『オラファー・エリアソン展』9日より開幕 日本で10年ぶりとなる大規模個展
20/6/9(火) 8:00

オラファー・エリアソン《ビューティー》1993年Installation view: Moderna Museet, Stockholm 2015 Photo: Anders Sune Berg Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York / Los Angeles (c)1993 Olafur Eliasson
日本で10年ぶりとなる大規模個展『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』が、東京都現代美術館にて6月9日(火)~9月27日(日)まで開催される。
ロンドンのテート・モダンでは人工の太陽と霧を出現。ニューヨークのハドソン川では人工の滝を出現させるなど、光、水、霧など自然界の要素を用いたインスタレーションで知られる現代アーティスト、オラファー・エリアソン。1967年にデンマークで生まれたエリアソンは、王立デンマーク芸術アカデミーで学んだ後、ヴェネツィア・ビエンナーレをはじめとする国際展や、欧米の主要美術館において個展を開催し、世界的な注目を集めてきた。
日本でもドームの中に虹が現れる作品や、周囲の景色に色がついて見えるパビリオンなどの恒久設置作品があるが、大規模な個展は、2010年に金沢21世紀美術館で開催されて以来10年ぶり。同展は、彼がかねてから関心を持っている再生可能エネルギーへの関心と、気候変動への働きかけを軸に構成。最初期の代表作で、暗闇の中で虹を体験できる作品《ビューティー》と、同展のための新作インスタレーションが、展示室の内外で展開されるほか、幼少期に多くの時間を過ごしたアイスランドの自然現象を長年にわたり撮影した《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》、サステナブルな生分解性の新素材やリサイクルの技術に関する近年のリサーチの一部が紹介される。
エリアソンは、「〈ときに川は橋となる〉 というのは、まだ明確になっていないことや目に見えないものが、たしかに見えるようになるという物事の見方の根本的なシフトを意味している」と語る。そして、地球環境の危機が叫ばれる今、私たちは生きるためのシステムをデザインし直し、未来を再設計する必要があると言う。
「私たちはこれまでずっと、過去に基づいて現在を構築してきました。私たちは今、未来が求めるものにしたがって現在を形づくらなければなりません。伝統的な進歩史観を考え直すためのきっかけになること、それがこうした視点のシフトの可能性なのです」
これまでも、多様な作品で観る者の視覚や認識を揺り動かしてきたエリアソン。同展でどんな体験をさせてくれるのか、自身で確かめてほしい。
また、東京都現代美術館では2つの企画展も同時に開催。12人/組の若手アーティストが私たちと「もの」の関係を表現する『カディスト・アート・ファウンデーションとの共同企画展 もつれるものたち』と、書家の石川九楊らの作品から現代のドローイングを再考する『ドローイングの可能性』も、合わせて注目したい。
【開催情報】
『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』
6月9日(火)~9月27日(日)まで東京都現代美術館にて開催
【関連リンク】
東京都現代美術館






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