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SMAP、嵐……”国民的アイドルグループ”になるための条件は? 5つのポイントから考察

リアルサウンド

21/1/1(金) 10:00

 芸能界に数々の金字塔と伝説を打ち立てた国民的アイドルグループ・嵐が2020年12月31日をもって活動休止期間に入った。昨年末には『VS嵐』(フジテレビ系)や『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)など冠番組の最終回スペシャルが次々と放送。その度に5人の仲の良さがクローズアップされ、大きな話題を呼んだ。中でも12月26日放送の『嵐にしやがれ』では嵐5人のロケ企画としてシュラスコ作りや、全力の50m走、大野智が船長を務める漁船・大野丸での釣りなどに挑戦。番組終盤に5人で訪れた旅館では宴会や5人で温泉に入る様子など貴重な映像も公開された。

 SNSには視聴中のファンによる様々な感想が溢れたが、同時にトレンドには「SMAP」の名前も。これは今回の放送を見た多くの人が2013年に放送された『SMAP×SMAP はじめてのSMAP 5人旅スペシャル』を懐かしく思い出したからだと思われる。惜しまれつつ解散したSMAPと活動休止した嵐。今回はこのタイミングでジャニーズにおける「国民的アイドルグループになるための条件」というテーマで執筆することになった。非常に難しいテーマであり、さまざまな意見があることは承知の上で、SMAPと嵐が築いた歴史を振り返りながら筆者なりの考察をしていきたいと思う。

グループとしての苦節を経てブレイクを果たした二組

 国民的アイドルグループとして長年活躍したSMAP。1988年のグループ結成から3年後の1991年に『Can’t Stop!! -LOVING-』でデビューした。当時はそれまで毎日のように放送されていた歌番組が激減していた時代で、アイドル界も過度期を迎えており、決して順風満帆とはいえない滑り出しであった。CDを出してもこれまでのように披露する歌番組がない。その厳しい状況の突破口となったのがバラエティ分野への進出である。それまでもたのきんトリオ(田原俊彦・近藤真彦・野村義男)を筆頭に、ジャニーズのタレントがバラエティやお笑い番組に出演していたことはあったものの、あくまでもアイドルのスタンスを崩さない範囲の出演であったように思う。しかしSMAPは違った。『夢がMORI MORI』(フジテレビ系)では「音松くん」をはじめとして本格的なコントに挑戦。カッコいいだけじゃなく“面白い”アイドルとしてお茶の間に浸透していった。この経験が長きにわたって高視聴率を続け、月曜夜のバラエティとして広くお茶の間に親しまれた『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)内で披露された数々の名作コントに繋がっていく。このようにして彼らはアイドルが“笑わせる”姿勢でお笑いに挑むベースを作り上げたのである。

 また、現在は多くのジャニーズタレントが起用されているMCであるがその先陣を切ったのも彼らのように思う。加えてメンバーそれぞれの個性を発揮したのが個人で挑んだドラマ、舞台、映画での俳優活動だ。それぞれのメンバーが俳優活動の経験を積み重ねた結果、全員が主役を演じることができるまでに成長を遂げていった。

 一方の嵐は、SMAPのデビューから8年後、1999年に『A ・RA・ SHI』でCDデビュー。彼らもまたデビュー以降、CDセールスにおいて苦戦を強いられた。暗中模索しながらも深夜のバラエティ番組『真夜中の嵐』(日本テレビ系)などで体当たりのロケやアイドルらしからぬ企画にも積極的に挑戦することで“バラエティ力”を培っていった。同時にライブ終わりに、今後の方向性や売れるためには何が必要かなどについて、メンバー全員で朝まで話し合ったこともあったという。嵐の名が広く一般に知られることとなったのは松本潤が出演したドラマ『花より男子』(TBS系・2005年~)の大ヒットである。同時に15枚目のシングルであり、ドラマ主題歌の「WISH」に注目が集まったこともグブレイクの大きな要因となった。また続いて二宮和也が映画『硫黄島からの手紙』でハリウッドデビューを果たし、メンバー主演のドラマも次々に放送されるなど、メンバー個人での俳優としての活躍もスタート。ブレイク後の冠番組『VS嵐』や『嵐にしやがれ』などは大人から子どもまで家族揃って楽しめる番組として広く親しまれてきた。

“国民的人気”を獲得した二組に共通する5つのポイント

 こういったことから国民的アイドルグループと称される定義について筆者なりに考察すると

・大人から子どもまでに愛される冠番組を持つ
・誰もが「曲名」まで知っているヒット曲がある
・お笑い、MC、トークなどの幅広いバラエティスキルの高さ
・メンバー全員が主役をこなせる演技力
・個性や才能、趣味を活かした個人活動

 が挙げられるのではないかと思う。「メンバー全員が主役をこなせる演技力」に関しては、個人のドラマ、映画、舞台での活躍をグループに反映することで、グループの認知度、人気に繋げながら大きく成長していった印象だ。また「個性や才能、趣味を活かした個人活動」についてもアーティスティックな分野で才能を発揮し、個展なども開催した香取慎吾や大野智などこれまでジャニーズにはいなかった才能を活かした活動が印象的だ。

 そしてこれらの条件に加え、最も注目すべきなのはメンバー全員の高いプロ意識とポテンシャルの高さである。例え順風満帆にいかない時期があったとしても、諦めずに個々が努力を重ね、チャンスで必ず結果を出し、グループに反映する。この図式が確立していることが「国民的アイドルグループ」の大きな条件であるように思う。もちろん運やタイミングなども関係してくるのだか、こういった姿勢なくして誰もが認めるトップアイドルに長年君臨することは不可能なように思う。

 そして気になるのはSMAP、嵐に続く「国民的アイドルグループ」の登場である。

 個人的にポスト~という表現は先に挙げられる先輩にも、後輩に対しても失礼だと思うので避けたいと思う。また現在はデビュー組だけでなくJr.を含め、どのグループにも大きくブレイクするチャンスがある。先輩が切り開いてきた分野や、活躍する姿を目の当たりにしていた彼らはダンス、歌などのパフォーマンス力の高さもはもちろんのこと、プロ意識も非常に高い。また個人の特技や趣味を通じて活躍できる場を増やすため、資格取得に励むなど努力も惜しまない。またYouTubeや有料チャンネルなどを通じ、国内だけでなく、世界中に発信するコンテンツも豊富になってきた。これらのことからもいつ、どのグループが何かをきっかけとしてブレイクしてもおかしくない状況であると感じている。

 SMAP、嵐に続く国民的アイドルグループの誕生する瞬間をこの目で見られることを楽しみに、今後もジャニーズグループの活躍を見守っていきたい。

■北村由起
ライター・エディター。出版社勤務、情報誌編集長を経てフリーに。情報誌、webマガジン、ムック等を中心に執筆。ジャニーズウオッチャー。

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