのか、「トークが盛り上がるから、インストアはBrand Xに行く」というファンも少なくなかった。高めのカウンターと大量のフライヤー越しに行なうメンバーとの握手は、なかなかしんどいものがあったが、今となってはそれも良い思い出なのかもしれない。

■バンドマンからもファンからも愛され続けた「ZEAL LINK」
 先月末に渋谷店が営業終了となったばかりのZEAL LINK。高田馬場、名古屋、渋谷と3店舗が相次いで営業終了し、残るは大阪店のみとなった。渋谷店の最終日には店舗ロゴの入った巨大フラッグが感謝のメッセージで埋め尽くされ、バンドマンを含む関係者からはたくさんの花が贈られた。というのも、ZEAL LINKはたくさんの愛に満ちたCDショップだったのだ。ZEAL LINKはCDショップのみでなく、注目のバンドや若手バンドを中心とした全国ツアーの主催も行なっており、まだ知名度の低いバンドが、そのツアーから注目されることも少なくなかった。ライブ会場ではCDの即売会や握手会などを頻繁に開催し、まさに“バンドとファンとの架け橋”のような存在だった。

 さらに、ZEAL LINKの名物と言えば、愛に溢れた長文POP。ときには両手を広げても収まらないほどのサイズのPOPに、バンドや楽曲の魅力がぎっしりと書かれていて、それを見るために店舗へ足を運ぶのも惜しくないほどの完成度だった。また、先に記述したライカエジソン原宿店とBrand Xが即日閉店だったのに対して、ZEAL LINKは閉店の5日前に告知。残りの営業日で来店客への感謝を込めた閉店セールを行なうなど、店舗からヴィジュアル系シーンへの愛も感じられる最後だった。このような愛に溢れる店舗が消えたことは、「残念」の一言では片づけられない痛手だろう。

 メンバーと直接話せるインストアイベントはもちろん、CDを買いに行くワクワク感、店舗スタッフとの触れ合い、見応えのあるPOP……路面店は、サブスクリプションやダウンロードなどの音楽配信サービスでは得られない、生の体験を私たちに与えてくれる。今回の閉店ラッシュを受けても、都内にはライカエジソン東京店、自主盤倶楽部、littleHEARTS.が残り、fiveStars(名古屋市)、MAGICAL SQUARE(広島市)、SKULL ROSE(福岡市)などの専門店も各地域にある。ヴィジュアル系シーンの財産とも言える、店舗ごとに特色のある専門店に今後も足を運んでいきたい。(南明歩)

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